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異常なセンサー

 しばらく無心で耐え続けていると、ヘレンさんが俺の腕を離して立ち上がった。


「もう十分かな。そろそろ帰ろっか、アル君」


「あ、はい……」


 よ、ようやく終わった……。


 内心ホッとしながらヘレンさんに続いて立ち上がると、二人で旅館に向かって歩き始めた。


「私のわがままに付き合ってくれてありがとね」


「いえ、こちらこそ散歩に付き合ってくれてありがとうございます」


「あらあら、お礼なんて言わなくてもアルの行くところならどこへでも付き合ってあげるわよ?」


 …………ん?


 念のためヘレンさんの方を見てみるが、ヘレンさんは慌てて首を横に振った。


 だよな……。そもそも声が全然違ってたし。


 ってか今の声、どっかで聞いたことあるような……。


「……やばい!!」 


 俺はヘレンさんの手を掴み、そのまま走り始めた。


「アル君! 一体どうし――」


「許さないわよアルぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」


 ヘレンさんの声は、とある人物の叫びによってかき消された。


 後ろを確認すると、先程まで俺たちが居たところに一人の女性が立っていた。


 というか母さんだった。何故ここにいる!?


「何故ここにいる……って顔をしているわね。でも別に不思議なことじゃないのよ。 何故ならアルが変なことをしていたら私の脳内アラームが鳴り響くようになっているから!!」


「どんな方法でそんなことしてんだあの人!?」


 というかそもそも影の傀儡さんたちは何してるんだ!? 出来るだけ見つからないように計らってくれるんじゃなかったのか!?


 旅館当てられたあげくに何度も遭遇する羽目になってるんだけど!?


「それについては申し訳ない」


「あんたらはどうしていきなり出てくるのが好きなんだよ!! そしてナチュラルに心を読むな!!」


 いつの間にか俺たちの横を並走していた影の傀儡の構成員であるセロは、困ったように頬を掻きながら


「いやぁ本当に申し訳ない。なんとかバレないように出来ないかと手は打ってみたんだが全て意味がなくてね。というかそもそも、あの超高精度な君限定センサーを欺くのは無理があったね。ハッハッハ」


「笑い事じゃないんだけど!?」


 俺がそう言うと、セロさんは表情を和らげ、


「だが安心したまえ。こうなったら私が直接説得してこようではないか」


「……出来るのか?」


「ああ、任せたまえ。――さて、たまには格好良いところを見せるとでもするか!」


 セロさんは逆走をして、母さんの方へと向かい始めた。


「……あの人、大丈夫かしら」


「大丈夫ですよ。あそこまで格好つけたんだし、ある程度は時間を稼いでくれるはずです」


 俺はそう言った後に後ろを確認してみると、セロさんが母さんの前に立っているのが見えた。


「ルシカ様! お話があります!!」


「……セロ? 私は忙しいの。どいてくれないかしら?」


 怖い表情をした母さんに怖じ気ずかずに、セロさんは口を開いた。


「どくわけにはいきません! 何故なら今はアル様の――!」


「ど・い・て?」


「すみませんでした」


 早ぇよ。俺の父さんと同レベルじゃねぇか。さっきの格好付けは何だったんだよ。


「うふふふふ。安心してアル。別に何もしないから、だからこっちに来なさい?」


「とりあえず安心出来ないことだけはわかったよちくしょう!!」


 まあ、それは最初からわかってたけどな。


「アル君のお母さんってほんっっっとに強敵ね……」


 そう言って、ヘレンさんはとても深くため息をついたのだった。


 深夜の鬼ごっこはまだ、終わらない。

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