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ショートショート5月~

刹那

作者: たかさば
掲載日:2020/05/08

夕方四時半。

小学校から帰ると、自分の部屋に荷物を置いて、宿題をやり、リビングへと向かう。


大好きなアニメが始まるのは五時。

それまで遊んで待とうと思い、ブロック一式の入ったナップサックを持って、テレビのある部屋に行く。


細かいパーツが雑多に入ったナップサックをひっくり返して、お気に入りのパーツをつなぐ。

今日は、お城でも作ろうか。

ワクワクしながら、夢中になって、組み立てる。


大きめの、お城ができたあたりで、アニメのオープニングの曲が流れ始めた。

私は、完成したばかりのお城を抱えて、テレビの前に移動しようと、足を踏み出した。


その刹那。


足元に乱雑に広がっていたブロックに、私の足が、取られる。


バランスを、崩す。


アニメのワンシーンが、目に焼き付く。


お城を持ったまま、勢い良く、転んだ。



みしっ・・・



「う、うわ、あああああ!!」



私が転んで、起き上がるまでの短い時間。

スローモーションのように、時間が長く、長く感じた。


思えばあれが、私が初めて感じた、タキサイキア現象だったのだ。


わたしは、左腕の骨を、ぽっきりと折ってしまった。

二ヶ月に及ぶ、不自由な生活。


あれからもう何年もたつというのに、はっきり思い出せる、あの瞬間。


あの時見たアニメの画面は、主人公の姉が、でっかいお金を、見せびらかしていた。


あの画面が頭にこびりついていた。

姉妹の繰り広げる、ドタバタバイオレンスアニメ。

内容も覚えていないというのに、ずっとその画面が記憶に残って、いた。


そんなある日。


たまたま、娘が懐かしのアニメを見ていた。

懐かしいなあと、ただなんとなく、見ていた。



見て、いたのだけれど。



あの刹那が、私の中で、動き出す。



あの画面の、続きが。

私の前で、動き出した。

ああ、あのお金は、こういう話だったんだ。


一人騒ぐ私を、娘が訝し気に、うかがう。

おかしなテンションが、私を包んだ。


こんなに何年もたって!

あの画面の続きが見られるとか!

まさに奇跡!!!

でもそんなに面白くない!!!

あは、あはははは!!!



長年私の中で止まっていたあの画面は、今頃になって、結末まで見届けることができた。


少しだけ、左手が、痛いような、気がしたけれど。

多分それは、気のせい、だね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 骨折と結び付けて記憶しちゃってるね笑 痛そうな話…
[良い点] こういう日常のワンシーン いいですねぇ [一言] うーん、自分が自転車で転んで頭から『ズサァァァ!』って逝った時は一瞬でしたね。自分鈍いですから。
2020/05/08 12:50 退会済み
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