292『遠征へ』
ジェラルディンが即決したとしてもすぐに出発できるわけではない。
これがもし冒険者だとしても綿密な計画と準備を行わないと遠征など出来ようがない。
だがジェラルディンは常に異空間収納に物資を保管している。
それに転移ができるので、特に食品などは出発してからも調達できる。
「オリヴェル、あなたはすぐに家に帰って準備なさい。
出来次第出発しますわよ。
馬車は家のものを使います」
ジェラルディンはすぐにタリアに命じて学院側に短期休学を申し出て、邸に戻った。
まずは同行するメンバー。
これは、ラドヤードはもちろん、今回はタリアも同行する事になった。
ジェラルディンとタリアは馬車で、ラドヤードは馬で移動する事になり、邸ではてんやわんやで準備が進んだ。
それはオリヴェルの方も一緒で、彼の場合心配した父親によって侯爵家の私設騎士団まで同行する事になったのだ。
こうして思ったよりも大所帯で行動することになった一行は2日後、慌ただしく出発する事になったのだ。
「まずはこれから向かうリカルドの家、ゴセック子爵家の領地は街道沿いの村や町などで宿を取りながら行くと普通は10日。でも今回は馬車で進めるところまで進んで野営する事にして日程を詰めることにします」
ジェラルディンとオリヴェル、騎士団の隊長と特に希望して同行する事になったバートリが出発前の打ち合わせをしていた。
「騎士団の方の分の食事や野営用のテントもこちらで準備しています。
今回、騎士団の方は12名同行して下さるのですね」
ジェラルディンの異空間収納には非常用に多くの物資が備蓄してある。
そうでなければ、これほど迅速に出発することは出来なかっただろう。
「では、出発しましょう」
ジェラルディンとタリアが乗る、バラデュール家の御者が操る馬車は駿馬の4頭立てで、バートリが補助として御者台に座っている。
その傍らの左右にオリヴェルとラドヤードが馬に乗って並走し、馬車の前後に騎士団が配置されていた。
「休憩は細かくとっていきましょう」
日程を圧縮している分、休憩時には初級ポーションを提供し、騎士団のみならず、馬にもポーションを与えてそのコンディションに気を使った。
特に馬には飲ませるだけでなく、その脚に掛けて使うという非常識さにバラデュール家以外のものは吃驚している。
そして慌ただしく、サンドイッチと紅茶で昼食を摂った一行は街道をひた走っていく。




