都市伝説<※※※※> 1
咆哮がした。
異形の咆哮が。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
「煩いんだがな~~」
絶叫しながら此方へ近づく異形。
耳を塞ぐ僕。
『おい』
「分かってる」
相棒の言葉に僕は頷く。
すう~~と息を整える。
「悪鬼変身」
キーワードを唱える。
瞬時に都市伝説に戻るキーワード。
此れを唱えることで力を開放される。
人から人外へ。
人間から都市伝説へと。
力が漲る。
都市伝説としての力が。
力を取り戻す僕。
『おいっ!』
「分かってるよ」
相棒の言葉に答える僕。
「ガアアアアアアアアアアアアッ!」
異形は僕に斧を振りかぶる。
異形……数ヶ月前倒した筈の都市伝説。
<夕暮れの殺人鬼>。
へえ……。
何故か愉悦感がする。
にいい~~と嗤う僕。
【物質創造】。
僕は斧を創造する。
手本は眼前に有るので簡単だ。
真似るだけでいい。
ガチイイイイイインッ!
鈍い音がする。
僕と<夕暮れの殺人鬼>の斧が噛み合った所為だ。
「オオオオオオオオッ!」
「だからうるさんだよっ! 屑があああああああっ!」
ガンガンガンッ!
同じ武器での交戦。
不快な金属音がする。
武芸の術理もない。
唯の力任せ。
当然だ。
僕は斧を使った武芸など知らないからだ。
相手も同じようだ。
だから無様な戦いになる。
「ちいいいいいっ!」
「ぐふっ!」
体を捻り僕は蹴りを放つ。
其れを胸にモロ喰らう <夕暮れの殺人鬼>。
人なら即死の一撃。
だけど少しだけふらついた程度だ。
駄目だ。
振り下ろされる斧を僕はそう思う。
武器でないとダメージが通らない。
バキンッ!
僕と<夕暮れの殺人鬼>斧が砕けた。
「けひっ」
ヴウウウウウウウウウウウウウウンッ!
<夕暮れの殺人鬼>の手に芝刈り機がいつの間にか握られてる。
新たな武器を取り出したみたいだ。
というか何処から出してるんだ?
背中に手を回したら出てきたんだが……。
まあいいや。
「ひひっ!」
【物質創造】。
<夕暮れの殺人鬼>と同じ芝刈り機が僕の手に握られてる。
「うひひひひひひっ!」
ヴウウウウウウウウウウウウウウンッ!
心底嬉しそうだ。
ああ気持ちは分かる。
「きゃはああああああああああああっ!」
ヴウウウウウウウウウウウウウウンッ!
僕も気持ちは同じだからだ。
『何だ? 此れは?』
僕と<夕暮れの殺人鬼>の芝刈り機が唸りを上げる。
そして交戦すること暫し。
ガチャ!
バキバキッ!
「ふひひっ!」
「楽しいなっ! おいっ!」
僕たちの芝刈り機が壊れる。
そのまま<夕暮れの殺人鬼>は手を振る。
<夕暮れの殺人鬼>の手に釘打機がいつの間にか握られてる。
新たな武器を取り出したみたいだ。
というか虚空から出したよな?
「何もない所から出したけど何らかの能力か?」
「いひひひっ!」
「答える気はないか」
まあいいや。
「ひひっ!」
【物質創造】。
<夕暮れの殺人鬼>と同じ釘打機が僕の手に握られてる。
「うひひひひひひっ!」
バスッ!
バスッ!
日本の釘打機は安全装置が付いている。
本来は。
基本的に、銃のような構造に出来ないように、安全装置がついている。
先端が物に当たらないと釘が発射できない仕組みになっているからだ。
但し、人の体に当ててトリガーを引くと釘が発射してしまうが……。
此れは安全装置を解除または改造してるんだろう。
空中に釘を放つ事が出来るみたいだ。
工具ではなく殺傷可能な改造銃を僕に向ける。
バスッ!
バスッ!
躱しきれない。
そう判断した僕は左手で釘を受けた。
激痛が走り血しぶきが広がる。
「ひひっ!」
心底嬉しそうだ。
僕も同じ物を<夕暮れの殺人鬼>に向ける。
ああ気持ちは分かる。
バスッ!
バスッ!
「ふひひひひっ!」
「きゃはああああああああああああっ!」
僕も気持ちは同じだからだ。
『まさか共鳴? 鬼という縁でか?』
何か相棒が呟いてるけど聞こえない。
まあ~~大した事はないだろう。
「死にさらせっ!」
<夕暮れの殺人鬼>の脇腹に釘が刺さる。
血しぶきが舞う。
「いひひひひっ!」
<夕暮れの殺人鬼>の打ち出した釘が僕の太腿に刺さる。
「いてええええなあああっ!」
「いひひひっ!」
良いね。
良いね。
ああ~~。
凄く良い。
『やはり此れは共鳴現象か?』
暫くして釘が無くなる。
当然だ。
釘は消耗品だからだ。
僕らは新しい武器を取り出して戦う。
『鬼としての縁が共鳴し<夕暮れの殺人鬼>の能力が複製されている?』
何か相棒が言ってるけど?
まあ~~良いか。
「いひひひひっ!」
「きゃはははっ!」
銛。
金槌。
鋭く尖ったガラス片。
鉄のベルト。
庭バサミ。
次々に武器を変え思う存分交戦する。
「いひひひひっ!」
「きゃはははっ!」
僕が其れに遭遇したの偶然だった。
偶然相対し。
偶然友達は皆殺しにされ。
偶然再会し。
偶然僕は都市伝説と化した。
因縁の有る殺人鬼のせいで。
<夕暮れの殺人鬼>の所為で。
そして数日後またソイツと僕は出会った。
出刃包丁を振り上げる殺人鬼の攻撃を掻い潜る僕。
「フシュウウウウウウウッ!」
右手の持った出刃包丁を躱した僕は懐に入り込む。
「此れでてめえは終わりだっ!!」
左手の出刃包丁を体を捻り躱し心臓に僕のバールを叩きつける。
「ガボッ!」
衝撃で殺人鬼の動きが止まる。
心臓への強打が原因だ。
そのまま滅多打ちにする。
そうしてようやく<夕暮れの殺人鬼>は三度殺した。




