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第四章 エピローグ






 それは何時もの昼下がりのことだった。

 日曜日の昼下がり。

 アパートの一室。


 築二十年のアパートで僕はテレビを見ていた。

 番組はアウトドア物である。

 少し前に、とある売れない芸人が趣味であるアウトドアの動画をネット配信開始。

 それが受けて大ブレイク。

 あれよあれよと、地上波でアウトドア系の冠番組を持つまでに大成功した経緯がある。

 その番組を録画していた分を見ていたのだが……。


 相棒が不機嫌な顔で僕に告げた。


『お金が有りません』

「ふうん」


 ボリボリと尻を掻く。

 何言ってるんだか……。


『話を聞いて下い』


 悪質にもテレビを切りやがった。


「聞いてる、聞いてる」


 そう言いながら僕は一万円で買ったテレビを付ける。

 

『今月の食費が無いのです』

「ゑ?」


 思わず何言ってるの?

 等と思いました。


「僕は生活費入れているだろう?」

『一ヶ月2万円ですね』


 うん。

 僕の記憶に間違いはなかった。


「なら良いじゃん」

『そのテレビ幾らしました?』

「中古で1万円だけど?」

『お金は何処から?』

「生活費から」


 何だろう。

 この絶対零度の目は。

 ゾクゾクする。


「まだ一万円もあるんだろう?」

『ええ、今月の初めに渡してくれましたね』

「食費としてね」


 ああ~~良かった。

 記憶違いでは無かったみたいだ。


『それで先日翁から宴会のお誘いが有りましたよね』

「うんそれで?」


 出ると言いましたね。

 ええ。

 付き合いは大事だし。


『それで無くなりました』

「えええええええっ!」


 何でだよ! と言いたい。


「まだお金が……」

『あると思います? 月初めに貰ってから半月経ちましたが?』

「あ~~」


 忘れてました


『それで足りない分を貰おうかと思ったら……』


 その視線はテレビを見ていた。

 すみません。

 無駄遣いしました。


『米も後は一週間で終わりですし』

「あはは~~」


 笑うしかない。


『残りは贅沢を言わなければ何とかしますが……』

「なら……」

『具のないお好み焼きで残り半月を過ごせば……』

「他に代案の提出を願いします」


 思わず土下座した。

 具のないお好み焼き。

 それは卵と小麦粉を混ぜ油で焼いた代物。

 それ以上でもそれ以下でもない。

 究極の貧乏飯だ。



『具が小麦粉の団子だけ水団は?』

「三日で飽きるの確定だから、至急他の代案の提出を」 


 醤油で味を付けたお湯に小麦粉の団子を入れた吸い物。

 唯それだけの代物です。

 出汁すら無い。

 至高の貧乏飯です。


『なので至急かつ早急な金策を提案します』

「バイト?」

『いえ短期間で手っ取り早くお金を稼ぐ手段があります』

「それバイトだろ?短期の」

『安全性は度外視ですが』

「マジか」

『なのに賃金は安いです』

「誰が受けんだよそれ?」

『都市伝説や妖怪ですね。住所不定無職の』

「納得だよ畜生」


 うん。

 

 今回の金策は至急なので仕方ないが、次からは計画的に安全なバイトを選ぼう。


 普通の。



 

 最悪新聞配達だけでもするか。


 そうして急遽二人で金策に動く事になった。

 いや良いけど。



 

























 うん。


 そう思ってた時期がありました。



 いやね。


 うん。



 流石に命の危険がある仕事はやりたくなかった。

 だから相棒に駄々をこねたんですよ。

 うまく行けば儲けものの感覚で。

 そしたらありました。

 比較的安全な仕事。

 その代わり三日で1万円ですが。


 はっきり言えば安い。

 安いんだが……。

 まあ~~ブラックな仕事に比べればマシだろう。

 そう思ったのが運の尽きでした。



 仕事の内容は簡単でした。


 多無羅公園の桜に肥料を撒くこと。



 簡単な仕事。



 そう思いました。



 ええ。





「モフモフ~~」





 肥料の中身を見るまでは。







 ええ。



 現実逃避しました。



 ええ。


「相棒……なにこれ?」



 顔がヒョットコ何ですが。

 しかも四肢の無い。

 何処のサイコ野郎だ。

 この所業は。

 というかこれ都市伝説だろう。

 この状態で生きてるなんて……。

 

『肥料だな』

「おい」


 ジト目で見る。


『と思う』


 相棒。何で視線を僕から逸らす?

