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第9章 日光

第9章 日光 


 翌日は朝から2台のバイクの整備、1000kmのサービスも内容はわかっているから自分でできるのだが、Ducatiのオイルサービスランプを消すには、ディーラーにしか無い専用機器が必要だ、市販品の機器を使えば敬純の様に電子系の知識があれば簡単だが、そうするとメーカー保証の対象外になってしまう。

 なので、この部分は敬純はディーラーに任せる事にしている。

新車のV2の方はメンテナンスマニュアルの指定通りのトルクで各部のボルトを確認する、途中から陽菜が自分でやると言い出したので、トルクレンチの使い方を教えて任せてみる事にした……のは良いのだが、デニムのミニスカートのままで整備をするのはちょっと目のやり場に困る、ピンク色のショーツがチラチラして誘われている様な気分になるし、どうやら陽菜も意識してやっている見たいだ。

 昨夜陽菜は母親と長電話をしていたから、もしかして母親に何か言われたのかもしれない。

『若い娘が歳上の男性を惹きつけておくのは体しかないからね』

位はあの母親なら言いそうだと敬純は思っている。

 ランチの後、書斎で撮った動画の整理をしていると、陽菜がまたメイド服で

「御主人様、コーヒーをお持ちしました」

と入ってくる。

「ありがと、いつ見てもそれ可愛いね」

と言うと陽菜は嬉しそうにしてから、真面目な顔になった。

「あの、これお預けします」

と見せて来たのは陽菜の銀行口座のIDとパスワードのメモ、それにオンラインでプリントアウトした残高などのインフォメーションだった、配信収入を殆ど使わないで貯めていたらしく1000万以上の残高がある。

「どういう事?」

「あの、私家賃も生活費も払ってないし、バイクも車も全部買っていただいて、だからこれを足しにしてください」

と言う事らしい。

『へぇ僕の金を使う事しか考えていなかった元妻とは大違いだな』

と敬純は感心した。

「あれ?今までは収入は一旦事務所に入ってそこから手数料を引かれて貰っていたんだよね?」

「はい」

「じゃ、今はどうなっているの?」

「ダイレクトにこの口座に入る様に、真理子さんが変更してくれました」

「そうか、どうかな、陽菜と僕とで一緒のオフィスを作ろうか? 配信収入をそこに入れて、そこから陽菜は給料を取るって感じ、税金対策にもなるしね」

「はい、敬純さんにお任せします」

 と言う事なので、急遽、雅俊に連絡を取って個人オフィスを設立して貰った。

「俺、随分前にそうしろって言ったのに、まだやって無かったのか?」

と呆れられたが、今までは一人だし面倒だったのだから仕方が無い。

 そんな訳で『オフィスH&T』を立ち上げて、配信関係の収入と経費は今後全部こっちで整理する事にした。ちなみに設立に関する面倒な作業は全部雅俊と紹介された会計士に丸投げになる。

 雅俊と会計士とのやり取りはオンライン会議にしてスピーカーから全部陽菜にも聞かせているが陽菜は敬純の膝の上に座ってそれを聞いている。


『なんか、昔の映画の秘書を愛人にした社長みたいだな』

と思いながら、一度マイクをミュートにして

「椅子そこにあるから、隣に持ってきて座ったら?」

と聞いたら

「ここが良いです」

と譲らない、まぁオンライン会議と言っても映像はカットしてあるから問題無いのだが、もし間違えてカメラ機能がオンになったら、また雅俊が

『許さん、手数料二倍』

とか言い出すかもしれない。

 それにしてもオンライン会議とファイル共有アプリ、電子署名でこういうミーティングも本当に便利になったと敬純は思っている。オフィスビルの需要が減ってきていると言うのもわかる話だ。

