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118『バルトリとポリ』

 小さな体に見合わない膂力を持って、ポリが自分よりも大きな樽を2つ持ってきた。

 それにバルトリが選り分けたものを次々と放り込んでいく。


「お嬢さん、これらは一体どこから手に入れてきなすった?」


「そうですわね……おもに、今手にしてらっしゃるのは、討伐した盗賊から回収したものかしら。

 これはダンジョンから溢れたゴブリンあたりが持っていたものだと思うわ」


「討伐した盗賊……

 ダンジョンから溢れたって、スタンピードかよ」


 バルトリが呆れたように頭を振っている。


「とりあえず今選り分けているのは、結構使いこまれた剣だ。

 おそらくこれはお嬢さんの言う、盗賊の持ち物だったものじゃないかな」


 ちなみにこれは鋳つぶして再利用する事が十分可能だそうだ。


「こいつは鋳造じゃなくて鍛造だ。

 不純物が少ないからこのまま溶かしてインゴットにできる」


 さすがに現役の盗賊の持ち物だ。

 何しろ武器は奴らにとっては利益に直結する、言わば相棒だ。

 ジェラルディンが遭遇した盗賊は、そのあたりはまともだったのだろう。

 それとも単に襲撃した隊商の護衛たちの得物を奪っていただけかもしれないが。

 そしてジェラルディンが意外に思ったのは、スタンピード殲滅の時に手に入れたボロボロの剣を、バルトリが機嫌よく選り分けている事だ。


「そんなものをどうなさるの?」


 ラドヤードは想像がついているのだろう。ジェラルディンほど驚いていない。


「こいつはこんな見かけだが、俺たちにとっては宝と一緒だ。

 そっちの兄さんは聞いた事があるだろう。

 ……ダンジョン鋼。

 こいつは鉄だが、鍛えれば魔鉄ほどの威力がある、ダンジョンでしか採れない希少な鉱物なんだ。

 なあお嬢さん、こいつはどのくらいある?」


「え……っと、いっぱい?」


「ダンジョン鋼(鉄)は1キロあたり金貨5枚、いや6枚で買い取りたい。

 これはグリップごと測らせてもらおう。

 鍛造鉄は10キロあたり金貨2枚でどうだろう?」


 ラドヤードの方を見ると小さく頷いている。


「ではそれでお願いしますわ」


「じゃあ、どんどん出してくんな」


 中には廃棄するしかどうしようもない剣もあるがそれは稀で、ポリがどこからか調達してくる樽がどんどん運ばれてくる。

 それがいっぱいになると白墨で何かを書きつけ、奥の鍛冶場に運んでいく。


「ポリ、鍛造鉄の方をインゴットにするのはお前に任せる。

 ひとりでやるのは初めてだがお前なら出来る。

 教材と思わず、精一杯やれ」


 思わぬところで、弟子の育成に力を貸すことになったようだ。



「一体どれだけ入る収納なんだよ!!」


 4個目の山を築いたジェラルディンに、バルトリは悲鳴をあげた。


「まだまだありましてよ?

 でも今日はこのくらいにしておきましょうか」


 ジェラルディンはにこやかで、それがバルトリとしては気持ち悪い。


「お、おう。

 そうだな、もう外は陽が陰ってきてるな。

 お嬢さん、ここまでで一度清算しよう。

 おいポリ、今まででどのくらいになってる?」


「はい、親方。

 鍛造鉄の方が、剣83本。重さとして141.1キロ。10キロあたり金貨2枚なので金貨28枚と銀貨2枚。

 ダンジョン鋼(鉄)は剣124本。重さは198.4キロで、金貨1190枚と銀貨4枚。

 合計金貨1218枚と銀貨6枚です」


 ゴミが化けた。


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