 


「……」




 周囲を見ると僕と同じ様に戸惑っているやつが多い。

 というか明らかに妖怪か都市伝説と思うやつがチラホラ居た

 完全に人としか思えないやつもいるが多分違う。

 あれも妖怪か都市伝説だ。

 なんというか雰囲気で分かる。

 人かそうでないかが。


『魑魅魍魎だな。こいつら』



 周りを指差して言う相棒。


「それ確か人に災いを成す……」


 聞いたこと有る。


『いや違う』

「はい?」



『多分こいつらは人と共存することを選んだ奴らだ』

「何で分かるの?」

『『都市伝説職業安定所』は、人と共生を望む妖怪達の支援所だからだ』

「その割に給金が安いが」

『予算の都合』

「世知辛い」

 

 うん。


 

「都市伝説職業安定所にあったバイトはこれなの?」

『そうだな』


 相棒。





 死んだ目は止めて。


 現実逃避は辞めて。




 一人にしないで。


 お願いだから。


 



『罪を犯した都市伝説や妖怪を裁く刑罰の一つを思い出した』

「あに? それが関係あるの?」

『うむ』

「ほう」

『四肢を切り、桜の肥料にするやつだ』



 あ~~。



「それがコレか」


 嫌な汗が出る。



『実際見るのは初めてだが』

「でしょうね~~」



 うん。

 なんて残酷物語?


『取り敢えずコイツラを地中深く埋めるために穴を掘れ』



 相棒?



 目が死んだままだよ。



「了解」



 他の魑魅魍魎も穴を掘り始めたし。

 見習うか。


「なあ~~相棒」

『どうした?』

「此の都市伝説を埋めてたら何か暗雲が出来てるんだけど……」



 というか悪寒がする。



『瘴気だな』

「ヤバくない?」

『大丈夫だ。全部埋めてしまえば無くなる』



 そう言いながら穴を掘る。

 かなり深く掘る。

 僕より先に掘った魑魅魍魎達は既に全身が見えない。

 スッポリと自分の体が入るくらい掘ってるからだ。





 うん。




 犯罪現場みたいだ。



 絵面が。






 ……。

 ………。

 …………。



 考えたら負けだな。





 うん。


 早く仕事終わろう。



















 そんな時だった。




 ソイツらが現れたのは。
























「鬼よ!お前を封印するっ!」

「おああああっ!」

「はあああっ!」




 見慣れた顔の女子中学生と二人の妖怪。

 狐と猫?


 だよな?


 はて?



 僕の方に跳躍してくる。



 白。



 鬼の目って良いね~~。




 うん。


 うん?



 アレ?



 見覚えが……。




「久しぶり浅井じゃん。元気にしてた?」

『知り合いか?』

「クラスメイト』


 手を上げ挨拶する。



「ふあっ!?」


 浅井さんが何故か硬直した。

 何で?


「「え?」」


 ついでにニ体の妖怪も。






 ゲシッ!




 視界が黒く。

 しかも酷く痛いっ!




「ぎゃあああああああっ!」




 そのまま三人に頭を蹴られました。

 何故か。


 なんでやねん。












































「という感じで再会したね」

「「「その節はすみませんでした」」」



 シュールだな。

 大人二人と女子に土下座される男子中学生って。


 うん。



 いや事故だし。


 気にしなくて良いのに。





 うん。




 良いもの見れたし。



 白。





今回は此れまで。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新章の完走お疲れ様でした! 少し分かりにくい構図ですが、主人公の日雇い仕事が連鎖的にガシャドクロを産んだで宜しいのかなと? つまり互いのミスマッチ感? [気になる点] エピローグ2は読手と…
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