 しかし、このメイド服、胸の上半分がほぼ丸出しな上に陽菜が今はブラをしていないので、角度によっては丸見えになってしまう、なんと言うか昼間から不埒だと自分でも思う。


 オンラインでの打ち合わせを終えて、また編集作業に戻ろうとするが、陽菜が膝の上から降りない

首に腕を回してキスをせがんでくる。

「仕事している敬純さん、素敵すぎて我慢できなくなりました」

と言う事だ。

「うん、それは嬉しいけど、夜まで我慢しようね、僕も我慢するから、そのメイド服着ていると変な気分になるなら着替えようね」

と言うと、陽菜は残念そうに敬純の膝の上から降りた。

『そう言えば、高校時代の友人が若い後妻を貰って、死にそうになったって言ってたけど、これの事か」

と思って一人で苦笑いをした。


「お疲れの様なので、今夜は頑張って作りました」

と言われて出てきた夕食は

『牡蠣のホットサラダ』『和牛のステーキ・ガーリックオニオンソース』『あさりと海苔のリゾット』

と言うメニューで、

「ありがとう、美味しそうだね」

とは言った物の、どれも夜の元気が出るメニューだった。

まぁでも美味しかったので、敬純は完食したが。

 そんな訳で、夜のお勤めは当然頑張る事になった、まぁ陽菜が可愛いので問題は無い。


 翌朝は早朝に出発する、東北道に入るのに混雑する首都高を使う必要があるからだ。

6時に葉山を出て、7時過ぎにが東北道の川口JCTを通過できた。その後『蓮田サービスエリア』で給油だけして、次の『羽生パーキングエリア』でのんびりと朝食、陽菜は朝から元気に『もつ煮御膳』、敬純は『フライドエッグプレート』を食べて

コーヒーを飲んで出発、MultistradaはV4もV2も純正でクルーズコントロールが装備されているので

東北道の様な高速を長距離走るのはかなり楽な方だ。

「これ、眠くなりますね」

「寝たらダメだよ、歌でも歌って起きて」

とインカムで話しながら、11時頃に日光市に到着、そのまま『霧降高原』まで走って『六方沢橋駐車場』で景色の撮影。

「さてランチは何を食べようか?」

「日光って何が美味しいんですか?」

「うーん、蕎麦、湯葉、あとは何かな?」

「お蕎麦良いですね」

「じゃこの近くに美味しい店があるよ」

 向かったのは霧降の滝の近くの『そば処霧降庵』陽菜は『ゆばそば』を敬純は『ざるとろろそば』

それに追加で季節の『いわなの塩焼き』を頼んだ。

「うーん、いわな美味しい!」

「うん、これは美味いね」

 ランチの後は東照宮を見物してから、『いろは坂』を通って『華厳の滝』から中禅寺湖に、時間が

あるのでDucatiに似合う『イタリア大使館別荘記念公園』まで行って「Caffe Como」でのんびりとお茶の時間。

「素敵な建物でしたね」

「うん、やっぱりイタリア人はセンスが違うな、イタリア行きたいと思わない?」

「え、行けるなら絶対に行きたいです」

「今年はイタリアのGPは2回あって、サンマリノが9月にある、そのあと直ぐに日本GPだから忙しいかな、本当は時間の余裕がある時に行ってイタリアアルプスのツーリングとかしてGP見て帰るみたいな

風にしたいと思っているんだ」

「それ良いですね、海外の道路を走れるなって素敵です」

「今年は9月にサンマリノに行って、来年またってのも楽しいかもね」

「はい、敬純さんと一緒にいると毎日が夢の様に楽しいです」

「そうか、さて、そろそろ行こうか」

 そんな感じで、また『いろは坂』を降りて、今夜の宿『ワンモアタイム』と言う変わった名前のホテルにチェックイン、ここは全室に露天風呂が着いていて大人しか泊まれないお洒落なホテルだ。

部屋は離れの特別室をチョイスしてある。

「いつも豪華な部屋ばかりで、普通の部屋に泊まれなくなっちゃいます」

と陽菜は言うが嬉しそうだ。

「あれ、じゃあもう最初に行った民宿は行きたくない?」

「あ、あそこは別ですね、また行きたいです」

 敬純があそこを選んだのは、料理が美味しいからで別に『試し行動』をしたわけでは無い

だがもし、あの民宿で陽菜が嫌そうな態度をしたら、今の様な関係にはなっていない事は確かだと思う。

 なんて思いながら、一緒に露天風呂に浸かっていると、陽菜が体を預けてきて、自然にキス。

後ろから抱きしめる様にすると、その腕を両腕で包む様にしてくる。

『まぁなんと言うか仕草の一つ々が可愛いんだよな』

と思ってしまうのだから仕方が無い。

 風呂の後は専用の個室ダイニングルームに移動して、創作系の『和牛×魚料理』のWメイン素材のメインディッシュコースと言う料理を堪能。

 和食の温泉旅館も良いが、こう言う所も良いと思う。

「昨日少し編集をしていて思ったんですけど、なんか急にツーリングのご飯や宿が豪華になった見たいって視聴者さんに思われないかなって思うんです、敬純さんと一緒と言うのがバレたらご迷惑がかかりませんか?」

