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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第四章 鋼鉄の聖女教団

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53 感動の再会

 仕事を終えたリリィがやって来た。


「お祖母様!!」

「リリィ、元気そうで、何よりだ・・・」


 女王はこれまでのことを説明し、感謝と謝意を伝えた。


「私も悪かったんです。弓も魔法もそれほど得意ではないことに、卑屈になってしまって・・・エルフの里に居てもお荷物になるだけだと思ったんです」


「そんなことはないぞ。いつでも戻って来るがいい」


「ありがとうございます」


 一緒に来ていたエレノアも続く。


「リリィ、本当にごめん。もっと丁寧に弓や魔法を教えてあげればよかった・・・」

「気にしないで、エレノアお姉様・・・色々あったけど、私はエルフの里を出てよかったと思っているのよ。ここに来て、私は自分の居場所を見付けた気がしたわ。中途半端な回復魔法と弓の腕でも、やり方次第では、活躍できるってね」

「こっそり見させてもらったわ。みんなから尊敬され、頑張っているリリィを誇りに思うわ。混ざりものだとか言って、本当にごめんね」


 エレノアとリリィも和解したようだ。


「お祖母様、エレノアお姉様、私が今あるのはお二人のお蔭です。本当に感謝しています。そして、聖女アオイ様にも感謝を。私に生きる道を示してくださいました。まさに光のような存在です」


「そうだな。リリィにもう一度会えたのも、アオイ殿のお蔭だ。礼をしたいのだが、どうすればいい?」


 そういえば、細かい報酬の話をしていないことに気付いた。

 どうしたらいんだ?急遽のことで、契約書も作ってない。こういうのはもめる元だ。高すぎても怒るだろうし、安すぎてもプライドを傷付けてしまう。


「そういえば、きちんと契約していなかったニャ」

「そうだな・・・どうすればいいんだ?」


 ノーリが言う。


「だったら、アンさんに任せるッス。こういう交渉事を担当してくれているッス」


 かなり嫌な予感がしたが、それでも自分たちで煩わしい交渉をするよりはマシだと思い、密着取材と称して、勝手について来ていたアンさんに交渉をお願いした。


 その日はアンさんと女王は顔合わせしただけで、詳しい話は明日以降ということになり、私たちは温泉に入ることになった。温泉もグレードアップしていて、サウナや薬草風呂みたいなのもあった。因みに薬草風呂に使う薬草は、トールが取ってきたものだという。

 みんなそれぞれ活躍しているようだった。



 ★★★


 次の日、報酬が決定した。

 今回は、女王からは金銭的な報酬は貰わないことになった。その代わり、エリクサーやポーションを安く卸してくれる契約を結んでもらった。エルフは代々、世界樹を管理していて、世界樹の葉や実から良質の魔法薬が作れるらしく、かなりの値打ち物のようだった。


 それと、女王からの要求も呑んだ。


「実は若いエルフの何人かをこちらで修業させてほしいのだ。エルフも変わらなくてはならん時期にきておる。エレノアの希望でもあるしな」


「そうね。他種族からも学ぶことは多いと分かったからね。聖女さん、よろしくね」


 これを聞いたダクラの弟であるダクルも、ここに残ることになった。


「まずは、姉上のような立派な冒険者になってみせます。将来、族長となる身ですから、こういった経験は、きっと役に立つと思います」


 またまた、団員が増えてしまった。

 それも戦闘力の高いエルフとダークエルフだ。因みに「鋼鉄の聖女団エルフ隊」として活動するらしい。



 私たちが金銭的な報酬を貰わなかったのには、訳がある。

 というのも、私たちはなにもしなくても、毎月十分な額の給料が支給されることになっているからだ。


 これに気を良くしたミウとダクラは、アンさんに心を許してしまった。


「迷惑な奴だと思っていたけど、なかなかやるニャ」

「ああ、思ったよりも使えるな」


「ありがとうございます。よろしければ、お二人にもインタビューをしたいのですが、可能でしょうか?ドラゴン討伐の話やエルフの試練について、詳しく教えてください。お食事をしながらでもと思っています」


「そこまで言うなら、話してやるニャ」

「大したことはしていないが、それでよければ話してやる」


 2週間後、アンさんが驚きの雑誌を持ってやって来た。

 その名も「月刊鋼鉄の聖女団」だ。内容を確認する。特集記事として、ドラゴンの討伐とエルフの試練が掲載され、リリィと女王の感動の再会の記事も掲載されていた。


 ただ、内容が盛りに盛られていた。


「そんな臭いセリフ、言っていないニャ!!」

「流石にこれは恥ずかしすぎる・・・私とエレノアが男を取り合ったことになっている」


 やはり、アンさんは反省したとはいえ、記事の盛り癖は治っていなかった。


 抗議しようにも、アンさんは忙しく捕まらない。

 だったら、「社長を出せ!!」と出版社に怒鳴り込んでやろうと思ったが、出版元を確認すると、何と「鋼鉄の聖女団」となっていた。となると代表者は私だ。私が私を怒鳴ることになる。


 途方に暮れた私は、癒しを求め、「聖女の癒し館」に向かうのだった。

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