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157『決着』

「倒せた……」


 ほとんど放心状態でそう呟いたイレミアスの前には、血まみれになったレッサードラゴンがその首がほとんど切断された状態で横たわっていた。


「皆さん、お疲れ様。

 これでやっと目標は達成出来たわね」


 一切手を出さず後ろに下がって見ていたジェラルディンが近づいてくる。


「タンクの人の具合はどうかしら?

 できれば早々に収納して、この部屋から出たいのだけど……大丈夫?

 動けるかしら?」


 座り込んで動けないものもいる。

 元々体力的に劣る魔法士の男は、真っ青な顔色で、脂汗でぐっしょりだ。


「私たちがいる間は新たな “ 湧き ”はないと思うけど、動けるなら出た方がいいわ」


 ジェラルディンの言いたいことが分かったのだろう。

 こんなところに長居して、もしものことがあったら大変だ。


「皆、アイテムバッグは持っているのよね?

 今はそのまま全部を収納して、どうするか後で考えたらどうかしら?」


 ジェラルディンのように無尽蔵な収納を持つものは他にはいない。

 さすがに、A級パーティーの【死の舞踏】の面々はかなり収納量の多いアイテムバッグを持っていたが、それも限度がある。


「そうだな……

 おいアイザック、お前のが一番たくさん入るだろう。丸ごとレッサードラゴンを入れといてくれないか?」


「そうだな、何とかいけるだろう」


 このままこの場に留まって、不測の事態に見舞われることを恐れたのか、アイザックと呼ばれた魔法士の男はキビキビと動き出した。

 と同時にイレミアスたちもオークロードを収納し、その持っていた得物も集めてしまい込む。

 こうしてものの20分ほどで身支度まで整い、ボスのいた後ろに現れた階段を降りていく。

【死の舞踏】は20階層のボスを攻略し、21階層に到着したのだ。



「さて、これであなたたちとの契約も終了ね」


 この21階層からは、今までとはまったく違う、強化された魔獣が出没する、ある意味魔境だ。

 もちろんこれからジェラルディンたちが目指す50階層以降はその比ではないが【死の舞踏】の今の中途半端な装備では、早晩破滅を迎えるだろう。


「私たちはこれからすぐに下に向かうわ。

 あなたたちは少し身体を癒して、上に戻りなさいな」


「いや、それは……

 頼む、この後も同行をお願いしたい」


 イレミアスは勢いよく頭を下げた。

 それを見ながらもジェラルディンは厳しい顔つきをしている。


「お断りするわ。

 誓約はここまでだし、もうこれ以上付き合う義理はないはずよ。

 それに手負いのタンクを抱えて、これ以上下層でどうするつもり?」


「それは……これからしっかりと治療して、一晩ゆっくりすれば」


「ごめんなさいね」


 そこでジェラルディンが遮った。


「もう、一日でも無駄にしたくないの。ラド」


 元々すべてをアイテムバッグや異空間収納に収めている2人だ。

 ラドヤードがジェラルディンを抱え上げ、駆け出したのに反応出来たのは【死の舞踏】の中で一人もいなかった。


「くそぉ!

 おいおまえら、追いかけるぞ!!」




 健脚なラドヤードは21階層を一気に駆け抜け、次の22階層でも魔獣たちを蹴散らしながら進んで行った。


「主人様、どうしましょう?

 彼奴ら、多分追ってくると思いますが」


「そうね……

 悪いけどもう2階層くらい進んでくれる?

 そこで野営しましょう」


 さて【死の舞踏】は追いかけてこれるのか?


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