「陽菜はプライベートは何も公開して無いよね」

「はい、名前も歳も……まぁ歳はお酒が飲めるって事でバレてますけど」

「じゃぁ、いっその事『お父さんとツーリング』って事にしちゃう?、それなら豪華なホテルや食事でもおかしく無いし」

「えーお父さんですか、彼氏じゃダメなんですか?」

「僕は構わないけど、歳の差があり過ぎるからお父さんにした方が良いかなと思ってね」

「あ、もしかしてこの間、神社で言われた事を気にされてますか、ごめんなさい、私がすぐに彼氏です

って訂正すれば良かったですね」

『いやそうでは無いんだが』

「じゃ、何回か男性が一緒って感じの匂わせ動画を出して、様子を見てみる?、それで評判が悪くなければ、彼氏が居ますって公表すれば良いかもね」

「そうですね、今編集している動画からそうして見ます、あ、でも『夫婦で雨にも負けず』の方で

高村さんご夫妻と『サバトラ』さんとご一緒したってなってますから、直ぐに敬純さんだとバレちゃうかもしれませんね」

「僕はもう今更、誰に何を言われても気にしないから大丈夫、まぁ世間的には愛人とパパ活って思われるかなとは思うけど」

「そうですね、それはちょっと相談した友達にも言われました、でも好きになっちゃったのは仕方が無いんです」

「そうか、なんか嬉しいね」

「あの、今夜も良いですか?、正直に言うと私、今まで『あれ」好きでは無かったんです、でも敬純さんとこう言う関係になってから、初めて欲しいって言うか、本当に毎晩でもしたいって思えて……変でしょうか?」

「変じゃないよ、男性としてはとても嬉しい事だから、でも僕はもう歳だから、あんまりし過ぎると早死にするかもね」

「え、それは絶対に嫌です、じゃぁ今夜は我慢します」

『昔読んだ本に仙人は接して漏らさず、ってのがあったな、なんかそう言う修行方法とかあるのかな』

などと思った敬純だった。


 部屋に戻って、ベッドでのんびり、珍しく部屋のTVを付けて見たが天気予報だけ見て消してしまった……敬純は普通のTV番組は殆ど見ない、たまに大きなニュースがある時にNHKを見る位だ、そして陽菜も引越しの時に部屋にTVが無かったし敬純の家に来てからもリビングのTVを見ている気配は無い。 その分こうしてイチャコラしながら色々な話ができているのが、また良いのかもしれない。

元妻は、何が面白いのか全く敬純には全く理解ができなかったバラエティ番組を好んで見ていて、会話も殆ど無かった事をふと思い出した。

「明日はどの方面へ行くんですか?」

「紅葉ラインと言う綺麗な景色の峠道があるんだ、まぁ当然紅葉は今は見れないけどね、そこを通って

また東北道で帰るって感じだね、帰りの途中で多分『オイル交換』ランプが付くと思うけど、気にしないで走って大丈夫だから」

 そう言いながら陽菜の背を撫でていると

「もう、せっかく我慢してるのに」

と陽菜がキスを求めてきて……


 翌朝の朝食はスクランブエッグなどの洋風だった、敬純はこの方が好きなのだが、陽菜は和食派だ

だが、ここの朝食は美味しかったみたいで朝から完食している、

 のんびりと美味しいコーヒーを楽しんで、朝のバイクの点検をして出発する。

121号を北上して『日塩もみじライン』に廃墟が目立つ『鬼怒川温泉』を通って『龍王峡』や『太閤下ろしの滝』で動画撮影、途中でも何ヶ所で撮影して『川治温泉』へ、そしてまた途中で撮影をしながら終点の『塩原』へ、そのまま400号で『西那須野塩原IC』で東北道に、後はひたすら南下するだけだ。

 蓮田 SAで遅めのランチ『牛たん炭焼 利久』で、陽菜は『牛たん味くらべ定食』敬純は 『牛タン極定食 4枚8切』をチョイス、ここで給油して一気に葉山まで帰る。

 途中でインカムで

『あ、オイル交換ライト付きました、ええー1000km丁度を見逃した!!」

と声が響いて、眠気が醒める。

 

 特に何も無く無事に帰宅、荷物を降ろしてシャワーを浴びて……当然一緒に入って、身体の洗い合いをする、シャワーから出ると、敬純はDucatiのディーラーに連絡して、初回点検の予約を取る。

 その間に陽菜は洗濯タイムだ。

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