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鋼鉄の聖女~勇者召喚されたOLですが、不遇なジョブの所為で追放処分を受けました。でも実は、私のジョブは最強のようで、いつの間にか無双しちゃってます。  作者: 楊楊
第二章 冒険者の町 

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30 サポートパーティー 3

 私たちは再び、未開の森にやって来た。

 森に入る前、三人には作戦を伝えていた。


 森に入ってしばらくして、トールが報告する。


「イノシシ型の魔物がいます。3時の方向、多分1匹です」


 トールの言う通り、1匹のグレートボアが姿を現した。

 Bランクの魔物で、三人は不安になっている。


「大丈夫よ。作戦どおりやれば、なんとかなるわ。危なくなったら、助けてあげるから」


 最悪、私が「鋼鉄化」して楯になればいいからね。


 まず、トールがグレートボアを挑発する。

 トールは意外に素早いので、グレートボアから上手く逃げている。そこにライトルが魔法を放つ。


「ライトボール!!」


 眩しい光の玉がグレートボアの顔面を直撃した。

 ただの光の玉なので、ダメージは入らない。しかし、グレートボアの視界を奪うには十分だった。


 視界を奪われたグレートボアは混乱している。

 そこにノーリが特大のハンマーを手に襲い掛かる。ノーリのパワーは相当なもので、あっという間にグレートボアを討伐していた。

 三人は喜びの声を上げる。


「グレートボアを倒したッス!!」

「僕の魔法が戦闘の役に立った・・・」

「これって凄い事じゃ・・・」


 喜んでいる三人に声を掛ける。


「しばらく三人で、パーティーを組んだらどう?それに今日までの調査依頼も、ほとんど貴方たちがやったようなものだしね」


 自信をつけた三人は、その後も魔物を確実に討伐していた。



 今回の調査依頼は、5日という短期間だった。

 依頼者の村長さんに調査結果を報告すると大喜びされた。


「この短期間で、ここまでの成果とは、聖女様方には驚かされます。それに地図も丁寧ですし、採取素材や出現する魔物の分布図もあるし、追加報酬を出してもいいくらいです」

「ありがとうございます。ですが、今回の調査依頼をメインでやったのは、彼らですよ」


 私は、ノーリたち三人を村長さんに紹介した。


「本当ですか?」

「本当です。地図はライトルが、素材採取なんかはトールが、魔物討伐はノーリを中心に協力して行っていました。私たちがいなくても十分やって行けると思いますよ」

「そうですか・・・だったら、今度は彼らに依頼してもいいかもしれませんね」


 ノーリたちは誇らしげだった。


 それから、私たちはブレダムに帰還し、ギルドに報告した。

 ノーリたちが帰った後に私たちは、ギルマスに呼ばれたので、ノーリたちの報告を行った。


「彼ら三人がパーティー活動をするということですね・・・分かりました。シュルト山の調査依頼があれば、今度は彼らだけで、やってもらいましょう」

「お願いします」



 それからの話をしておく。

 トールたち三人は、大活躍だった。順調に調査依頼をこなし、最近では討伐依頼もこなすようになっていた。また、若い彼らは、シュルト山に移住している引退した冒険者から積極的に技能を学んでいる。冒険者たちも熱心に教えを請う彼らには好意的だった。

 村長さんからのお礼の手紙にもこう書かれていた。


「三人とも頑張っています。引退した冒険者たちも、彼らの成長を喜んでいます。いい人材を派遣してくれた北ギルドと聖女様方にはお礼のしようもありません」


 北ギルドの当初の方針では、彼ら三人に冒険者を諦めさせるものだったが、結果的には、彼らの夢を応援したことになる。今後、彼らどうなるかは分からないが、できるかぎり応援したいと思った。



 ★★★


 ある日、私たちはギルマスから呼び出しを受けた。


「大変なことになっています。まずはこちらを見てください」


 ギルマスに渡されたのは、「月刊冒険者パーティー」の最新号だった。ギルマスが指示したページを確認する。

 ミウが驚きの声を上げる。


「凄いニャ!!ノーリたちの努力が認められたニャ」

「うむ。弟子たちが頑張っていると私も誇らしい」


 そこには、ノーリたちがCランクに昇格したことが書かれていた。そして、その指導をしたのが、私たち「鋼鉄の聖女団」であることもね。だから、ミウとダクラが師匠気取りなのだ。


「それは素晴らしいことなんですが、彼らのインタビュー記事を見てください」


 そこには私たちへの感謝とパーティー名の由来などが書かれていた。

 因みにパーティー名は「鋼鉄の聖女団サポーターズ」となっていた。記事を読むと私たち「鋼鉄の聖女団」の下部組織としての位置付けだそうだ。そんな話は一言も聞いてないけど・・・


 更に読み進めると、驚きの内容が書かれていた。


〇ドワーフ女性Nへのインタビュー

「前にいたギルドはクソの集まりッス!!こんなにも優秀な私たちをクビにするなんて、信じられないッス。それに比べて北ギルドと「鋼鉄の聖女団」は素晴らしいッス。将来的には、前のギルドをぶっ潰してやるッス」


〇魔導士Lへのインタビュー

「天才魔導士の俺と契約しないなんて、前のギルドは何を考えているんだか・・・まあ、頭でっかちの魔導士の集まりだから仕方ないか・・・」


〇コボルト男性Tへのインタビュー

「以前に面接を受けたギルドは酷いものですよ。非合法の仕事を請け負わされましたからね。北ギルドに所属し、「鋼鉄の聖女団」から教えを受けたことは、本当に幸運でした」


 記事の締めくくりには、ダンジョン探索メインで活動し、冒険者ランクを自慢する冒険者とギルドへの批判の言葉が記載されていた。


 一応名前は伏せられているが、見る人が見れば、誰なのか分かるし、彼らもそこまで、前のギルドのことを悪く言っていた覚えはない。ノーリは所属していた隊長のことを今でも慕っているようだったし、ライトルは悪口を言いながらも西ギルドの魔導士たちの実力は認めていた。トールなんて、南ギルドの話をするだけで、怯え切っていたしね。


「この記事を書いたのって・・・」


「アイツだニャ」

「アイツ以外にいないだろ」


 アンさんだったか・・・


「これで北ギルドと「鋼鉄の聖女団」は目の敵にされるでしょう。これから各ギルドのギルマスに会って、説明に行って誤解を解くことにしますが、所属しているすべての冒険者の誤解を解くことは難しいでしょうね・・・」


 この記事が発端となり、私たちはトラブルに巻き込まれることになるのだった。

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