妖怪 ※※※※※※※と都市伝説対策課 3
その日一人の女性が夜道を歩いていた。
社内メンバーでの飲み会の帰りだ。
その地味な事務的なスーツ姿から察するに。
「課長のばっきゃろ~~」
フラフラと千鳥足で歩いている。
「ヘイ! タクシー!」
ブウウウウウ~~。
「あ~~ヒック。タクシーが捕まらないよ」
止まらない。
タクシーが止まらない。
タクシーで帰ろうとして手をブンブン振ったが無視された。
タクシーの運転手が渋いのは、遠距離が狙いやすい宴会シーズンが原因なのだろう。
それを考慮すればこの時間帯のうら若き乙女の徒歩は。
普通なら危険案件なので簡単には無視はされまい。
痴漢や暴漢を考えれば。
「まぁ~~この体型だし、痴漢の心配だけはないだろうけどね」
自嘲しながら女性は自分のポッチャリとした体型をみて、ため息を付く。
「仕事のストレスで、暴飲暴食を止められない私が一番悪いんだけどね……」
ふむ。結論がハッキリしているのは、八つ当たりが出来ず面白くない。
だからそれ以外に、このスタイルになった理由を無理やり考えてみる。
「焼肉とビールのセットが美味いのが一番悪いのよ!」
全ては毎年必ずやってくる宴会シーズンがすべて悪いのだ!
そういう事にしとく。
ガチガチ。
ガチガチ。
「うん?」
何だろう?
何か音がした気が……。
後ろを振り向くが怪しいものは何もない。
はて? と女性は気を取り直し、夜道を再び歩きはじめようと……。
ガチガチ。
ガチガチ。
闇があった。
闇が。
「は?」
気がつくと闇があった。
暗い闇。
どこか生暖かい空気が皮膚を撫でる。
ヒュウヒュウと。
「何?」
ガチン。
それが女性の最後だった。
唐突な最後だった。
咀嚼する音がする。
肉を噛みちぎり。
骨を砕く音がする。
悲鳴を上げる時間すら無かった。
ゴクリ。
静寂が当たり周辺を支配する。
その瞬間世界から女性は消えた。
いや違う。
女性はソレの一部になったのだ。
ソレ。
髑髏。
大きな髑髏。
その大きな髑髏の一部に。
なった。
大きな。
大きな髑髏。
それの一部に成った。
ガチガチ。
お墓に埋葬されなかった者。
人の骸骨や怨念が集まった存在。
巨大なドクロ。
夜の暗闇の中でガチガチ音をたて、さまよい歩いていた。
「
「ナウボウアラタンナウ・タラヤヤ・ノウマクシセンダ・マカバサラクロダヤ・トロトロ・チヒッタチヒッタ・マンダマンダ・カナカナ・アミリテイ・ウン・ハッタ・ソワカ」
Namo ratna trayāya namaścanda mahāvajrakrodhāya oṃ hulu hulu tiṣṭha tiṣṭha bandha bandha hana hana amṛte hūṃ phaṭ svāhā
どこかで声が聞こえる。
どこかで。
「おや、お前も復活していたのか?」
「ナウボウアラタンナウ・タラヤヤ・ノウマクシセンダ・マカバサラクロダヤ・トロトロ・チヒッタチヒッタ・マンダマンダ・カナカナ・アミリテイ・ウン・ハッタ・ソワカ」
Namo ratna trayāya namaścanda mahāvajrakrodhāya oṃ hulu hulu tiṣṭha tiṣṭha bandha bandha hana hana amṛte hūṃ phaṭ svāhā
どこかで声が聞こえる。
そうどこかで。
「ナウボウアラタンナウ・タラヤヤ・ノウマクシセンダ・マカバサラクロダヤ・トロトロ・チヒッタチヒッタ・マンダマンダ・カナカナ・アミリテイ・ウン・ハッタ・ソワカ」
Namo ratna trayāya namaścanda mahāvajrakrodhāya oṃ hulu hulu tiṣṭha tiṣṭha bandha bandha hana hana amṛte hūṃ phaṭ svāhā
声の主は見えない。
どこにいるかも分からない。




