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裏事情

更新分書いてたら操作ミスで全部消えてしばらく放心状態になった今朝3時。

「何故だ……。有り得ない……!」


 領主は頭を押さえながらゆっくりと立ち上がった。


「魔法を使った様子はなかった。何かあったとすれば石が…………石?」


 領主は俺の足元で砕け散っている石を見ると、俺に視線をやり、


「貴様! その石はなんだ!! それでどうやって|我が能力の産物(石)を破壊した!!」


 貴様……ね。本性が見えてきた。随分余裕が無くなってきたな。


「別にこの石で壊したわけじゃない」


「な、に……」


 俺は床に砕け散っている石の欠片を人指し指と親指で詰まんで拾い、領主の方にその腕を伸ばした。


「この石は必ずツガイになっていて、片方の石が壊れた場合、もう片方の石が発光する。何かの作戦のとき簡単な合図とかに使われるんだとさ」


「合図……? 貴様、まさか他の仲間が居たというのか!?」


「まあ、そういうことだな」


「有り得ない! 私は貴様とその娘が2人だけでこの街に来るのを監視していた! 他の仲間など居るはずがない!!」


 その言葉に、俺は小さく笑い、


「そうとも限らない。監視してたってことは、リネアに何かしらの魔法を使って細工してたってことだろ? それで、リネアを中心とした一定範囲の監視をしていたんだよな?」


「……それがどうした」


 やっぱりそうか。と、俺は頷いたあと。


「なら、リネアの目が届かない位置で俺が何かしてもお前にはわからないってことだよな?」


「……貴様、まさか最初から気付いて……!?」


「いや、今回は偶然こうなっただけだ。何しろ、協力してくれた人達はまず来てくれるかどうかもわからなかったからな。変にリネアを期待させないためにも言わないでおいたんだが、街に入る前からリネアの様子がおかしかったから、念のため街に入った後も秘密にしといたってだけだ」


 話は俺達が王都を出発した当日に遡る。


 俺は一度リネアを置いて自宅に戻り、ファルへと手紙を書いていた。


 手紙にはリネアから聞いた話と、可能ならばこのような分野に詳しい人をガル街へ寄越して欲しいと書き、合流については、ガル街に到着する予定の翌日早朝、つまり3日後の朝にガル街の門付近でしたいと書いておいた。


 ガル街に向かっている途中はファルに手紙が届いているのか、そして来てくれているかが心配だったし、ガル街に着いてからもそうだった。


 ガル街で一泊をした翌日、朝を迎えた俺はローブを被り、不安になりながらもガル街の外へ出た。


 しばらくキョロキョロと周りを見渡してみたものの、それらしき人影は見つからなかった。


「やっぱり頼んだのが急すぎたよなぁ……」


 そう呟いて落胆した俺だったが、ふとこちらに向かってくる集団が目に入り、もしやと思ってそちらに向かってみることにした。


 だが、その集団は全員平民のような服装をしていて、ファルが寄越してくれた人達では無さそうだった。


「ダメ……か」


 俺は再び落胆して項垂れたが、その俺に対して、集団の代表らしき人が声をかけてきた。


「失礼いたします。一つお伺いしたいのですが、貴方が手紙の主様でしょうか?」


「……え?」


 どうやら、この人達がファルが寄越してくれた協力部隊らしい。


 平民の格好をしているのは怪しまれないようにするためだったらしく、俺は彼らに感謝の言葉を述べた。


 来てくれたのは精神汚染魔法に詳しい者、洗脳魔法に詳しい者、催眠魔法に詳しい者、そして俺の村に調査に向かったと思われる神官2人の計5人が来てくれた。


 どうして神官まで来たのかと思ったが、邪気を感じとるのも得意分野らしく、こういうところでも力を発揮出来るのだそうだ。神官強い。


 とりあえず現時点での状況を伝え、その場は一旦解散することにした。


 何故なら、リネアがくれたお守りを着けていないと、狂ってしまう可能性があるからだ。


 そのため俺は一度家に戻り、無理を言ってリネアからお守りを10個貰ったあとに再び彼らと合流し、予備含め一人2個ずつお守りを渡した。


 これでようやく街中の調査が出来るようになり、俺は彼らが居れば原因を見つかるかもしれないと期待しながら街中に入って調査を開始した。


 その結果、なんともあっさりと原因が見つかってしまった。原因は街の中央にある石像。その内部に、原因となる何かがあるそうだ。


 というかぶっちゃけこんなに早く見つかるとは思わなかった。まだ30分も経ってないぞ。


 そもそも街の広場通りかかった瞬間に、


「これですね」


「ここ以外有り得ないです」


「あれです」


「見つけました」


「石像の中……ですね」


 と全員が口を揃えて特定したのが本当に怖すぎる。何でわかるんだよ。


 流石この分野のエキスパート……ということなのだろうか。


 ともかく、彼らの協力のおかげで即座に原因は見つかったのだが、第2の問題にぶつかった。


 この石像を今すぐ破壊するか否かだ。今すぐ壊したとしても、黒幕の正体が掴めていない状態で壊せば、黒幕は逃げ出してしまうかもしれないし、だからと言ってこのままにしておくのも危険だ。


 しばらく話し合ったが、結局どうするかは決まらず、その日は解散となった。


 だがその翌日、領主から謁見を許可するとの手紙が来たとき、俺はすぐに彼らの元へ向かった。


 そして領主が怪しいということと、明日の昼頃謁見が出来ることになったということを伝えた。すると、


「それならば謁見中に領主が黒幕だと判明した場合は私たちは石像を破壊し、危険が伴うことにはなりますが、貴方様には黒幕を打倒して頂く……というのはいかがでしょうか?」


 それなら黒幕に逃げられることもないし、石像も破壊できるな。けど……。


「私が黒幕を倒すというのは大丈夫ですが、領主が黒幕だと判明した場合、どうやって貴方達にそれを伝えれば?」


 俺がそう聞くと、彼らはニコリと笑い、


「こんなときこそ、これを使えば良いのです」


 そう言って渡されたのが俺が作戦に使用した使い捨ての石だった。


「もしも領主様が黒幕だとご判断出来たときは、この石を壊してください。そうすれば私たちの持つこのツガイの石が発光し、石像を破壊しろという指示を私たちに出すことが出来ます」


「……便利な石ですね」


「ええ便利です。……ですが極稀に砕いても反応しない"カス石"が混じっているときもありますので個人でご使用の際は気をつけてください」


 どうやら随分と酷い呼ばれ方をしている個体もあるようだ。


 だが今回は見事に当たりの石を引き、指示を彼らに伝えることが出来た。


 彼らはちゃんと役割を果たしてくれたわけだし、俺も自分の役割を果たさなきゃな。


「……アルさん」


 後ろから、リネアの声が聞こえた。泣きそうな表情をしながら俺を見ているリネアに対し、俺は笑みを見せ、


「なっ? 信じろって言っただろ?」


「……はい!」


 リネアは涙を流しながらも、笑顔で答えてくれた。

もう同じミスなんてしない……!

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