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129『ダンジョンの転移点』

「ラド、それは何なの?」


 ダンジョンの転移点とは何ぞ?

 ジェラルディンはそういった知識に疎く、ラドヤードを見上げるばかりだ。


「主人様、転移点とはダンジョン内に稀にある移動手段です。

 多くはその場から決められた場所まで転移できるシステムです。

 この場合は30階層から1階層まで移動できるようですね」


 そしてこれがあることでダンジョンの攻略がずいぶんと楽になること請け合いだ。


「なるほど……

 それがあれば帰りのことを考えないで良いと言う事なのね。

 それは30階層にしかないのかしら?」


「ルディン嬢、うちのダンジョンはまだ38階層までしか攻略していないので、その先の事はわからないのですよ」


 それも、38階層まで行ったパーティーはたった一つだけ。

 それももう50年近く前の話だ。

 そのパーティーも、二度とダンジョンに潜らなかったそうで、転移点が使われたのもその一回だけ。

 何もかもがわからない事だらけなのだ。


「そうなの。とても楽しみね、ラド」


 ぜひ最深到達階層を更新したいものだ。



 バルタンの話を聞いて、やる気を増したふたりはバルタンにダンジョン攻略は長期になると言った。


「どのくらいの日時を考えておられるのか、お聞きしても?」


「最低でもひと月は予定しています。

 準備は万端で問題ないと思いますよ」


 そう、ジェラルディンには条件付きだが転移の能力がある。

 その気になればいくらでも物資、主に食料が追加できるのだ。


「では、無事のお帰りをお待ちしています。貴重な素材の買取、楽しみにしていますよ」




 ジェラルディンたちの前回の成果を知っている監視人たちは、今回の姿を見ても何も言わない。

 2人とも外套の下にウエストポーチ型のアイテムバッグしか身につけていない軽装だが、もう前回のように疑いの目を向けてこない。


「いってらっしゃい、お気をつけて」


「ありがとう。

 今回は腰を据えて攻略してきます。

 最低でもひと月は戻ってこないつもりですので、ご心配なく」


 こうしてジェラルディンたちの記録更新に向けた攻略が始まった。




 前回と同じようにジェラルディンを抱えて突っ走る。

 もう2人の息はぴったりで、前回以上のスピードで浅層を下りていき、魔獣も素材も無視してきたジェラルディンたちは、気づくと8階層まで到達していた。


「今日はここで野営しましょう。

 主人様はあちらへ?」


「今夜は料理長にとびっきりの夕食を頼んでいるの。

 取りに行ってくるから、ラドはゲルをお願い」


 主人に合わせてすっかり口が奢ってしまったラドヤードは、思わず喉を鳴らしてしまう。

 間なしに戻ってきたジェラルディンは大きなお盆に山盛りの料理を持っていた。すぐにラドヤードが受け取ると、ジェラルディンはまた向こうに行く。

 そしてこちらに戻ってきたとき、その手にあった料理は今まで嗅いだことのない食欲をそそる匂いで、唾液がこみ上げてくる。


「これは “ かれー ”と言う料理なの。

 最近王都で流行り始めた料理で、病みつきになること請け合いの料理らしいの。

 さあ、頂きましょう」


 ひとつの皿に盛られたライスとルーをスプーンで混ぜて口に運ぶ。


「!!」


「これは!?」


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