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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第二章 冒険者の町 

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37 共闘

 10階層までやって来た。

 ここにはエリアボスがいる。そのエリアボスは、ビッグホーンブルというBランクの魔物だった。牛型の魔物で、突進攻撃が強力だ。


 ノーリが言う。


「まずは、私たちだけで、やらせてくださいッス!!」


 ノーリたちが戦闘を始める。

 ライトルがライトボールで、ビッグホーンブルの視界を奪い、ノーリが近接戦を行う。そして、ライトルとトールが上手くサポートをしている。


「上手く立ち回っているけど、決定打に欠けるニャ」

「短期間で、よく頑張ったと思うが、少し厳しい感じがするな」


 しばらくして、ノーリが言う。


「今の私たちでは、無理だったッス・・・」

「仕方ないよ」

「で、でも・・・修行を積めば、勝てない相手じゃない・・・」


 三人は悔しそうだ。

 ダクラが言う。


「自分たちの実力を把握して、安全策を取るとは、成長したな。後は私たちに任せろ」


 私たちとノーリたちが交代する。

 作戦は、いつもどおりだ。私が向かって行き、ヘイトを集める。そこにミウとダクラが攻撃を仕掛ける。あっという間にビッグホーンブルは討伐された。


「こ、これが聖女様方の実力ッスか・・・私たちも、まだまだッス」

「そうだな。もっと修行をしないと」

「僕も頑張るよ」


 ビッグホーンブルからは、大きな角と大量の肉がドロップした。

 ダンジョンは特殊で、討伐した魔物が消滅するとドロップアイテムが出現する。なので、解体しなくてもいいのだ。

 大量の肉を見つめながら言った。


「ちょっと早いけど、今日はここで野営をします。肉もあるし、セーフスポットもあるし・・・BBQ大会をやりましょう」


 一同が盛り上がる。

 かなり美味しかった。この肉を売るだけでもかなりの儲けになると思える。しかし、あまりの美味しさにすべて食べきってしまった。


 かなり食べ過ぎた。確実に体重は増加しているだろう。

 帰ったら、少しダイエットしないとね・・・



 ★★★


 次の日、ダンジョン探索に出発する。

 今日はダンジョンバトル最終日だ。気合いを入れて望む。しかし、一向に他チームの姿は見えない。


「まあ、負けたとしても10階層を攻略したから、ギルドとしての面目は立つと思うんだけどな」


「それはそうニャ。最下位でも、北ギルドもなかなかやると思ってもらえるニャ」

「私としては、目標を達成したいが、無理をする必要はないな」


 ノーリたちも同意見だった。

 11階層からは、また魔物も強くなった。それにトラップも巧妙になっていく。斥候としての役割を求められているトールは涙目だ。


「この階層は、僕の鼻が利きません。臭いを消す魔法が掛けられています。それにトラップなんて、見たこともないものばっかりだし・・・」


「大丈夫よ。私に任せて」


 そう言っても、先頭を歩くだけだけどね。


 11階層からは、「鋼鉄の聖女団」の得意パターンで進む。

 私が先頭で、距離を置いて進み。魔物が襲ってきたら、ミウとダクラが討伐する。トラップはというと、すべて発動させ、すべて受け止める。

 11階層も難なく攻略した。


「もう規格外ッス・・・」


 そして、12階層に到着した。



 ★★★


 12階層には、他の三チームが集結していた。

 何やら、もめているようだった。


「お前たちが先に行けよ」

「ここは、お前たちに譲ってやるよ。もしかして、南ギルドは腰抜けか?」

「うるさい!!東ギルドが肉の壁になれ!!」

「おい、西ギルド!!魔導士なんて、大したことないな」


 明かに良い雰囲気ではないが、挨拶だけはしておこうと思い、声を掛ける。


「あ、あのう・・・皆さん、お久しぶりです。何かありましたか?」


 一斉に私に視線が集中した。


「ここまで、たどり着くとは・・・お前らもなかなかやるな・・・」

「だが、ここは簡単には突破できんぞ」

「ああ、突破はできるが、大ダメージを喰らう。そうなれば、バトルに勝てなくなるからな」


 とりあえず、12階層を確認する。

 フロア一面にボンバーロックがひしめき合っていた。


 なるほどね・・・だったら、みんなで協力すればいいのに・・・


 ここまでやって来た精鋭部隊であれば、共闘すればなんとかなるだろう。しかし、それはできないんだろうな。

 一瞬、彼らが自滅するのを待とうと思ったが、やめておいた。それで勝っても、後味が悪いしね。


「ここは私に任せてください」


 ボンバーロックの討伐は慣れている。

 多分、ここ最近のボンバーロック討伐ランキングがあるとすれば、私たちがダントツの1位だ。それに討伐方法も確立している。もはや、ただの作業だ。

 まあ、ただ私が突っ込むだけなんだけどね。


 私がボンバーロックの群れに向かって歩いていると、他チームから叫ぶ声が聞こえる。


「おい!!ちょっと待て!!自分の身を犠牲にすることはない!!」

「そうだ!!早まるな!!」

「おい!!お前ら!!仲間なんだろ?止めろよ」


 ミウとダクラは無視している。


 私がボンバーロックに近付くと、ボンバーロックは一斉に向かって来た。

 森にいるボンバーロックと違い、こちらのボンバーロックは好戦的だ。私も負けじと聖女パンチを繰り出す。そんな攻防をしている内にミウの魔法とダクラの矢が飛んで来た。いつも通り、ミウの魔法は私にもヒットする。


「なんて奴らだ・・・仲間を犠牲にして、仲間ごと撃つなんて・・・」

「北ギルドは、実力だけじゃなく、人としても終わっているな」


 酷い言われようだ。

 でも、いつものことなんだけどな・・・


 しばらくして、ボンバーロックの1体が真っ赤に変色した。


「や、ヤバいぞ!!重装歩兵隊!!楯を構えろ!!おい、ここは一旦休戦だ。俺たちの後ろに隠れろ」

「そ、そうだな・・・」

「非常事態だ・・・好意に甘えよう」


 ドカーン!!


 ボンバーロックが大爆発する。それに伴い、他のボンバーロックも誘爆する。

 辺りが砂煙に包まれる。


「聖女殿・・・敵ながら敬意を表する。バトル後に見舞金くらいは出してやる」

「命を無駄にしおって・・・」

「同感だな。こんな所で命を懸けるなんて、馬鹿のすることだ」


 全部聞こえてるんですけど・・・


 砂煙が収まると、無傷の私が登場する。

 他チームは、呆気に取られていた。


 私は他チームを無視して、他のメンバーに指示をした。


「この階層も少し調査しましょう。ボンバーロックもダンジョンではアイテムをドロップするようだしね」


 他の三チームは、すぐに次の階層へ転移して行った。

 私たちは、ボンバーロックのドロップアイテムを拾い集めている。


 ノーリが言う。


「彼らも共闘すれば、こんな階層、すぐに突破できたのにと思うッス」


「そうよね。でもそれができないから、ああなっていたんでしょうね。この町の縮図だと思うわ」


 冒険者の町ブレダムの負の部分を見た気がした。

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