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151『ダンジョン前で』

 結局ダンジョンに向かうのには、あれから6日を有した。

 思いのほか屋敷の片付け……いや、どちらかと言えば憲兵隊からの引き渡しに時間がかかって片付けがずれ込んだのだが、その間にラナバルとの示談も完了した。

 結局金子が動く事で解決させた形になったが、今回はそれがベストの形だったのだろう。



「後半は急に来て、色々迷惑をかけてしまって申し訳なかったわ。

 ダンジョンから戻ってきたら、何かお礼をするわね」


 この後、おそらく1ヶ月以上もぐる事になるので、ここでジェラルディンは一旦チェックアウトする事にしたのだ。


「こちらこそお世話になりました」


 支配人は綺麗な姿勢で礼をする。

 彼はこの上品で金離れのよい令嬢のことを気に入っているのだ。


「ダンジョンから戻ってきたら、また滞在させて頂きますわ。

 では、行ってきます」


 この後ギルドに寄ると、例の件で謹慎処分を受けていたバルタンが復帰していて、ジェラルディンはホッとする。

 彼のこの処分は、言っては何だがスケープゴートにされた、とばっちりだと思っていた。

 だがすべてを丸く収めるために本人も受け入れたのだろう。



 雪かきされた道をダンジョンに向かって歩いていたジェラルディンは、監視人たちが立つ入り口の前に見知った姿を見つけて立ち止まった。


「主人様?」


「嫌な奴らがいるわね。

 どうして今日、私たちが来るのがわかったのかしら」


 ラドヤードは、おそらく冒険者ギルドの誰かが知らせたのだろうと思ったが、その事を言わずにおいておく。


「どうします?」


「そうね……」


 ジェラルディンは少し考えてみた。

 ここで避けてもまた一緒なのではないか、と。


「強行突破」


 ラドヤードは主人を抱え上げ、足早に進んだ。近づくに従って射るような視線を感じる。


「奇遇ですわね。

 あなた方も今日からもぐるのですか?」


 わかりきっているくせに白々しく聞いてきたジェラルディンに、イレミアス以外の4人が眉間に皺をよせた。


「ああ、どこかの誰かさんが一向によい返事をくれないので、ここは一発、無理やりついて行こうって事にした。

 よろしくな」


「私は承知しておりませんわ。

 第一、私たちは直接50階層に向かいますのよ?」


「だからそこに参加させてくれたらいいんだ」


「ふうん、確かめた事はないけど、多分50階層をクリアしていないものが乗ったら、弾かれるのではないかと思いますが」


「そんな事、やってみなければわからないだろうが!」


 何をそんなに焦っているのか?

 ジェラルディンにとって素朴な疑問だった。

 それに【死の舞踏】のパーティーの中にはまだ包帯を巻いたままのものもいる。


『ポーションを使えばいいのに、変な人ね』


 そんなふうに思ったジェラルディンだが、彼女は自分がポーションを作成できるからこそ忘れていた。

 効果の高いポーションは高価なのだ。

 だが普通、A級のパーティーならそのぐらいは賄えるはずだ。

 それなのに怪我を治しきれないという事は……彼らがダンジョンの攻略を焦るのも同じ理由なのだろう。

 彼らは金欠なのだ。


「では、試してみればよろしいのですわ」


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