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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第三章 ミウの秘密、ダクラの過去

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49 エルフの試練 2

 エルフの女王が怒鳴る。


「エレノア!!どういうことか、分かるように説明せよ!!」

「実は・・・」


 エレノアは観念したのか、真実を告白した。

 結論から言うと、そもそもエルフの試練も呪いもなかったのだ。エルフの試練として、ダクラがさせられたのは、エルフに古くから伝わる訓練の一環で、度胸試しのような扱いだったそうだ。しかし、かなり危険なので、今の女王の代からは、正式に禁止になっている。


「なぜ、そのような馬鹿なことを・・・」

「それは、どうしても許せなくて・・・混ざりものが純血に勝つなんて・・・」


 言い掛けたころで、エレノアは女王に殴られた。

 エレノアは一回転して、地面に倒れ込んだ。


「ダクラ殿、馬鹿な娘が本当に申し訳ないことをした。詫びのしようもない。貴殿の貴重な時間を奪ってしまった・・・」


「女王陛下、頭を上げてくれ。当初は思い悩んだが、今では逆によかったと思っている。あの出来事があったからこそ、素晴らしい仲間にも出会えたしな。それに案外、修行にもなった」


「エレノアよ。弓の腕だけでなく、人としても格の違いを見せつけられたであろう?お前が言うように純血のエルフが必ずしも優れていることはない」


 エレノアが怒ったように言う。


「だったらなぜ、お姉様は!?人間の男なんかと結婚したことも間違いです。混ざりものなんて・・・」


 エレノアは泣き出してしまった。

 ダクラが言う。


「それにしても、なぜそこまで、混血を憎むのだ?」


 聞いても、エレノアは泣き続けるばかりだった。


「それについては、我から話そう。エレノアには姉が・・・つまり我にはもう一人娘がいたのだ。人間と恋に落ちた馬鹿な娘がな・・・」


 エルフの女王のもう一人の娘エレニスは、エルフの里に迷い込んだ人間を保護し、恋に落ちてしまったという。そして仲睦まじく過ごしていたのだが、悲劇が訪れた。人間の男は流行病を罹って、結婚して10年程で亡くなってしまった。そしてエレニスはというと、失意の中、娘を出産したそうだ。


「種族が違うと子供ができにくい。そして、難産になる傾向にある。エレニスもその例に漏れなかった。子供は助かったが、エレニスは体力持たず、この世を去ったのだ」


 エレノアが叫ぶ。


「人間の男なんて、保護しなければ・・・お姉様も混ざりものなんて、産まなければ・・・」


 女王が諭すように言う。


「人間が悪いわけでも、生まれて来たあの子が悪いわけでもない。天の運命さだめだったのじゃ・・・」


 暗い雰囲気になった。

 ミウが興味本位で聞いた。


「ところで、その子はどうなったのニャ?」


「ああ・・・大切に育てたつもりではあったが、エレノアと同じような考えを持つエルフも多く、この地は住みづらかったのだろう。成人を迎えると同時にここを去った。今はどこで何をしているかは分からん・・・」


 女王が続ける。


「できるなら、もう一度会って、抱きしめて・・・愛していると伝えたい。そして、生まれてきてくれて、ありがとうと言いたい。あの子に伝わっていなかったかもしれんが、それでもあの子と過ごした時間は、幸せだった」


 エレノアが言う。


「私だって、あの子のことが心底嫌いだったわけじゃないの。偶にお姉様のことを思い出して、意地悪をしたことはあったわ。でも・・・自分ではどうしていいか分からなかった。だから、八つ当たりでハーフエルフやダークエルフを馬鹿にすることで、何とか折り合いを付けていたのよ。ダクラ、ごめん・・・ちょっと意地悪をしただけなの・・・まさか、貴方まで里を出るとは思わなかった・・・」


 エレノアが言うには、自慢の弓でダクラに負けたことに耐え切れず、少し意地悪をしただけだという。

 しかし、ダクラが里を出たことで、言うに言い出せず、今まで黙っていたようだ。

 ダクラが言う。


「もういい。私も今ではいっぱしの冒険者だ。それも高ランクのな。その娘の捜索依頼なら受けるぞ。見付かるかどうかは分からなないが、もし見付けることができたら、ダークエルフやハーフエルフへの扱いを改善してほしい。アオイ、ミウ、この依頼受けてもいいか?」


「ダクラがいいなら、いいわよ」

「別にいいけど、報奨金も貰うニャ。経費も掛かるニャ」


 ダクラは女王に向き直る。


「そういうことだ。まずはその娘のことについて、詳しく教えてくれ」

「礼を言う、ダクラ殿。その子はリリィという。見た目はエルフと大して変わらん。顔立ちはエレノアによく似ている。姉妹と言ってもいいくらいだ。里を出る時、『冒険者になる』と言っていた。リリィの父親も冒険者だったからな。もしかしたら、父親の故郷を訪ねているのかもしれん。父親の故郷は冒険者の町として有名らしいからな」


 あれ?


「ところで、その町というのは?」

「ブレダムだ。聞いたことはあるだろう?」


 私とミウとダクラは顔を見合わせた。

 思わず、声に出した。


「もしかしたら、知っている子かも!?」


 最近、ノーリたちのパーティーに加入したハーフエルフのリリィだ。

 生い立ちからして、間違いない。

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