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火車(妖怪)8

 









 僕はビルの屋上に登る。

 姿を人に戻して。

 集中している戦闘中なら兎も角。

 普通に歩くと違和感が酷いからだ。

 特に階段に登る時だ。

 目の高さが違うので転倒しそうになる。

 だから人の姿に戻りました。



「さて、頼むぞ」

「分かっている」

 


 ため息をつき、僕に話しかける翁。

 金網に遮られた光景。



「我ら猫の一族は人には見えぬ物を見る能力に長けている」

「それで姿隠しの能力を見破れると?」

「そうだ。そしてそれとは別に念話によるメッセージで此方に伝えよう」



 虚空を見つめる翁。

 ピッ。

 ピッと痙攣する。

 そういえば猫や犬が時折何もない所を見てるのを見たが……。

 アレは人に見えない物を見てるか同胞と会話してるんだね。

 うん。


「坊主。お前の予想通りだ」

「ではやはり……」

「見張りを遠ざけた事により死体に火車が近づいている」

「ならば後は作戦通りに」

「分かった」

  

 


「よっと」


 僕は金網の上まで登るとその頂きに座る。


『危ないぞ』

「分かってるよ みーちゃん」



 待つこと暫し。



「坊主 お前の読みは正しかった」

「では死体に食いついた瞬間を教えて下さい」



 更に待つこと数分。



「食いついた」

「死体からの距離と方角は?」

「二時の方角。後少しで食いつく」

「分かった」







 僕はそのまま飛び降りた。



 

「『おいいいいいいいいいいいいっ!』」




 相棒と翁の慌てる声が背後からする。

 ああ……煩い。

 糞。

 何だ?

 何だ此の感じは。

 都市伝説になる前には感じた感情。

 今は失われた感覚。

 何だ此の感覚は?

 ああ。

 イラつく。

 

 

 ヒュウヒュウと風切り音がする。

 

『きゃあああああああああああああああああああああっ!』



 タンッ。



 相棒の言葉を無視してビルの壁に足を付ける。

 これで止まるわけではない。

 寧ろ逆。

 僕は加速する為にビルの壁に足を付けた。


 ズドンッ。



 景色が更に加速する。



『いやああああああああ速いいいいいいいいいっ!』



 僕は再び加速する為にビルの壁に足を付けた。



 ズドンッ。




『いやああああああああ速いいいいいいいいいっ!』




 ああ。

 煩い。





「悪鬼変身」


 その言葉をキーワードに僕は力を開放した。

 都市伝説としての力を。

 着地した瞬間、僕は内に秘めた妖力の一つを開放する。

 

 その途端周囲の景色が加速された.


 落下速度が上がったのだ。



 ズドドドドドドドドンッ!




『【走行強化】だとおおおおおおおっ!』


 加速に継ぐ加速。

 限界を超えた加速に相棒はひきつる。

 だが構ってられない。



 ズダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!



 遠くにあるビルの下の地面が急速に近づいてくる。

 このままでは地面に叩きつけられるのは確定だ。

 無論、最初からそんな気はないが。

 僕はそのまま跳躍。

 隣のビルの壁を足場に着地。

 その合間に秘めたもう一つの力を開放。

 跳躍に継ぐ跳躍。

 様々な物を足場に跳躍する。

 

 そのまま複数の建物を足場に立体駆動で勢い殺さない。

 方向を見定めて跳躍。


『【跳躍強化】までええええええっ!』


 そのままクラスメイトの死体に覆いかぶさり食らう火車に跳躍。

 滞空時に僕は殺人鬼が持っていた武器を虚空から顕現させる。 




 【物質創造】。





 ヴウウウウウウウウウウウッ!




 新たに顕現した武器。

 


 チェーンソー。



 僕は火車を見て嗤っていたと思う。

 自分の顔だ、直ぐに分かる。


 何だろう。この高揚感。


 分からない。


 クラスメイト、もしくは幼馴染の死体を守る戦い。

 だけど僕は奇妙なことに物凄く高揚していた。


 チェーンソーのエンジン音が響く。




 唸るチェーンソーの刃。

 それを火車の首に当てる。




 ギリギリギリギリギリギリギリギリッ!



「ギヤアアアアアアアアアアアアッ!」



 皮膚を切り裂く音が響く。

 血飛沫のシャワーを浴びながら切り続ける。




 ブツブチブチッ!



 肉の奥の何かを切る音。




 

 ゴリゴリッ!




 骨を削る音が手に響く。



 ブツンッ!

 

 そのまま火車の首を刎ね飛ばした。






 ヴウウウウウウウウウウウッ!




 内に秘めた力から顕現したチェーンソーは唸りを上げる。

 何も切るものがなくなり甲高く。



 ザアアアアアアアアアアアアアッ!



 辺り一面に血の雨が降る。





 

 ああ~~綺麗だな。





 ザシュウウウウウウウウウウウウウッ!

 



 血飛沫が上がる。

 噴水のように胴体から。



「あはっ」



 思わず笑みが浮かぶ。

 綺麗な赤。


 赤い雨に。





「あははははははははっ」


 僕は見惚れた。





「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」



 悲鳴を上げる、離れていた火車の首。

 ビクビクとメトロノームの様に動く

 こんな状態でもまだ生きているみたいだ。

 生き汚い。




 ヴウウウウウウウウウウウッ!




 そのまま僕はチェーンソーで火車の頭を細切れにした。

 そうしたら体は動かなくなった。

 







 ニャアアアンッ!

 ニャアア。

 ニャアアアンッ!

 ニャアア。

 フウウウウウウウウウウウッ!

 シャアアアアアアアアッ!



 

 

 近くにいた猫が僕の着地に驚き逃げ出す。

 猫の中には威嚇してるのもいる。

 扱い。酷くない?


『おい……』

「どうした相棒?」

『何の真似だ?』

「何の事?」



 僕は首を捻る。


『何で飛び降りたか聞いてるんだっ!』

「火車を殺すのに一気に近づき武器の威力を高めるため」

『先に言ええええええええええええええええええっ!』

「断る」

『何でだああああああああああっ!』

「相棒の悲鳴が可愛かったから」

『おまああああああっ!』


 うん。

 赤面してる。

 赤面してる。



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