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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第三章 ミウの秘密、ダクラの過去

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42 思わぬ再会

 ダンジョンバトルの熱狂も収まり、私たちはというと以前の活動に戻った。

 スライムやホーンラビットの駆除を続ける。変わったことといえば、シュルト山での依頼が増えたことだろうか。


 北ギルドは支援金を集め、怪我などの事情で引退した冒険者や他のギルドから契約を切られた冒険者を支援する施設をシュルト山に作った。そこの所長は何と受付嬢をしていたマーサさんだ。それにアンさんが所属するマクミラン出版も全面的に支援してくれている。

 なので、月に一度はシュルト山を訪れて、活動する。


 普通の討伐依頼を受ける傍ら、施設に集まってきた冒険者たちに、私は毎回スピーチをさせられているのだ。これも前世の研修で聞いた、それっぽい話をしているのだが、意外にウケがいい。今日もそんな話をしている。


「報われない努力はありません・・・」


 実際は、報われない努力のほうが多いのだが、そんなことは関係ない。とにかく、感動するそれっぽい話をすればいいんだ。


 それと、ノーリたちの「鋼鉄の聖女団サポーターズ」に新しいメンバーが加わった。

 ハーフエルフの少女で、リリィという。回復術師だが、そこまで高度な治療はできないし、ハーフなので、エルフにも人間にも受け入れてもらえず、シュルト山にやって来たようだ。

 ダクラが言う。


「白エルフは、純血主義だからな。私たちダークエルフも馬鹿にされているんだ」


 色々と事情があるのだろう。


 挨拶に来た時に少し話したが、素直でいい子だった。

 きっとノーリたちとは、上手くやれるだろう。


 最近、私は聖女として扱われることが多くなった。

 これは私にも原因がある。スキルのことを事細かに説明するのも面倒なので、すべて「神の加護」と言って、その場を凌いでいたのだが、勘違いした一部の人たちが、「神の加護」があるから、すべての攻撃を無効にできると信じている人も出てきた。そして、私を崇めるようになってしまう。

 その人たちには、そういったスキルだと説明しても、信じてくれない。

 最近は諦め、聖女を演じているのだ。


 ★★★


 その日、私たちはスライムの駆除を終え、ギルドに帰って来た。

 受付で、何やらもめているようだった。ギルマスのケアルさんが応対しているのだが、相手はミウと同じ、猫人族の少女だった。


「ドラゴンの討伐ですか?流石にウチでは厳しいですね・・・」

「そこを何とか・・・他のギルドは、報酬の少なさを理由に断られたニャ」

「そうでしょうね・・・この報酬ですと、割に合いませんからね・・・」

「分かったニャ。では人探しのほうをお願いするニャ。ライダース帝国の元魔導士で、名前は・・・」


 ミウが叫ぶ。


「メウ!!何でこんな所にいるのニャ!?」

「お、お姉ちゃん!!こんな所にいたのかニャ。ずっと探していたニャ!!」


 話を聞いたところ、ミウの妹で、村を代表して依頼にやって来たという。

 そして、依頼というのが・・・


「そ、そんな・・・生贄の儀は、2年後のはずだニャ!!」

「それが、ドラゴンが急に村にやって来て、半年後に生贄を持ってこいって、言って来たニャ」

「それで、今回の生贄は誰だニャ?」

「マウ姉ちゃんニャ・・・」


 ミウが少し悩んで言った。


「アオイ、ダクラ、悪いけど、今日で「鋼鉄の聖女団」を抜けさせてもらうニャ。私はメウと一緒に村に帰えるニャ」


「ちょっと待ってよ!!まずは事情を聞かせてよ。話を聞く限り、深刻な問題を抱えているようだけど?」


「分かったニャ。それくらいは話すニャ・・・」


 ミウが言うには、ミウの村は10年に一度、若い娘をドラゴンに生贄として捧げているとのことだった。

 これは古い伝統で、ドラゴンとの盟約があるのだという。そして、今回の生贄にはミウが志願したそうだ。


「私が魔法の威力にこだわっていたのも、ドラゴンを倒す為だったニャ。私が生贄になり、ドラゴンと対峙した時に、特大の爆裂魔法で討伐するつもりだったのニャ」


 ダクラが言う。


「だったら、軍にでも頼めばいいのではないか?それにそんな村、捨てて逃げてしまえばいい。誰かの犠牲で成り立っているなんて、歪だ」


「そうできない理由があるニャ・・・」


 大規模な軍が差し向けるとなると、ドラゴンに気付かれてしまう。

 そうなると、軍が到着するよりも早く、ドラゴンが村を壊滅させてしまうとのことだった。また、集団で逃げるにしても、結果は同じだという。


「だからご先祖様は、苦渋の決断をしたニャ。村で一番魔力が高い娘を10年に一度、生贄として差し出す契約を結んだのニャ。魔法の制約だから、断ることはできないニャ・・・精鋭の冒険者パーティーに討伐を依頼することも考えたけど、そんなパーティーは依頼料が高くて雇えないし、もし失敗したら、大変なことになるニャ。だから、失敗したことを考えて、生贄の儀に生贄が恐怖で暴れたくらいにしないといけないのニャ・・・」


 つまり、ドラゴンを討伐するには、生贄の儀を利用するしかないみたいだ。

 だったら、答えは決まっている。


「ミウ、それにメウさん。「鋼鉄の聖女団」の代表として言うけど、その依頼を受けるわ。ミウ、それなら文句ないでしょ?ダクラはどう?」


「受けるに決まっている」


 ミウが私とダクラに抱き着いてきた。


「アオイ・・・ダクラ・・・ありがとうニャ・・・」


 こうして、私たちはドラゴン討伐のため、ミウの故郷の村へ向かうことになった。

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