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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第三章 ミウの秘密、ダクラの過去

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43 猫人族の村

 依頼を受けた私たちは、猫人族の村に到着した。

 プレダムの町からは、馬車を乗り継ぎ、途中で徒歩に切り替えて、10日程で到着した。


 道中での会話は、ミウの今までの経歴についてが、ほとんどだった。

 子供の頃から魔力量が多く、魔法も得意だったミウは村では、天才少女だったそうだ。そして、15歳の時、ミウに転機が訪れる。ミウに魔法を教えてくれていた近所のお姉さんが、生贄に選ばれた。ミウは大反対した。しかし、そのお姉さんは言った。


「これは仕方ないことなのよ。でも大丈夫。私がドラゴンを倒して、この負の連鎖を終わらせるわ。だから、ミウは心配しなくていいから・・・」


 結局、そのお姉さんは帰って来ず、ドラゴンも無事だったという。

 それからミウは修行に明け暮れた。魔法の威力を極限まで高めるため、伝手を頼ってライダース帝国の宮廷魔導士団にも入った。しかし、結果はクビになり、とりあえず冒険者となって、日銭を稼ぐことになったというわけだ。


「だから、威力だけを追い求めた結果、コントロールは悪いままニャ。それで、クビになったのニャ。でも近距離なら流石の私でも外さないニャ。だから、ドラゴンを倒すだけなら、細かいコントロールは必要ないニャ」


「そんな事情があったのね。だったら言ってくれればよかったのに・・・」


「最初はアオイやダクラのことを信用していなかったニャ。でも、だんだんと二人を自分の事情に巻き込みたくないと思ってしまって、逆に言い出しづらくなったのニャ」


 ダクラが言う。


「事情は分かった。ドラゴンを倒せば問題ないんだろ?」


「それはそうニャ・・・」



 村に着くと、大勢の村人が近寄って来た。

 あまり歓迎されていないようだ。中にはミウに心無い言葉を掛ける者もいた。


「臆病者が今更、何の用だ!?」

「私が生贄になりに戻って来たニャ。今度こそ、刺し違えてもドラゴンを倒すニャ」

「本気か?」

「本気だニャ」


 そんな会話が続く中、一人の猫人族の女性がミウに抱き着いた。


「ミウ!!何で戻ってきのニャ?私が生贄になれば済む話だったニャ」

「マウ姉ちゃん・・・心配しなくていいニャ。それにマウ姉ちゃんは、結婚する予定だニャ?」

「それはそうだけど・・・」


 そんな中、私たちの話になった。


「ところでミウ、こちらの方たちは?」

「私のパーティー仲間で、アオイとダクラだニャ。それにアオイは聖女で、神のお告げを受けて、来てくれたニャ。だから、心配しなくていいニャ」

「そんな偉い方なのですか・・・それは失礼しましたニャ」


 ミウは村人やマウさんを安心させるために、咄嗟に嘘を吐いたようだ。

 もちろん、神のお告げなんてないのだが、それっぽく話を合わせる。


「そうです。私たちは、この村の窮状を救いに来たのです。たとえドラゴンといえど、「神の加護」の前では、無力です」


 村人たちが歓声を上げる。


「これで、この村は救われる・・・ご先祖様も喜んでくれるだろう」

「ああ、本当に有難い。まずは、聖女様のおもてなしをせねばな・・・」


 宴が始まってしまった。


 村人たちの顔を見ると、かなり明るくなっていた。

 私は本当の聖女ではないけど、この人たちを救いたいと心から思った。



 ★★★


 次の日、ミウとダクラと共に作戦を練る。

 ミウが言う。


「私の特大爆裂魔法は、まだ未完成だニャ。威力はあるけど、発動までにかなりの時間が掛かるニャ。発動までにやられたら、どうすることもできないニャ・・・」


「だったら、私が生贄になってドラゴンの相手をしている間に、ミウが隠れて魔法を発動させればいいんじゃないの?」


 ミウが言う。


「私の特大爆裂魔法の威力を舐めてもらったら困るニャ。如何にアオイでも、無傷ではいられないニャ」


「そうか・・・だったら実験をしてみましょうよ」



 それから、私たちはミウの村からかなり離れた草原までやって来た。


「とりあえず、半分の威力で撃つニャ。ビッグエクスプロージョン!!」


 ドカーン!!


 かなりの大爆発が起こる。

 でも私は無傷だった。


「大丈夫よ」

「よし、じゃあ7割の威力にするニャ」


 結果は同じだった。


「じゃあ、最大限の威力でいくニャ!!」


 これも結果は同じだった。


「決して威力が弱いわけじゃないのに・・・落ち込むニャ・・・」


 ダクラが慰める。


「アオイが特別なだけだ。これならドラゴンといえども、ただではすまんだろう」


「じゃあ、私が生贄になることでいいよね?ミウはもっと早く魔法を発動させる訓練でもしたら?」

「そうするニャ」



 ★★★


 私は生贄になると言ったことを非常に後悔している。

 なぜなら、猫耳と尻尾をつけられ、コスプレをさせられているからだ。30歳を超えて、これは非常にキツい。

 どうしてこんなことをさせられているかというと、それはドラゴンに怪しまれないためだ。猫人族の生贄が人間だと、どうしても勘繰られてしまう。


 それはまだ、許せる。

 でも多くの村人が私をスケッチしているのは、ちょっと許せない。

 ミウを通じて、村人にやめさせるように言ったが、聞いてくれない。


「有難い聖女様の雄姿を記録に残すと言って、聞いてくれないニャ・・・」


 ドラゴンよりも、これが私にとって、一番の試練だった。

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