266『バートリたちの合流』
ジェラルディンたちはこれからの暮らしのために少々手間をかける事にした。
まずは馬車を借りた。
宿の部屋はそのままに2〜3日留守にすると伝えると、2人は馬車に乗り王都を出発した。
ラドヤードが御者を務め、馬車を駆る。
一晩目は野営地での野営だ。
いつものようにゲルを出し、ジェラルディンはバートリとタリアを迎えにいった。
ちなみにまだ一度に1人しか運べないようで、バートリとタリアは別々に転移した。
「これがいつも野営をする時に使っているゲルよ」
先に転移してきたバートリなどはわざわざ外に出てゲルの周りを一回りしたりしている。
そして中に入って頷いている。
「なるほど、この設えならお嬢様に相応しいと思われます」
「野営の場合はゲルの内外に結界石を設置するんです。
そうすれば外からの襲撃も安全ですし」
ラドヤードが説明していると、タリアを連れて転移してきた。
「今夜はラドだけここに留まってもらうわ。
私たちは明朝合流して王都サンドリアンを目指します」
王都サンドリアンの中央門はバートリの目から見ても壮麗と言えるべきものだった。
そこで影の国の身分証明証を提示し、これでバートリとタリアの王都への入場が公式に記録された。
この後、一行は馬車を返却に行くラドヤードを除いて【黄金の林檎】に入っていった。
「お帰りなさいませ」
フロントにいた支配人をはじめ宿の従業員が一斉に頭を下げる。
「ただいま戻りました。
先日話していた、私の側に仕えてくれる者たちです。
首尾よく合流できましたのよ」
「それはようございました。
お言いつけ通り、お部屋はそのままになっております。
従者の皆様、お嬢様のお力に立てるよう、共に精進して参りたいと思います」
「ありがたいお言葉、恐縮です。
後ほど改めて挨拶と打ち合わせにお邪魔します」
バートリは礼を返し、続けて握手をする。
とりあえず顔合わせは終わった。
一行は部屋へと向かい、今回に限り支配人が案内し鍵を開けた。
「あとは2人がやってくれるので、こちらからお願いするまでメイドは不要です」
おそらく掃除や衣服のクリーニングなどを依頼するのだろう。
支配人は一礼すると部屋を下がっていった。
「では、早速お部屋を拝見させていただきます」
まずはジェラルディンの生活する場所、来客用の居間からチェックを始めた。
「どちらかと言えばシンプルですね。
もう少し絵画などをかけても良いと思いますが……
お嬢様、お尋ねいたしますが、この王都にどのくらい滞在なさる予定ですか?」
「最長で6年です。
この王都にある王立学院に編入もしくは入学して、主に薬学を学びたいのです。
明日にでもバートリに学院に行ってもらって詳細を詰めてきて欲しいのです」
そう言ってジェラルディンはアイテムバッグから一通の書状を取り出した。
「これは陛下からいただいた紹介状です。
公式文書ですから無下には扱わないはずです」
ようやく、ジェラルディンの目標に至る目処がつき始めた。




