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新種の魔物の正体

「ふぅ……片付いたね」


 額の辺りを手で拭いながらそう言うルリだったが、確かに盗賊二人は視界から消えたものの、目の前の木々は伐採され、地面にはまるで嵐が通りすぎたかのように、小枝と葉が散らかっていた。


「これ、片付いたってレベルなのか……?」


 むしろ散らかったという表現の方があっている気がするんだが……。


 ルリは目の前の惨状を見て少し目を逸らすと、


「……まあ、少しやりすぎたかなー……とは思うけど」


「少しじゃなくて普通にやりすぎだろ……」


 俺はそう言って溜め息をついた後、クルリと周囲を見渡し、


「こんな状態になっちゃったし、もしかしたら新種の魔物も遠くに逃げてたりしてな」


「え? 新種の魔物ならさっき僕がぶっ飛ば」


「それ魔物じゃなくて盗賊な」


 最終的に盗賊あいつらはルリの中で魔物として認識されているようだ。


「そもそもあいつらはただ豚みたいな顔をしてただけだし、それに出会ったらすぐに襲ってきただけだぞ?」


「……それ魔物と一緒じゃない?」


 うん、言ってて俺もそう思った。


「まあそれは置いといて、新種の魔物は多分この辺には居ないだろうから、他の場所を探してみないか?」


「そうだね。そうしよっか」


「よし、それじゃあ早速――」


 と、この場所を引き返そうと後ろを向いた瞬間、バサッバサッという何か大きな生物が羽ばたくような音がどこからか聞こえてきた。


「……なあルリ、この森にドラゴンなんて居るのか?」


「えっと、多分居なかったかな……?」


 ってことは、新種の魔物があっちから来てくれたってことか……?


「これから探す手間が省けたかもね」


 そう言ってルリは剣を構えた。俺もいつ戦闘になっても良いように準備をしておき、音を立てている主がこちらに来るのを待った。


 近付いて来るにつれ音が大きくなり、どうやら後ろから来ているのだということがわかった。


 そして、俺たちの目に写ったのは――。


「…………は?」


 その生物には龍の頭があった、牛の頭もあった、獅子の頭もあった。そして、大きなオーガとトロルの腕があり、8本の尻尾が生えていた。


「なんだあれ!?」


「多分……合成魔獣キメラだと思う」


合成魔獣キメラって……違法な生物実験で生まれたとかいうやつだよな?」


「そうだね。かなり危険だからここで倒さないと……!」


 そう言ってルリが力を溜め始めたと同時に、俺たちを獲物と定めたのか、合成魔獣キメラはいきなり滑空する速度をあげてこちらに向かってきた。


 その速度は合成魔獣キメラの巨体に似合わずかなり速いが、ルリが力を溜め終わる方が速かったようで、向かってくる合成魔獣キメラに向けて光の刃を放った。


 威力、速度ともに申し分なく、合成魔獣(キメラ)は為す術なく光の刃の餌食になったかのように思えた。


 だが、合成魔獣キメラは体を一瞬発光させたかと思うと、ルリの放った光の刃のエネルギーを吸収してしまった。


「嘘!?」


 ルリが驚いている間にも、合成魔獣キメラはこちらに向かってきていて――。


「危ない!」


 俺がルリを抱き抱えてそのまま横に飛んだその刹那、先程まで俺達が居た所を、合成魔獣キメラがガチンと噛み砕いた。


「……ごめん、油断しちゃった。つい驚いちゃって……」


「大丈夫だ、俺も驚いてる」


 そう言って俺はルリを降ろして、地上に降りた合成魔獣キメラを見た。


「なんでルリの技が効かなかったんだ?」


「多分だけど、あの合成魔獣キメラにリノペルが合成されてるんだと思う」


「リノペル……?」


「人を襲わない大人しい魔物で、光を吸収する特性があるの。光を吸収するときに一瞬発光するっていう特徴があるから、多分合ってると思う」


「合成されたときにその特徴が合成魔獣キメラに引き継がれたってことか……」


「そうだね。ちょっと厄介だけど、僕は光の力に頼らなくても剣だけで戦えるから大丈夫だよ」


「……そうだな。じゃ、丁度相手も地上にいることだし、油断しないように攻めよう」


「わかった!」


 俺達が合成魔獣キメラの元へ駆け出した直後、合成魔獣キメラもこの世のものとは思えない叫びをあげながらこちらへ走ってきた。


 足に合成させられた魔物は余程脚力があったのか、合成魔獣キメラは竜のような体格とは思えないくらいの速度でこちらに向かってくる。


 丁度キメラと正面衝突しそうになった瞬間、俺は左に、ルリは右側に回避し、そのまま合成魔獣キメラに一撃を加えた。


「うぉっ!?」


「わぁっ!?」


 だが、一撃を与えた瞬間、ぷよんという感触を感じたと思ったら、恐ろしいくらいの弾力で拳が弾かれた。


「何だこいつ柔らかっ!?」


「何これ!? 剣が通らない!」


 どうやらそれはルリも同じだったようで、俺のように攻撃を弾かれて驚いていた。


「なんだコイツ……。物理も効かないのかよ……!?」


「これ……ジリ貧ってやつじゃないかな……?」


 どうしたものかと思い合成魔獣キメラを見てみると、合成魔獣キメラこちらを向いて口を開いており、徐々に力が集まっているように見えた。


「まずっ――!?」


 気付いたときにはもう遅く、合成魔獣キメラの口から強大なエネルギーを持ったブレスが吐き出された。

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