深夜の散歩
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「深夜なだけあって全然人が居ないな」
この時間に王都の街中を散歩するのは初めてなので、普段は人で溢れている道が静かだというのはとても新鮮だった。
ふと空を見上げると、たくさんの星々が煌めいていた。
目の前に広がる綺麗な星空を見ていると、先ほどまでの悪い気分が洗われていくような気がした。
「……たまにはこういうのも良いかもな……」
立ち止まってその星空を見続けていたとき、どこからかゆっくりとした足音が聞こえてきた。
こんな時間に出歩いている人が俺以外にも居るんだな。
そんなことを考えていると、その足音の主が横道から俺の前方に現れた。
暗くてよく見えないので性別はわからないが、ルリより少し小さいくらいの人が、ゆっくりと一歩ずつ前に進んでいた。
……なんか、歩き方がぎこちないというか、フラフラしているというか……。大丈夫か? あの人……。
心配になって少し見ていると、やがてその人の姿勢は前のめりになり、そのまま力が抜けたように倒れてしまった。
「ちょっ……!?」
まさか倒れるとは思わなかったので、慌ててその人の元に駆け寄ると、月明かりに照らされてその人の容姿がよく見えた。
前髪ぱっつんの銀髪ショートの、幼げな印象を受ける顔をした女の子で、服は土や泥などで汚れていた。
俺は彼女の肩を揺さぶって、声をかけた。
「大丈夫か!? 起きろ!!」
何度も声をかけたが、彼女はぐったりとしたまま動かなかった。
どうすりゃいいんだ……? こんな時間に空いてる診療所はないし、かと言ってこの場に放置しておくわけにもいかないしな……。
……仕方ない。とりあえずうちに連れていって布団で寝かせよう。
俺は彼女を横抱きにして急いで自分の家まで連れていくと、寝室まで彼女を運び、そのまま布団へと寝かせた。
もしも男の人だったら汚れた服を着替えさせるとか色々したんだろうが、今回は女の子だし、そんなことをするわけにはいかなかった。
とはいえ、とりあえず一段落ついたので、俺は座り込んで寝室の壁に寄りかかった。
はぁ、まさか散歩に出たらこんなことになるとは思わなかったな……。しかし、脈と息はあるし、目立った怪我もなさそうだがら、さっきの様子を見る限り疲労で倒れたんだとは思うけど、一体この子は何者なんだ?
1日でこんなに汚れることはあっても、疲労で倒れるなんてことはないだろう。
しかも、こんな時間なのに家にも帰らずふらついているなんてありえないし、もしかしたら王都の人じゃないかもしれない。
この子が起きたら、色々と聞いてみるか。
いや、でも聞くとかそれ以前に、この子が目を覚ましたときに自分が誘拐されたとか、お持ち帰りされたとか、そんな感じに勘違いされないよね?
……そのときはそのときで何とかしよう。
とりあえずこの子が目を覚ますまで、少し、休憩――――…………。
睡魔に襲われた俺は、そのまま床に体に倒し、そのまま眠ってしまった。
深夜の散歩と、この出来事が立て続けに起こった影響なのか、悪夢を見ることはなかった。
「――て―――い」
ふと、肩を揺さぶられていることに気がついた。
「おき―くださ―」
なんだ? 一体誰が――。
「起きてください」
「…………ん?」
俺が目を開けると、昨日助けた女の子が俺の前に座っており、その手は俺の肩へと置かれていた。
「良かった。起きましたか」
抑揚のない機械的な喋り方をする彼女は俺から手を話すと、少し目を細めて俺を見つめた。
「貴方にひとつ、聞きたいことがあります」
「聞きたい……こと?」
横になったままでは失礼なので、上体を起こしながらそう言うと、彼女は口を開いた。
「どうして私はここに居るのでしょうか? もしかして、私は貴方に誘拐されたのでしょうか?」
予想通りの勘違いのされように、俺は溜め息をついたのだった。
横抱き=お姫様抱っこ です。




