妖怪 ※※※※※※※と都市伝説対策課 1
チラチラと舞い降りる桜の花びら。
実はここに居る全員だが……人に見える。
一応。
「一気~~ 一気~~」
コップに注がれた日本酒を飲んでる会社員。
だがその姿はもはや人のそれではない。
その顔も動物そのものだ。
頭胴長。
尾長。
冬場に向けて長短の密生した体毛。
ずんぐりとした体つき。
だが見かけよりは足も尾も長い。
毛がなければ顔つきも犬に似ている。
地方によっては食肉として食べられてる獣。
狸だ。
「狸は獣臭くて食いにくいのよ……」
「こらっ! そこっ! 俺の前で堂々と狸鍋の感想とはいい度胸だなっ!」
思わず呟いた言葉に切れる狸の会社員。
こちらに近づいてくる。
ヤバい。
「いや、貧乏な時代に食った狸鍋を思いだしまして……」
『最近だな』
相棒煩い。
聞こえたらどうする。
「食った事あるなら文句言わずに、美味しく頂いているフリくらいしろ」
「ゑ?」
唖然としました。
ええ。
「どうした?」
「いや、あなたの同族を目の前で食べたら流石に怒られるかと」
普通はそう思うだろうに。
「弱肉強食は自然の摂理だ。文句は言わん」
「あ、はい」
え?
「だが、俺の前で同族の味に文句は言うな」
「すみません」
その言葉を残し向こうに行く。
うん。
やべえ。
狸なのにカッコいい。
『お前の感性、おかしいからな』
そうかな?
その他には何故か主婦が大蛇に化けたり。
或いは大きな蛙がビールを飲み。
ウサギが腹にマジックで顔を書いて踊ってる。
カオスだな。
「まさか猫又の花見に誘われるとは思いませんでした」
『それな』
僕らは思わず遠い目をしていた。
なお都市伝説に変身したままで来てほしい。
等と言われたので悪鬼の姿で来てます。
何でか知らんけど。
あ……。
大蛇が蛙を飲み込んでる。
「お~~飲んでるか?」
遠い目をしてる僕に話しかける一人の老人。
この距離感。
知り合い?
ぽい……。
なんだけど……。
見たこと無い顔です。
「誰?」
「かぁ~~冷たいの~~」
「はい?」
「一緒に死線を越えた仲だろうに」
パンパンと僕を叩くお爺さん。
誰?
「あ~~これで分かるか?」
そう言いながらとんぼ返りをする。
ポン。
……等と白い煙が出て姿が消える。
そこに居たのは九尾の猫又。
「翁!」
「おうとも」
にかっ! と笑う見慣れた猫の姿がそこにいた。
いや良いけど。
というかキャラ変わってない?
いや良いけど。
「人の姿に変身できる化け猫や猫又は、この日のために様々な仕事をしてくれたんだよ」
「翁は?」
視線を逸らすな。
「この日のため儂はスーパーのバイトをした。若いの」
「それはそれは」
苦労したんだな。
「魚をつまみ食いして怒られたり」
「そうでしようねっ!」
当たり前だ。
「それもこれも、この花見のためっ!」
「他は?」
白けた目で見る。
「おせち料理に月一度の宴会の為に働いてるな~~」
「それ全部、費用は若い衆に出させてるんだ?」
ピ~~。
おい。
口笛吹くな。
「まあまあ~~翁様を責めないで下さい」
そこへ現れるのは女子中学生の可愛い子だった。
というかこの中学生。
実はこの中で唯一の人間だ。
但し普通ではないが。
一応顔見知りである。
「そうそう」
「この方は色々と便宜を図ってくれるんですから」
中学生を守るかのように現れる男女。
一人は中年の伊達男。
もう一人は背広を着た女性。
二人はこの中学生の護衛であり人ではない。
妖怪だ。
「つまり便宜を図るから稼ぎを貰ってると」
「……」
視線をそらした。
四人とも。
それ、ただの寄生では?
「まあ~~翁のお陰で戸籍を貰えたり、様々なトラブルを解決したりしてもらえますから」
「それ、偽の戸籍?」
はて?
「まあ~~そうだが……一応人間の家族が居るぞ」
「騙してない?」
「向こうは納得の上で引き取ってるんだが」
「それなら良いんだが……」
うん。
「それで礼金を月に千円程払ってるので、それを集め宴会をしてるんだ」
「足りなくない?費用?」
「酒やツマミに料理は、各自が少ないと思った者の持ち寄りだ」
「強制では無いと?」
「そうだ」
というか宴会好きだな。
都市伝説や妖怪って。
まあ~~良いけど。
今回の収穫といえばこの三人に出会ったのが一番の収穫だろう。
ええ。




