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 281『転移と火事』

「また少うし背が伸びたのですね。

 ヒールの高い靴を履いた私を完全に追い越してしまわれて。

 クリスティアン様、頼もしくなられましたね」


 ジェラルディンが挨拶である頬へのキスをすると、クリスティアンの顔が真っ赤に染まった。


「そうだわ。

 ご報告が遅れましたが私、ひとりだけですが一緒に転移できるようになりました」


「何と!真か?」


「ジェラルディン姉様、僕を連れて行って下さい」


 クリスティアンの目は単純な興味で輝いている。


「そうですねえ、考えておきますわ」


 さすがに王族をほいほいと連れて行けない。

 ジェラルディンは曖昧に微笑んだ。




 ある夜、王都の下町、スラムに近い一角で火の手が上がった。

 たまたま風のない夜で燃え広がらないうちに消し止められたが、火元は全焼してしまい犠牲者の数もかなりのものとなった。


 普通このような話題は学院で取り上げることはないのだが、今回はそこが一年生の貴族が授業の題材となっていたので騒然となっていた。



「ジェラルディン様、もうお聞きになりましたか?」


 ちょうどその日、ジェラルディンのクラスの貴族たちは自分に割り振られた孤児院経営について発表する予定だった。


「孤児院のことですか?

 ええ、もちろん聞いております」


「残念なことになりましたね。

 どうか、お気落としのないように」


 教師の態度にジェラルディンはきょとんとしている。


「私、課題はちゃんと終了しましたが、レポートをお読みいただきましたか?」


「いえ、火事の報せを聞いて取るものもとりあえずこちらに参りましたのでまだですが」


「お読みいただければそれほど取り乱すこともなかったのに……」


「ジェラルディン様?」


 担当教師はジェラルディンの様子を訝しげに見ている。


「あそこは私が焼かせましたの」


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― 新着の感想 ―
[一言] 貴族があちこちの施設管理者になるのは、疫病の早期発見・早期撲滅のためだよね? ジェラルディンは今度は何の感染症を見つけたんかな?
[一言] 某小野○輔が学生時に夏休みの課題を燃やした話を思い出した。
[一言] >「あそこは私が焼かせましたの」 今回はまだ被害が出てなかったと思ったのだが・・・
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