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216『ポーション販売』

 このギルドで扱っている素材の見本帳を見せられ、ジェラルディンはいくつか珍しい薬草に目を留めていた。

 早速実物を持ってきてもらい【鑑定】して、頷いた。


「こちらを使ったレシピなどは開示可能ですか?」


「ええ、問題ありません。

 さほど珍しくない、肺や喉を癒す薬ですから」


 炎症を緩和する薬だろうか?

 ジェラルディンの生まれ故郷である影の国では知られていない薬だ。

 この薬は肺炎の治療薬となるかもしれない。


「ではレシピの価格と、この薬草もいくらか欲しいですね。

 このあたりで自生している場所はありますか?」


「ベクトグルラムですか?

 そんなもの、草原や森の中などどこでも生えていますよ」


 女史の態度が幾分柔らかくなってきている。

 このベクトグルラムという薬草の採取が、冒険者になりたてのルーキーが最初に受ける依頼なのだという。


「では、一度採取に行ってみましょうか。

 採取依頼を出す場合はどこが一番、質の良いものが手に入りますか?」


「冒険者ギルドは、玉石混交になりますね。

 商業ギルドで、上質であることを指定して依頼することをお勧めします」


 ジェラルディンは頷いた。

 その後ろからラドヤードが、このベクトグルラムという薬草を覚えようと覗き込んでいる。

 そこに突然、女史が話しかけてきた。


「ルディン嬢、あなた様は貴族ですね?」


「ええ、やはりわかります?」


 背筋を伸ばして座っている姿には気品さえ漂っている。


「貴族で薬師……ということは、お持ちですね? ポーション」


 特に貴族が少ないこのバルヒュット連合国では、ポーションは貴重だ。

 女史はこの機会を逃さないつもりのようだ。


「ええ、もちろん持っていますよ」


 ジェラルディンは異空間収納から、下級ポーションを一本、中級ポーションを一本取り出した。


「拝見させていただきます。

 ……大変結構なお品です。

 できればお譲りいただきたいのですが、どのくらいの数をお持ちですか?」


「そうですね……

 今の手持ちは、あまりないですね。

 20本ずつくらいでしょうか。

 もちろん買い取っていただければ嬉しいです」


 女史の表情が今までにないほど大きく動いた。何と彼女は口許に笑みを浮かべている。


「では、下級ポーションの方は金貨20枚、中級ポーションは金貨50枚でいかがでしょう?」


 同じ国でもずいぶんな値上がりだ。

 ジェラルディンは多少戸惑いながらもポーションを取り出していく。


 ジェラルディンはポーション代、金貨1400枚からレシピ代金貨10枚を引いた1390枚を手に入れた。


「この、ベクトグルラムを使ったレシピはそれほど重要なものではありません。

 今、この場にはこのレシピしかありませんが、明日までにいくつか用意しておきます」


 ジェラルディンたちが女史の見送りを受けて外に出ると、あたりはすでに薄暗くなっていた。


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