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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第三章 ミウの秘密、ダクラの過去

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48 エルフの試練

 次の日、朝早くダークエルフの里を出発したので、昼過ぎにはエルフの里に到着した。


 里の入口でダクラスさんが用件を伝える。


「女王陛下は不在です。会うことはできません」

「緊急事態だ。そこをなんとか、頼む」

「しかし・・・」


 そこに若い女性エルフがやって来た。


「何をしているの?」

「エレノア様、ダークエルフの族長が来られて、エルフの試練を受けたいと・・・」

「何だ・・・ダクラじゃないの。試練を受けに来たの?」


 ダクラが答える。


「そうだ!!」

「受けさせてあげるわよ。どうせ失敗するでしょうしね」

「なら、今すぐに頼む。時間がないんだ・・・」


 私たちは、エレノアにエルフの弓術場に案内された。

 このエレノアというエルフは、女王の娘でダクラにエルフの試練を持ちかけた人物だという。私たちが弓術場に入ると、訓練していたエルフたちは、訓練を止め、一斉に胸に手を当てて頭を下げた。これを見るだけで、エレノアがかなりの力を持っていることが分かる。


「私は王女よ。でもそれ以上にエルフで一番の弓の腕を持っていることが、尊敬されている理由なのよ」


 聞いてもいないのにエレノアは、私たちに自慢してきた。

 ミウが小声で言う。


「そんなことを自慢しても、ダクラに勝てなかったニャ・・・」


 それがエレノアに聞こえていたようで、エレノアはこちらを睨み付けてきた。


「ミウ、余計なことを言わないで」



 しばらくして、エレノアが訓練をしているエルフたちに言った。


「みんな、覚えてる?前の弓術大会で、調子に乗って痛い目を見たダークエルフを」


 エルフたちがざわつく。


「その彼女が、試練を受けに来たんだってさ。まあ、やるのは自由だけど、結果は目に見えているわ」


「それはどうかな?」


「まあいいわ。準備しなさい」


 すぐに準備が始まった。

 準備といっても、私が的がある所に移動するだけだけどね。


「ところで人間の貴方、本当にいいの?下手すると死ぬわよ」

「私は、ダクラを信じていますから」

「勝手にしなさい」


 私はリンゴを頭に乗せて、「鋼鉄化」を発動した。

 ダクラはというと、弓を番えるとすぐに矢を放った。そして、私の頭の上に乗せているリンゴを見事射抜いた。

 あまりのスピードにエルフたちは、驚いている。


「射抜いたダクラ殿も凄いが、それよりもあの人間の女も凄いな」

「ああ・・・こんな状況で微動だにしない」

「余程、精神を鍛えているのだな・・・」


 一方、ダクラの家族とミウは大喜びだ。

 ダクラが言う。


「これで成功だな。早く呪いを解いてくれ」

「・・・こ、これは試練の一部に過ぎないわ。こんな簡単なことが、エルフの試練のわけないじゃない」

「それもそうだな。では、すぐに次の試練を頼む」


 今度は、頭だけでなく、両手にもリンゴを持たされた。

 それもダクラは、難なく射抜いた。

 エレノアは青ざめている。


「なかなかやるようね・・・じゃあ次は・・・」


 どんどんと、要求は高くなっていくが、すべてダクラはリンゴを射抜いた。

 今なんか、足を高く上げて、そこにリンゴを乗せられている。ダクラの試練というか、私の試練に近い。まあ、日頃コツコツと柔軟体操をしているので、何とか高く足を上げることはできたけどね。


 というか・・・ここまで来ると、これは試練ではなく、エレノアの思いつきではないのかと思ってしまう。

 だって、エレノアは今も、ああでもない、こうでもないとブツブツと独り言を言っているからね。


「じゃあ、これが最後の試練よ。そこの人間、リンゴを両手に持って、胸の前に置きなさい。そして、心臓の位置に合わせて・・・」


 私は言われるがままにリンゴを両手に持ち、心臓の前にリンゴを持ってきた。

 エルフたちが騒ぐ。


「何て危険なんだ・・・これが最後の試練なのか・・・」

「そうだな・・・我々でも絶対にできない」


 そんな時、ダクラスさんが私を止めに来た。


「アオイ殿、ダクラのために頑張ってくれたことは感謝する。ダクラには生きてほしい。しかし、アオイ殿を犠牲にしてまでは・・・」


「大丈夫ですよ、ダクラスさん。私には神の加護があります。きっとダクラは助かります。それが神のご意思です」


「す、すまぬ・・・この恩は、必ず返す」


 最近、「神の加護」ということがマイブームだ。余計な説明が省けるからね。


 エレノアが言う。


「やるの?やらないの?早くしてよ。別にやめてもいいんだけどね」

「やりますよ」

「ちょっと、貴方は馬鹿なの?いくら狙いがよくても、威力を調整するのは無理よ。リンゴを突き抜けた矢が貴方に突き刺さるのよ」

「大丈夫です」


 エレノアは今度はダクラに言う。


「ちょっと、ダクラ!!仲間を犠牲にしてまで、助かりたいの?」

「犠牲にはせん。私はアオイを信じている」

「そ、そんな・・・」


 普通はそう思うが、私にはスキルがある。

 ダクラもそれが分かっている。そして、何の躊躇いもなく、ダクラは矢を放った。


 カキーン!!


 矢はリンゴに突き刺さり、私にも当たった。でもスキルを発動させているので無傷だ。


 エレノアが叫ぶ。


「そ、そんな・・・おかしい・・・そうよ、絶対に不正をしているわ!!」

「そんなことはしていない。それよりも早く呪いを解いてくれ」

「認めない・・・絶対に認めない。純血の私たちよりも、混ざりものが優秀だなんて、認められないわ」

「だから、そんなことはどうでもいい。呪いを解けと言っている」


 そんな話をしているところに、かなりオーラのあるエルフの女性が現れた。


「何をしておるのじゃ!?この騒ぎは何事じゃ?エレノア、説明せよ」


「お、お母様・・・これは・・・その・・・」


 ダクラスさんが言う。


「女王陛下、お久しぶりでございます」

「ダクラスよ、息災であったか?」

「はい、お陰様で」

「ところで、これは何の騒ぎなのじゃ?」

「我が娘ダクラが、エルフの試練を受けていたのです」


 少し考えた女王は言った。


「エルフの試練?何じゃそれは?」


 場が一気に凍り付いた。

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