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覚悟の言葉

シリ……アス……なのか?



……なんだこれは()

 なんとか前日に準備を終え、いよいよ謁見当日。俺は支度を終えるとリネアに声をかけた。


「こっちは準備出来たから、いつでも行けるぞ」


「……はい。わかりました」


 リネアは昨日の夜から……正確には俺が昨日帰ってきてからずっと元気が無い。


 色々と不安なのだろう。それに、もしも領主が黒幕ではなく、なおかつ領主を黒幕だと疑っていたとバレてしまえば、不敬罪のようなものを問われるかもしれない。


 でもぶっちゃけ、俺はもし領主が黒幕じゃなかったらどう誤魔化すかなんてまったく考えていないので、そのときはそのときで臨機応変に対応しよう。


「……私も準備、出来ました」


 リネアも支度が出来たみたいだな。よし、時間も丁度良さそうだし、出るか。


「それじゃ、行くか」


「待ってください」


 俺が玄関の扉に手をかけたところで、リネアに呼び止められた。


「どうした?」


「いえ、その……なんといいますか……」


 リネアは狼狽えながらも、一言一言、言葉を紡いだ。


「その、やっぱり、あんなに早く返事が来るなんておかしいですし、罠の可能性もあります」


「そうだな」


 というか十中八九罠だと思ってる。……罠だよね? 外れてたら恥ずかしいんだが。


「領主様の元に到着したら、アルさんが何か危険な目にあうかもしれません」


「覚悟の上だ」


 だけどもしオークとかモモガロスが出てきたらリネアを背負って逃げる。そんな展開は覚悟してない。


「……て……ない……です」


 俯きながら呟いたリネアの言葉は、あまり聞き取ることが出来なかった。


「……えっと、ごめん。聞こえなかったからもう一回言ってくれないか?」


 俺の要望にリネアは顔を上げ、何かを決意したような表情をして、


「行ってほしくないんです。アルさんには……アルさんだけには……。だから、お願いです。アルさんだけでも、すぐにこの街から離れてください……」


 この発言に、リネアはどれほどの覚悟をしたのだろうか。今の俺には知るよしもなかった。


 だが、その言葉に覚悟があろうとなかろうと、やるべきことは一つだ。


 リネアの依頼を解決する。そして、そのためにはーー。


「悪い、リネア。そのお願いは聞けない」


「で、でも……」


「依頼を解決出来なかったらあの俺オークだらけの森に置いていかれる約束だろ? 俺はそんなのごめんだからな」


「あんなのただの冗談ですし、気にしなくても……」


「いやいや。それに、こんなとこで引き下がったら目覚めが悪いからさ」


「……それでも、私はアルさんが……」

 

 まだ納得してくれないのか、リネアは俺を引き止めようとしている。


 それだけ俺の心配をしてくれているということだし、嬉しく思うが、自分のことを後回しにして、ここまで俺を心配してくれる人を置いて逃げるなんて、俺には出来ない。


 だから、俺はリネアに納得してもらえるよう満面の笑みになり、


「大丈夫だって! 俺は依頼にオークさえ関わってなければ全部達成してるんだ! それに、俺だって考えなしに突っ込むつもりはない。だから、俺を信じてくれ」


「アル、さん……」


 リネアは俯き、考えて、考えて、考えて、そして……。


「……アルさんの身に何かあったら許しませんからね。一生呪いますから」


「いきなり呪術士になるのやめてくれ」


 いつも通りのやりとり。だけど、そんなやりとりで俺とリネアはお互いにクスリと笑った。


「……信じてますからね。アルさん」


「ああ。大船に乗った気分でいてくれ」


「……泥舟の間違いでは?」


「こんなときなのにひでぇな……」


 でも、また元のリネアに戻ったんだし、良しとしよう。


 この様子だと、間違いなく領主は黒幕だ。


 黒幕でなかったとしても、何かしら加担していることは確実だろう。


 さて、いっちょやりますか。


 俺は改めて玄関の扉に手をかけて、リネアの方を振り向いた。


「じゃ、行くか。案内よろしくな」


「はい。はぐれて迷子にならないでくださいね?」


「俺は子供か」


 よくもまあ毎度毎度煽り言葉を思い付くなと感心しながら、俺は扉を開いた。


 目指すは領主邸。目的は、依頼解決だ。  

なんだこれは(2回目)


ちゃんとシリアスになってれば幸いです()

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