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224『ヤボート到着』

 ジェラルディンが戻った翌日、隊商の半分だけでも先に進めようと話し合いで決まり、比較的損傷が軽微だった馬車を含めて出発していった。

 ジェラルディンたちの馬車もラドヤードが手綱を取り、ドゥワームは箱馬車の中で横たわっていく。

 順調なら夕刻には次の町に着く、そんな予定である。


「ドゥワーム、大丈夫?」


 ポーションで傷自体は治っている。

 だがデリケートな部位なのでジェラルディンは少量の解熱剤を服用させ、様子を見ている状況だった。


「はい、申し訳ないです。ルディン様」


 昨夜診察した時よりは熱も下がり、顔色も良くなってきている。

 ジェラルディンの見立てでは次の町【ヤボート】から出立する時には御者台に戻れるだろう。



【ヤボート】に着いたジェラルディンたちは、広場に整列していた騎士団の姿に呆気にとられた。

 実は隊商が盗賊団に襲われて軽くない被害を被ったことが知らされていて、その盗賊団を追撃するために招集されていたのだ。

 そのほとんどをジェラルディンが殲滅したことを知らない騎士団は、ご苦労なことに街道や森をさまようことになるのだろう。

 ジェラルディンは少しだけ気の毒になった。



【ヤボート】は中規模な商業都市のようだ。

 隣国に続く街道沿いで古くから栄えているのだろう。町の佇まいは古都といった風情だ。

 ここでジェラルディンは商人宿ではなく少しグレードの高い宿を取り、ドゥワームを休ませるとまずは商業及び冒険者ギルドに顔を出すことにして、ラドヤードとともに町に繰り出した。

 宿のカウンターで聞くと、小規模ながら薬種ギルドもあるそうだ。

 おそらく数日は滞在することになりそうなので、ここでもあちらこちら散策できそうだ。



 騎士団が留守ということで均衡が崩れたようだ。

 普段は、荒くれの冒険者たちも騎士たちの目があって街中で暴れることは少ないのだが、今に限っては無法地帯になりつつあったようだ。

 まずは冒険者ギルドにて騒ぎが起きており、ジェラルディンがギルドの扉を開けようとした瞬間、ラドヤードに引き寄せられた横を扉ごと男が吹っ飛んでいった。

 中ではハルバートを振り回した男が室内を破壊している。

 木屑が降りかかり顔をしかめたジェラルディンは冒険者ギルドを諦めることにした。

 回れ右して商業ギルドに向かおうとするジェラルディンたちに、先ほどのハルバートを振り回していた男が絡んでくる。


「よう、姉ちゃん。こっち来て酌しろよ」


 ジェラルディンのこめかみに血管が浮き上がり、纏う魔力が膨れ上がる。

 と、同時にラドヤードからも殺気が溢れ出した。

 ならず者のようなこの冒険者は完全に地雷を踏み抜いたのだ。

 ギルド内ではラドヤードの殺気に気づいた連中が後退り、受付嬢たちが立ち上がる。

 一階の異常を察知したのだろう。二階から駆け下りてくるものたちの姿も確認できた。

 そんななかジェラルディンの怒りは爆発寸前である。

 誇り高い貴族、それも王族が酌婦の真似をしろと言われたのだ。


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