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山賊

本来はこのベッドの上で花婿と初夜の営みをいたすはずであったが、兄の持つ破城槌の前にはそんな記憶は春の淡雪のごとく散って消えた。


 兄妹は避妊具も無しに契りを交わした。新婚の初夜に花嫁を寝取ってことに至るなど非道の極みではあるが、シラクスに戻ればどのみちメロスの命はないのだ。後のことなど知ったことか。野となれ、山となれ。


 その夜、メロスと妹は何度も何度も体を重ね、やがて宵のまどろみの中に溶けていった。花婿は一人寂しく寝床で沈んだ。


 目が覚めたのはあくる日の陽も高く昇り始めた頃であった。メロスはダルそうに起き、妹の体を蹴飛ばして家の外に出た。南無三、寝過ごしたか、まあええやろ、これからすぐに出発すれば、まあだいたい約束の刻限までには間に合うんちゃうかな。


 きょうは是非とも、あのメスガキに、大人の強さを分からせてやろう。そうして笑って種付けしてやる。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身支度は出来た。さて、メロスは、ぶるんとちん〇んを大きく振って、雨中、だらだらと走り出た。


 私は、今宵、種付けする。種付けする為に走るのだ。ついでに身代わりの友も助けるのだ。メスガキの邪智を分からせる為に走るのだ。

 走らなければならぬ。そうして、私は種付けする。違法に若いメスガキに種付けするのだ。さらば、ふるさと。


 若いメロスは、つらかった。幾度か、立ち止まった。えい、えい、と大声挙げてちん〇んをしごきながら走った。村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村についたころには、雨も止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなってきた。


 メロスは額の汗をこぶしで払い、ここまでくれば大丈夫、もはや妹への未練はない。妹たちは、きっと()い夫婦となって、俺の種の子を育てるだろう。私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要もない。ゆっくり歩こう、と、もちまえの暢気さを取り返し、好きな小歌を汚い声で歌いだした。


「f××k you, you’re f××king wanker……」


ぶらぶら歩いて二里行き、三里行き、そろそろ全工程の半ばに到達したころ、降ってわいた災難、メロスの足ははたと、とまった。


 見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々(とうとう)と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きを上げる激流が木っ端微塵に橋げたを跳ね飛ばしていた。


 彼は茫然と立ちすくみ、しばらくあちこちと眺めまわした。どこかに渡しなどおるまいか。しかしここには普段は橋があるのだ。そんなものあるはずもなし。ましてやこの荒れ狂いぶり。渡しなどいてもいなくても同じであろう。


「さて、こいつはまいったな」


 その小さな呟き声も川の轟音に押し流される。橋も渡しもないのならば、ここはやはり泳いで渡らねばなるまい。しかし流されでもしたら一大事。自分がここで死んでしまったなら、いったい誰がメスガキを分からせるというのか。


 しばらくそんなことを考えながら途方に暮れてうろうろと歩き回っていたが、ふと、何か思いついたようでメロスは立ち止まった。よくよく考えてみればこれもそう悪くはない。日は高く昇り光はさんさんと降り注ぐ。火照った体を冷やすにはちょうど良いかもしれない。


 それだけではない。王城にたどり着いた後の事だ。


 自分は王城にたどり着いて、それで終わりではないのだ。メスガキを分からせねばならぬ。しかしどうだろう。メスガキ相手に対峙して、おもむろに服を脱ぎだせば、さすがに衛兵に止められるやもしれぬ。だがこれが、やむにやまれぬ事情があったならばどうだろう。例えば川で服が流された。


 うむこれならば、きっとフルチンでも言い訳はたつ。なにせあれだけの豪雨だったのだ。整った。メロスは覚悟して飛び込む。なあに、これでも泳ぎには自信はある。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の大人の力を、今こそ発揮して見せる。


 メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのたうち荒れ狂う浪を相手に必死の闘争を開始した瞬間後悔した。


 阿呆であった。最初から全裸になるのが目的ならば、なぜ服を脱いでから川に飛び込まなんだか。だが濁流の飲み込まれた今となっては、もう服を脱いでいる暇などない。


 満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻き分け掻き分け、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐憫を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事ができたのである。ありがたい。


 メロスは馬のように大きな腰震いを一つしてちん〇んの水滴を飛ばす。もう一刻といえども無駄にできない。陽は既に西に傾きかけている。


 ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、登り切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。


「待て」


 道を堰き止めたる山賊は三人。真ん中に陣取る橙のように派手な赤毛の女が口を開いた。どうやら彼奴が頭目の様子。


「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。どけ」


「そうはいかないよ。持ちもの全部置いてきな」


「見て分からぬか。私にはちん〇んの他には何も無い。その、たった一つのちん〇んも、これからメスガキにくらわしてやるのだ」


「その、ちん〇んが欲しいのだ」


「さては、私のちん〇んに見とれてメス堕ちしたくなったか」


 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り上げた。


 メロスはそれをかいくぐって1メートルほども跳躍し、きりもみ回転。飛鳥の如く亀頭が山賊の顎を打ち抜き、山賊はどう、と倒れた。


 「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、今度は勃起したいちもつでもう一人の鼻っ柱に突きを食らわせる。怯んだ山賊は逃げてゆくが、しかしメロスは頭目の女だけは捕まえて組み敷いた。


 見れば年の頃は十四かそこらか。少女から大人の女に生まれ変わる青い果実の季節。悲鳴を上げる山賊の衣服を紙でも破るかの如く、びりびりとメロスの怪力が引き裂く。


 山賊は「いやあっ」と悲鳴を上げるが、メロスは構うことなく平らな胸の肉を揉みしだく。


「ああっ♡ いやっ♡」


 たちまち山賊の頬は紅色に染まり、いよいよ声もメスの色を隠せなくなってきた。


「どれ、こちらにも情けをくれてやろう」


 そう言ってメロスは腰に巻いている布も破りさる。


 此れだけ艶のある声を響かせているのだ、もう準備はできているだろう。そう思ったのだが、しかしメロスは驚愕した。


「お前、男だったのか」


「ううっ、ボクが女だなんていつ言ったよぉ」


 そう。その股間には花のつぼみのように愛らしいものがぴょこんとついていたのだ。なだらかな肩に、薄桃色の乳首、肉付きの良い柔らかな尻に長いまつ毛。そしてさくらんぼのようにつやのあるぷっくりとした唇。この美しい少女がまさか男だなどとは思いもよらなかった。


 だが構わぬ。メロスは常に恋の挑戦者、快楽のヴァーリトゥーダー。彼に禁忌などあろうはずなし。妹の花婿もメスにしてやったのだ。こうなってくれば一人ヤるも二人ヤるも同じだ。右手に唾をぺっと吐き、それを山賊の後ろの菊穴に塗りたくった。


「ちょっ!? うそお♡ する気なの!? ボク男の子だよ!」


 それがどうした。関係ない。男だろうが女の子として扱えば女の子になるんだよ。そういうもんだぜエヘヘヘ……メロスは足を開かせ、腰を押し付ける。少年はもう腕の拘束を解かれているものの、しかしもはや絶望して逃げ出す気力もないようだ。


「ゆ、許して……男も女もいける怪物だなんて、聞いてない」


 しかしもはやメロスは聞く耳など持たない。赦しが欲しければ彼の息子に命乞いをせねばならないが、怒髪天を抜いている彼のものはすでに準備万端、王者の風格。


「アッー!!」


 雨のやんだ快晴の空に、少年の声がこだました。

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