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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
プロローグ

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5 実戦訓練 2

 魔物の解体作業は、私だってしたくない。

 でもカリエスは、将来私たちが困らないようにと思って指導してくれている。そんな気も知らない高校生たちは、カリエスに文句を言う。


「解体なんて、勇者のする仕事じゃないだろ?」

「そうよ。もっと実戦経験を積みたいわ」

「魔族の危機に晒されているんだろ?だったら戦闘力を高めるほうが合理的だと思うのだが・・・」

「わ、私は・・・みんなに合わせます」


 カリエスは応じてしまった。

 これはよくない傾向だ。会社で上司の言うことを全く聞かない部下が大勢いると大変なことになる。それとなく、カリエスに言った。


「指導者はカリエスさんなのですから、無理にでも言うことを聞かせたほうが・・・」

「そうできない事情もあるのだ・・・」


 カリエスが言うには、高校生たちは第一王女のエルザに直談判したらしい。

 高校生たちと年齢の近いエルザ王女は、高校生たちと仲が良く、高校生たちに散々訓練の悪口を聞かされ、カリエスに文句を言ってきたそうだ。


「このままでは、俺が指導者を外されてしまう。そうなるとゴマすり野郎どもが指導者になり、勇者たちがすぐに任務に就かされる。俺は彼らを守りたいんだ。彼らだって、無理やりこの世界に連れて来られたんだからな・・・」


 この国の統治体制は終わっている。

 真面目なカリエスと国のために何とかやりくりをしている宰相さんが、頑張っているから何とかなっている印象を受ける。


「分かりました。戦闘に参加できない私が解体をやりますよ。最悪、本格的に任務を開始した時に私は部活のマネージャー的なポジションをしようと思いますしね」

「部活?マネージャー?」


 それもそうだよね・・・部活もマネージャーも分からないよね。


 私は詳しく、部活とマネージャーについて説明をする。

 カリエスは感心したように言った。


「アオイ殿には感心させられる。不遇なジョブで、スキルも大して使えないが、それでも一生懸命な姿勢に俺も騎士団員も貴殿のことを尊敬している」

「そ、そんなに尊敬されるようなことは・・・」


 身近に自分のことを評価してくれる人がいるのは嬉しい。


 よし!!解体頑張るか!!



 ★★★


 実戦訓練は2泊3日の予定だ。

 私はというと、全く戦闘をせず、解体や料理の準備、天幕の設営をやっていた。訓練といえば、料理で煮込み料理を作っている時にスキルの「鋼鉄化」を使っているくらいだ。それが何になるかは分からないが、それでも火の側にいても暑くないので、そうしている。これで少しでも動けたら、鍛冶場とかで働けるのにと思ってしまう。


 最終日、高校生たちが提案をして来た。


「そのオバさんも訓練させたほうが、いいんじゃないか?俺たちが連れて行ってやるよ」

「しかし、それは・・・」

「俺たちが強くても、足手まといになったら困るからいいだろ?」


 カリエスがこっちを見てくる。


「分かりました。行きますよ」


 高校生たちに連れられて、私は森の中に入った。

 そして、いつの間にか引率の騎士団員とはぐれてしまう。これは彼らが意図的にやったことだ。


 勇者のレンが言う。


「実はエルザ王女に頼まれていてな。カリエスに色目を使っているんだろ?」

「そうよ。だから、待遇がいいのね?」

「あまり気は進まないが、少し痛い目を見てもらう」

「えっと・・・何となく、駄目だと思います」


 エルザ王女は、カリエスに思いを寄せている。

 そして、エルザ王女はカリエスといつも一緒にいる私を少し懲らしめることを頼んだようだ。


 こんなオバさんに嫉妬するなんてね・・・カリエスは私たちのことを真剣に考えて、訓練をしてくれているだけなのに・・・


 ところで、一体、何をする気なんだ?


 私は身を固くした。

 スキル的な意味じゃないよ。


 しばらくして、大きなイノシシ型の魔物に遭遇した。

 これは事前の講習で教えてもらったBランクのグレートボアだ。かなり危険な魔物だ。圧倒的なパワーを持ち、突進攻撃は一撃で死に至るレベルだ。流石にこの子たちでも勝てないかもしれない。


「ちょっとこれは不味いな・・・だったら・・・」


 いきなりレンに魔物の前に蹴り飛ばされた。


「せめて、囮くらいにはなってくれよ。俺たちは逃げるぞ」


 えっ!!マジですか!?


「全滅の恐れがあるなら仕方ない」

「まあ、オバさんだし、私たちよりも長く生きている分、悔いはないよね」


 ありまくりだよ!!


 逃げていく三人、クルミだけが逃げずに何か言っている。


「あっ、あのう・・・頑張ってください」

「おい!!クルミ!!早く行くぞ」


 クルミも行ってしまった。

 というか、「頑張ってください」って・・・


 取り残された私にグレートボアが向かってくる。

 死を覚悟した。その時、「自動鋼鉄化」のスキルが発動する。


 カキーン!!


 いつも通り、大きな金属音がして、私は大きく吹っ飛ばされた。地面に叩き付けられる。

 でも全くダメージを受けてないし、痛くもない。


 それから何度も突進攻撃を喰らった。

 突進の度に吹っ飛ばされる。全く痛くはないが、あまり気分がいいものではない。


 鋼鉄化したまま、少しでも動けたら、何とか逃げられるのに・・・


 そんな時だ。頭の中にイメージが浮かんだ。


「重量調整」


 何だこれは?


 強く意識すると、鋼鉄化した時の重さを自由に変えられるようだった。


 クソ!!移動できるスキルじゃないのか・・・

 あれ?でも意外に使えるかも?


 私はスキルでかなり重量を重くした。

 グレートボアの突進攻撃は躱せないが、それでも吹っ飛ばされることはなくなった。


 状況は大して変わらないが、吹っ飛ばされないだけマシになった。


 とりあえず、助けが来るまで、このまま待つしかないわね・・・

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