激突
最近更新遅くてすみません。
「なんや? さっきあんな簡単にやられたくせしてワイを倒せるとでも思ってるんか?」
そう言いながらオシリスは構えを作った。
オシリスの疑問は最もだ。ツタという能力が何故か使えるようになった今、俺は先程よりは戦えるようになったとはいえ、簡単にあしらえる程度の者に能力が加わったところで負けるとは思っていないのだろう。
しかも、これはあくまで時間稼ぎだ。俺はオシリスを倒す必要はない。だが――今は負けるつもりがしない。
だから、オシリスの俺に対する質問の答えはもちろん......
「倒せると思ってるよ、絶対にな」
「言うようになったやないか」
そう言ってオシリスはニヤリと笑った。
「顔つきもさっきと全然ちゃうし......、こりゃ期待しても良さそうやな。ほな.......」
オシリスは手のひらを上に向けた右手を前に出すと、指を上へクイッと曲げた。
「少し本気でやったるわ、黄泉軍召喚」
オシリスの呼び声と共に、地面からボコォッと骨の手が出現した。それも一体だけではない、オシリスと墓を囲うように大量に地面から骸骨達が這い出てきた。
中にはゾンビや落ち武者なども混じっており、百鬼夜行でも起こすつもりなのかと思うほどの光景だった。
「なんだこれ......アンデット系の軍団か......?」
「正解や、こいつらもそれなりに強いんやで?ワイとお前くらいのステータスならそんなに痛手は食らわんやろうけど、影の傀儡とかなんとか言うてた奴等からしたら一撃でも貰えば即死レベルや」
「ってことは......!!」
母さんや影の傀儡の人達が危ない! と思った俺は後ろを振り向いた。
そこには多数のアンデット達に囲まれ、攻めこまれそうになっている母さん達が居た。
「危ない!!」
俺の声もむなしく、アンデット達は四方八方から母さん達に襲いかかって――。
「南無阿弥陀仏!」
「「「ガギャアァァァァァァァ!!」」」
母さんの唱えた魔法(?)により、母さんを中心に魔法陣が地面に描かれ、四方八方から近づいてきていたアンデット達はその魔法陣に足を踏み入れた瞬間、断末魔のようなものをあげながら姿を消してゆき、それを見て他のアンデット達は足を止めた。
母さんはそんなことも気にせず、適当にアンデット達が固まっている場所を指差すと
「貴方たちも南無阿弥陀仏!」
「「「「ギャグァァァァァァァァァァ!!」」」」
どんどんと魔法陣を展開させアンデット達を成仏させていた。
......うん。あれだな。心配するだけ無駄ってやつだなこれ。でも、これなら後ろは気にせず戦えそうだ。
改めてオシリスの方を見ると、母さんの無双ぶりを見て少し諦めたような顔をしていた。
「なるほど......アイツには黄泉軍は通用しないんやな......、せやったらまずは兄ちゃんを殺してからアイツもワイが殺せばええわ!」
オシリスはそう結論付けたあと、黄泉軍を引き連れて俺の方へと向かってきた。
対した脅威には成りえないとはいえ、このアンデット達が邪魔なのは事実。だからまず俺は数本のツタを纏めさせると、前方を凪ぎ払った。
避けきれずにそのまま吹き飛ばされたアンデットが居れば、回避してこちらに向かってくるアンデットも居た。もちろんオシリスも飛ぶことによってツタを避けてそのまま上から俺に飛びかかってきた。
そのオシリスに向けて、俺は多数のツタをオシリスを貫くように伸ばした。
地に足が付いていなければ避けることは不可能、そう思っての行動だった。そして狙い通り俺の出したツタのうちの一本がオシリスの右胸の辺りを貫いた。
「よし! これで――」
が、オシリスはツタに貫かれていることなどまるで気にする様子も無くそのままこちらに向かってきて、そのまま驚いている俺を蹴り飛ばした。
「がっ!?」
飛ばされながらもなんとか体勢を立て直したので、倒れることは避けれた。
「痛......、どういうことだよ......」
何故効いてないんだ。と思ってオシリスを見ると、自分の体を貫いているツタを引き抜こうとしていたが、中々引き抜けなかったようで、少し不満げな顔をしたと思ったら、ツタをそのまま持ち上げた。すると、ツタはオシリスの体を容易く切り裂いた。オシリスはツタに肩まで切り裂かせると、ツタを体から抜くことに成功していた。
しかしそれだけでは終わらなかった。胸元から肩までの切り裂かれた傷はみるみるうちに修復されていった。
「また再生かよ......、ロキといい、アンタら再生好きなのか?」
「正確には、″再生″じゃなくて″再構築″やけどな」
それは何が違うのかはわからなかったが、少なくとも再生する魔物の特徴としては核があるということだ。
そこさえ破壊してしまえば、再生することは出来ず、命を絶つことが出来る。
もしもオシリスが同じように核があるとするならば......。
「探るしかない......な」
核のある場所に攻撃しようとすれば、きっとオシリスは避けるだろう。
そこから核の場所を導きだすしかなさそうだ。今は倒すことは考えずに手数を増やして、核の場所を探ることに専念しよう。
「休んでる暇は無いで!!」
そう言って向かってくるオシリスに向けて俺はツタを伸ばした。




