第三章 プロローグ
数カ月後。
2023年2月18日。
多無羅市旧アーケード街。
映画館前。
ここは何時もは人の出入りが激しい。
人気が高い証拠だ。
この映画館が。
映画館。
これはビデオの普及と共に人気に陰りを見せ始めた。
ビデオからDVDビデオに。
更にブルーレイディスクに。
時代が進む毎に進化する映像機器達。
家でくつろぎながらも、様々な映像作品を楽しめる時代になった。
だから映画館が廃れ活気を無くすのは必然だった。
……そのはずだった。
だがその大迫力の画面。
考え抜かれた音響。
溢れんばかりの臨場感。
家庭では普及が難しい立体映像。
それに魅了された根強いファンが応援し続けた。
それが要因で映画館は時代に取り残されること無く生き残った。
ここはそんな映画館の一つだ。
そんな歴史のある映画館だが何故か人の気配がない。
休みではない。
今日は日曜日だが、当然書き入れ時なのでこの映画館の定休日ではない。
従業員は交代制で休みを取るので年中無休だ。
だから休館日ではない。
ではなぜ人の気配がないのか?
何かが起きたのだ。
何かが。
そう何かが。
その結果。
誰も人間が居ない。
いや。
正確に言えばいる。
いたと言うべきか……。
沢山の。
沢山の。
沢山の赤い液体ががぶち撒けられていた。
柔らかい。
軟からかい何か。
柔らかいナニカが散乱していた。
白い破片が彼方此方に飛び散っていた。
その正体は人。
正確に言えば人であった物。
人が殺され撒き散らされていた。
原型を留めず。
映画館の彼方此方に人が散乱していた。
物と化した人間が。
殺されて。
破壊された人体が散乱していた。
それを成し遂げたのは異形。
異形の都市伝説。
その都市伝説の名を人はこう呼ぶ。
<夕暮れの殺人鬼>と。




