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307/314

 307『さらば……』

 後始末のためにリカルドとオリヴェル、その騎士団を残して、ジェラルディンはラドヤードとタリアを連れてひと足早く王都に戻って来た。

 そしてバートリとラドヤードにアルバートの遺体を清めさせ、自身も身なりを改めて伯父である国王の元に転移した。

 時は深夜……

 この時刻ならまだ休んでいない事を知っているジェラルディンは、いきなり居間に現れた。


「突然、申し訳ございません」


 そのジェラルディンの装いを見た王はすぐにピンときたのだろう。

 薄いグレーのドレスに小さなベールの付いた同色のヘッドドレスなど、表しているのはひとつしかない。

 王は従者にクリスティアンを呼んでくるように言うと、その後は何人も中に入らないよう申し付けた。

 そしてしばらく沈黙が続く。



 扉がノックされ、クリスティアンの入室の許可を求める声がして、王が直接それに応える。

 扉の向こうで多少戸惑った様子を見せたクリスティアンだが、自ら扉を開けて入ってきた。

 そしてジェラルディンの姿を見て足が止まる。

 彼も状況を察したようだが、今は何も聞かず、そのまま王に挨拶した。



「ではジェラルディン、始めてくれるか」


 いつもより低い声で促してきた国王。

 彼は今、国王というより父親、そして伯父という家族の顔をしていた。


「はい、先日お伝えしたゴセック子爵領を襲撃した盗賊団の件、本日解決して参りました。

 そして……」


「ジェラルディン姉様、みなまで仰らなくてもよいです。

 陛下も僕もわかっていますから」


「では……詳細は後ほど宰相殿たちを同席してお話ししましょう。

 ……伯父上、ここで対面なさいますか?」


 誰と、とは言わない。

 だが王は自らの寝室での再会を望み、それにジェラルディンは従った。


「急な事であったので、相応しいものが用意出来ず申し訳ございません」


 そう頭を下げるジェラルディンだったが、元王子の最期の設えとしては十分なものであった。

 その棺はクリスティアンが隣の部屋から運んできたローテーブルの上に置かれ、家族との最後の対面となった。



「私は今回、どうしてもアルバート様をこれ以上貶めたくなくて、かなり強引な手法を使って彼を連れ帰って参りました。

 他国での事件絡みですので、こののちのことは宰相殿らにお任せしたいと思います」


 暫しの別れの時のあと扉の前に自ら姿を現した国王は、宰相をはじめ外相などを呼び出すように申し渡した。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「見捨てないでくれ。言うことをちゃんと聞く。もう二度とサボったりしないから」 最期はひたすら許しを乞い願う子どもだった。 十ヶ月身近にいたよ。銀髪に翠の瞳だったか。18才くらいだったか。……
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