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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第四章 鋼鉄の聖女教団

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59 結果発表

 少し、休憩を挟んで、結果発表が行われる。

 あれだけ、盛り上がっていたから、多分大丈夫だろう。というか、そうじゃないと困る。私たちも、無料タダということで、散々ツケで飲み食いをしたからね。一応、それなりに現金は持ってきているが、それでも足りない。ノルトが優勝できなければ、私たちは無銭飲食で捕まってしまう。


「ノルトが優勝できないと、私たちもヤバいニャ」

「だ、大丈夫だ。きっと・・・」


 私たちは、祈るように結果発表を見守った。


 ドワーフの王が、話始める。


「今回の優勝者は二人おる。ドラドスとボルケスの二人だ。審査員の意見も奇麗に分かれた。どちらも素晴らしい。優勝賞金は折半とする」


 会場から拍手が巻き起こった。

 優勝した二人は、大喧嘩をしていた師匠と弟子だった。


 どうすればいいんだ?


「鋼鉄の聖女団」、集団無銭飲食で逮捕!!


 来月号の「月刊鋼鉄の聖女団」にはそんな記事が掲載されるのだろうか?


 そんなことを思っていたら、ノルトが声を上げた。


「なぜですか!?国王陛下!!俺は伝説のオリハルコンを精製したのに・・・」


 ノルトは、近衛兵に取り押さえられた。

 それはそうだ。国王の裁定に公の場で文句をつけたのだからね。


 ドワーフの王が、ため息を吐きながら言った。


「無鉄砲な所も、うっかり者で常識知らずの所も、親父そっくりだな・・・この場で、こんなことをしたら、死罪になってもおかしくはない。そのことは分かっておるのか?」

「そ、それは・・・」

「まあよい。放してやれ。

 まず、このコンテストの趣旨をお前は理解していない。職人の腕と心意気を競うコンテストなのだ。それをお前ときたら・・・」

「国王陛下、お言葉ですが、私は最高の物を作りました」


 ドワーフの王はまた、ため息を吐いた。


「ではなぜナイフにしたのだ?そのコンセプトは?」

「そ、それは・・・」

「たとえばだが、ドラドスのように剣の達人に使ってもらうことを想定したり、ボルケスのように一般兵でも使える高性能の槍といった、これと言った使い方はあるのか?」


 ノルトは言葉に窮した。

 そこにライトルが立ち上がる。


「国王陛下、このナイフをこうすれば・・・」


 ライトルはナイフに光魔法を付与した。ナイフは光り輝いた。


「どうです。このナイフは、灯りとしても使えます。凄いでしょ?」

「それでは聞くが、貴殿がライトボールを出すのと何が違うんだ?」

「そ、それは・・・インテリアとかに・・・」


 駄目だ・・・

 今度はリリィが立ち上がる。


「このナイフに回復魔法を掛けて、ほら・・・」


 リリィはナイフに回復魔法を掛けて、自分の腕を少し切った。切ったそばから、すぐに傷が塞がっていく。


「それが何に使えるのだ?」

「えっと・・・手品とか・・・」

「大道芸人の小道具を出品したのか?オリハルコンではなく、ミスリルでも同じことはできると思うがな」


 リリィも黙り込む。


「もうよい。ノルトよ、いい仲間を持ったな。だが、どうせ自分の技量のなさを補うため、一発逆転でオリハルコンの精製に挑戦したのだろう?」

「そ、それは・・・でも、オリハルコンを精製したのは俺です」


 この後に及んで、オリハルコンを精製した功績を主張する。


「オリハルコンの精製方法は、お前の親父が死の間際に公開したから、この国の職人ならば、誰もが知っている。それを可能にしたのは、お前ではなく、聖女殿だ。聖女殿をここに連れて来た成果は認めよう。しかしそれは職人の能力ではない。まだまだ修行が足りん!!」


 ノルトはうなだれる。

 もちろん、私たちも・・・



 ★★★


 結果から言うと、そこまで悪い事にはならなかった。

 まず、ノルトだが、オリハルコンを精製した功績で、報奨金は貰えた。しかし、優勝賞金ほどは貰えなかったみたいで、半分程借金が残った。途方に暮れるノルトだったが、これも救済措置が取られることになった。


「国から無利子無担保で、貸し付けてやる。それで、まずは借金を返せ。融資する条件は、ドラドスの元で修業することだ。いいな?」

「はい・・・」


 もちろん断れなかった。

 ドラドスは、腕はいいが厳しい事で有名な職人で、基本が全くできていないノルトは、苦労するだろう。


 一方、私たちの飲食代だが、私個人に報奨金が出たのと、追加でオリハルコンを精製することを条件にバイト代を払ってくれ、何とかツケを支払うことができた。


「今回は全く儲けにならなかったニャ・・・」

「仕方ない。こんなこともある。ただ、手持ちの現金が少ないから、帰りは途中で依頼を受けるか、切り詰めるしかないな」


「そうね・・・貧乏旅行になっちゃうね・・・」


 今回の旅は、エルフの女王と同行していたので、かなり贅沢だった。夜間の警戒もしなくていいし、料理もエルフたちが用意してくれたからね。

 私たちより、深刻なのはノーリたちだ。手持ちの現金もあまりなさそうだった。


「本当にみんなごめんッス・・・兄貴が馬鹿なばっかりに・・・」

「ノーリ、気にするなよ。帰りに依頼を受けながら帰ろう」

「そ、そうだよ。何とかなるよ」

「そうね・・・何の依頼を受けようかしら?」


 そんな話をしているところに、レーヴェ王子が現れた。


「君たちに護衛依頼を出そう。獣王国まで護衛をしてくれ。報酬は弾むぞ」


 報酬を聞いたが、かなりお得だった。

 みんなが一斉にミウを見る。


「まあ、受けてもいいと思うニャ」


 ミウの一言で決定した。

 私たちは、帰還する前に獣王国に行くことになってしまった。

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