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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第三章 ミウの秘密、ダクラの過去

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47 ダークエルフの里

 ダークエルフの里に到着した。

 普通は10日以上掛かるところを半分の5日で到着した。かなり疲れた。幸いダクラは、まだ爆発していない。


 里の入口で、事情を説明する。

 大勢のダークエルフたちがやって来た。


「姫様が帰って来られた!!」

「連射姫様だ!!」

「今日は祭りだ!!」


 連射姫?


「私の黒歴史だ。気にしないでくれ」


 ダクラが一喝する。


「私に近付くな!!爆発するぞ。呪いが発動したんだ・・・」


 ダークエルフたちは、一瞬で静かになった。

 しばらくして、一人の男が声を掛けて来た。


「ダクラ!!」

「父上・・・」


 ダクラの父親だったようで、ダクラを抱きしめた。


「父上、危険です。呪いが・・・」

「そんなことは関係ない。お前と一緒に死ねるなら、それも悪くない」


 ダークエルフの女性もダクラに抱き着く。


「私もよ。ダクラ・・・ごめんね・・・」

「母上・・・」


 そして、若いダークエルフもダクラに抱きつく。


「姉上・・・僕の所為で・・・」

「気にするな、ダクル・・・私が未熟だっただけだ」

「そんなことは、ありません。僕に勇気がなかったから・・・」


 感動の再会を終えた後、父親が私たちに挨拶をしてきた。


「我は族長のダクラスだ。娘が世話になっている」


「アオイです。こちらのほうがお世話になっていますよ」

「ミウだニャ。ダクラのお蔭で、猫人族は救われ、ドラゴンも倒せたニャ」


「それは本当なのか?詳しく聞かせてくれ・・・」


 それをダクラの母親が諫める。


「長旅でお疲れのようですから、お風呂に入ってもらいましょう。それとダクラは爆発するといけないから、里の外に天幕を張りましょうね。料理も準備しないと・・・」


「そうだな・・・皆の者、我が娘がドラゴンスレイヤーとなった。今日は宴だ!!ただ、ダクラの呪いが発動している。いつ爆発するか分からんから、ダクラには近づくな」


 ダークエルフたちは、歓声を上げる。


 娘が爆発するかもしれないのに、宴って・・・どういう神経をしているんだろうか?


「ダークエルフは、武人気質の者が多い。死は戦士となった時に、既に覚悟している。湿っぽい別れよりも、私もこっちのほうがいい」


 文化の違いだな・・・



 ★★★


 しばらく宴を楽しんだ後、少し真面目な話になった。

 ダクラが事情を説明する。


「分かった。族長として話を通してやろう。我もダクラとエルフの里に同行する」

「貴方、私も行きますよ」

「父上、僕も行きます」


 ダクラは、家族に愛されているのが分かる。

 ダクラの家族とも仲良くなったので、エルフの試練について聞いてみた。


「ところで、エルフの試練って、どんなものなのでしょうか?」


 すると突然、弟のダクルが泣き出した。


「姉上が、試練に失敗したのは僕の所為なんです・・・僕に勇気があれば・・・」


 ダクルが落ち着いたところで、ダクラが話始めた。


「エルフの試練とは、自分の大切な人の頭にリンゴを乗せ、それを矢で射抜くのだ。私にはできなかったが・・・」

「違います!!僕が恐怖で足が震え、なかなか照準が定まらなかったことが原因です。姉上の技量が無かったわけではないのです」

「いや、私も自信がなかった。ダクルの所為では、決してないぞ」


 そんなの非人道的すぎるし、それで呪いが掛かるなんて、理不尽すぎる。

 リンゴを頭に乗せる人だって、命懸けだ。それくらい信頼関係が必要とか言われたら、それまでだけど、どう考えても、嫌がらせにしか思えない。こんなの、いくら弓が上手くても成功させられるとは思えない。


 あれ?ダクラの弓の腕と私のスキルがあれば・・・


「ダクラ、私がリンゴを頭に乗せれば・・・」

「そうだな・・・頼めるか?」

「当たり前じゃない」


 しかし、ダクラスさんが止めてくる。


「それは許可できん。いくらダクラを信頼しているとはいえ、他人にこんな危険なことはやらせられん」

「ダクラスさん、大丈夫ですよ。私はダクラを信頼していますし、矢の一本二本受けたところで、どうということはありませんよ」

「しかし・・・」


 ダクラが言う。


「大丈夫です、父上。こう見えてアオイは強い。そして神の加護を持った正真正銘の聖女だ。いくら白エルフでも神には勝てません」


「アオイ殿、本当にいいのか?」


「もちろんです。この役目はある意味、私しかできませんからね」



 最終的には、ダクラスさんも納得してくれた。

 その後は、ダクラの少女時代の話や面白エピソードを色々聞かせてくれた。ダクラは凄く、恥ずかしそうにしていたけどね。


 特に面白かったのは、ダクラが「連射姫」と呼ばれていたことだ。

 今では信じられないことだが、当時は命中精度よりも、早く矢を大量に撃つことに命を懸けていたそうだ。


「ダクラって極端よね?」

「そうだニャ」


「うるさい!!もう寝る・・・」


 そして、夜が更けていった。

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