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255『縁』

「しばらくの間は違和感があるかもしれないけど、徐々に慣らしていって下さい。

 私の護衛も以前腕を再生したのですが、まったく問題なく過ごしているのですよ」


 キミルは両手の掌を開いたり閉じたりしている。


「これで治療は終わりです。

 キミル、よく頑張ったわね」


 大人でも叫ぶほどの痛みが走る、欠損再生である。

 それを彼は小さな身体で唇を噛みしめながら耐えきったのだ。


「キミル、あなたはこれからたくさん遊んで、たくさん勉強して、お父様のお手伝いをしてお仕事を継ぐのよ。

 今日のことを忘れずにいればどんな事があっても乗り越えられると思うの」


 再生された小さな手に自分の手を重ねてから、ジェラルディンは寝室から出ていった。

 その後カイユレ氏に案内されて応接室に落ち着くと、夫人手ずからの紅茶を馳走になった。


「閣下、お約束の依頼料……金貨50000枚×9本、合計450000枚はただいま金子を集めておりますので、誠に申し訳ございませんが、しばらくお待ち下さい」


 ジェラルディンは仰天した。

 そこまで阿漕に金儲けするつもりはないのだ。


「今回Xポーションを合計9本使用したわけですが、単純に本数分の金子をいただくつもりはありませんわ。

 ただ依頼料そのままでは少し問題がありますので……金貨100000枚でいかがでしょう」


 思いもよらない申し出にカイユレ氏は仰天している。

 そして夫婦は同時に膝をついて、ジェラルディンに頭を下げた。


「そのかわり、と言ったら何ですが、カイユレ氏、あなたはかなり手広く商売してるとか。

 私は今オストネフ皇国に滞在しているのですが、もしそちらに支店があるならこの先、便宜を図っていただく、ということにしませんか?」


 カイユレ氏としては願ったり叶ったりである。

 彼の商会は大店だが、王家や王族との取り引きは未だ叶っていなかった。


「もちろんでございます。

 当店はオストネフの王都に支店がございます。

 どうぞ閣下の手足としてお使い下さい」


 そして彼は再び頭を下げたのだ。




 途中で一度戻ってきて、あと3日ほど滞在が延びると聞いたラドヤードは、ジェラルディンの許可を得て近隣の村に隣接する森での討伐依頼を受けることにした。


「良くってよ。

 ラドもたまには好きに依頼を受ければいいわ」


 そして彼は今、ひとりで冒険者ギルドにいる。


「おはようございます」


 受付嬢の挨拶を受け、他の冒険者がちらほらと見えるなか、ラドヤードは大股で掲示板に向かった。

 そしてしばらく見入ったあと、一枚の依頼を剥がして受付に向かった。


「今日はおひとりですか?

 お嬢様はどうなさったのです?」


 まさか体調を崩したのではないかと心配してくれている。


「大丈夫だ。

 主人は今、部屋に篭ってポーションを作成している。

 なので手持ち無沙汰になったので依頼を受けに来たんだ」


 その後ラドヤードは気分良く依頼の場所に向かい、久々のストレス解消に剣を振るった。


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