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ショートショート5月~

悠久

作者: たかさば
掲載日:2020/05/08

山に、登った。


ずいぶん、久しぶりの登山だ。

若いころは、よく登った地元の山。

険しい山道で、何度もケガをして、何度も痛い思いをして、登った、山だ。


最近の山ブームもあってか、今日の登山者は、多い。

…私が登っていたころは、人気は、まばらだったというのに。


年を重ねてから登る山は、昔を思い出し、ノスタルジックな気持ちを高揚させる。


連なる山々を望み、私は悠久の自然を感じ、長い、長い時に、思いを馳せる。


ここには変わらぬ、ものがある。


私はこんなにも、年を取ったと感じているのに。

なんと人とは、移りゆく時間にもろく、はかないものなのだろう。



大岩棚の渓谷に、間もなくたどり着くはずだ。

険しい岩肌が続く、この渓谷は、若かりし頃何度か怪我をした、危険な箇所。

年を取った今、無事に抜けることが、できるのか。


あの岩肌は、なかった。


何人もの肌を傷つけてきたであろう険しい岩肌は、長い時を経て、人にやさしい、岩肌へと、形を変えていた。

何人もの肌を傷つける度、その険しさは、やさしさを纏い、姿を変えていったのだ。


岩が、やさしさを纏った事実に、悠久の時が、意外と人と近いことを、知った。



頂上に、たどり着いた。

ああ、頂上の風景は、やはりあの頃と、変わらない。


どこまでも続く、真っ青な、空。

時折雲が流れて、表情を変える様は、何年たっても、私の心に染み入る風景だ。

この空は、人類が歩みを始めたころから、何一つ変わっていないのだろうな。


空の青さに、悠久の時を、ひしひしと感じる。


ああ、人は、人は…


「ぎゃはははは!!うわーめっちゃきれー!!すごーい!!」

「ちょ!!マジ疲れたんだけど!!」

「おお、いいねえ、インスタ、インスタ!!」


感動する私の背後に、騒がしい集団がやってきた。

なんという、場違いな、騒がしさだ。

せっかくの雰囲気が台無しじゃないか…。


「この山もさ、登りやすくなったことね?」

「めっちゃ整地されたもんね!!」

「ごつごつ岩もさあ!めっちゃ削られたじゃん?そういうとこだって!」

「確かに、確かに!文明、チョーすげー!!」

「ちょ!文明って、マジウケんだけど!!!」


悠久の自然は、人の手によって、無残にも改悪されていたらしい。


何という事だ…。


しかし、この空は、変わらず、美しく。



「あ!!航空ショー始まるよ!!」

「お!!マジか!!スマホスマホ!!」



青い空に、ド派手な爆音が鳴り響き。

飛行機が次から次へと飛んでくる。


登山者が多いなと思ったら、こういう事だったのか!!!



私は思いを馳せた青空は、文明の証が飛び交い、白い軌跡をいくつも描いた。



悠久だと…?


くそくらえだ!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、なんだかなあとは思いますよね~
[良い点] わーおこれはひどいw [気になる点] これは改悪ですね。ニンゲン向きに改良されましたね。
2020/05/08 12:56 退会済み
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