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226『来客』

 冒険者ギルドの次は商業ギルド、そして薬種ギルドとひと回りして在庫を処分し、次は雑貨屋、質屋、本屋と巡る。

 ポーションは一番値が高かった薬種ギルドで、一本金貨25枚で50本金貨1250枚で売った。それを聞きつけた商業ギルドから金貨30枚での販売を打診され了承する。

 結果、翌日には商業ギルドと冒険者ギルドに各自金貨30枚で50本金貨1500枚で販売し、このヤボートでのポーション販売金額は合計金貨4250枚となった。


「この町でも収入が、ゆうに金貨10000枚を超えたわ。

 これ、少ないけどラドの取り分ね」


 そう言って渡されたのは金貨100枚だ。


「主人様、いつも言わせてもらってますが、たかが奴隷にこの金額は多すぎます」


「いいじゃないの。

 正当な報酬だと思うけど?

 むしろ少ないのではなくて?」


「とんでもない」


 慌てるラドヤードを見て笑みを浮かべていたそんな時、扉がノックされて宿の女将が来客を告げた。


「ヤボートの代官が何の用だと言うの?」


 ジェラルディンは不思議そうだが、ラドヤードはピンときた。

 この度の招聘はおそらく冒険者ギルドでの一件絡みであろう。

 ただその目算は計り知れない。


「どうなさいます?」


 代官からの使者は今すぐジェラルディンたちを “ 連行 ”するつもりのようだ。


「使者どの、代官どのに伝言をお願いしたい。

 我ら、まるで罪人のように連れて行かれる所以はない。

 相応の礼を尽くされるべきであろう」


 目の前の2人を、小娘と冒険者と侮っていた文官は、ラドヤードの殺気に晒され、そそくさと去っていく。



「主人様、これは少しややこしいことになるかもしれません」


「そうなの?

 もしそうでも、力づくでねじ伏せてやるわ」


 ラドヤードは本気でこの町がなくならないようにと、常は信じてもいない神に祈った。



 就寝前にドゥワームの診察をしたジェラルディンは、明日からの行動を制限しないことを言い渡した。


「ポーション治療後も軽く済んで良かったわ。

 でもなるべく無理はしないでね」


 滋養の高い薬湯を勧め、ドゥワームがそれを飲み干すのを見守る。

  “ 頭 ”が割れていた患者にポーションを使ったのは初めてだった。外部に飛散した部位はなかったが、内出血があり、その腫れは致命的だった。


「失った血はポーションでも再生できないの。

 今までは嘔吐が怖くて消化の良いものしか食べてもらえなかったけど、明日からはたくさん食べて下さいね」


 ジェラルディンは、自分を運んでくれる馬車の御者は大切にするのだ。




「さて、明日の準備ですわね」


 侯爵邸の侍女たちの手によって洗い清められ、侯爵家の令嬢として恥ずかしくない装いを用意させて自室で就寝する。


 代官館では楽しいことになりそうだ。


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