正体
更新遅れて申し訳ありません。
「すみません……本当にすみません……」
「いや! わかってくれたならいいので謝るのをやめてください!」
自分のやったことの間違いに気付いてからというもの、リンクさんはずっと土下座をしながら俺に誤り続けていた。
「何事も無かったんですし、そこまで気にすることはないですよ! ほ……ほら! それに、早くしないと日が暮れちゃいますし!」
「そ……そうですか? そうです……よね……」
俺の説得がようやく届いたようで、リンクさんはゆっくりと立ち上がった。
「アルさんの言う通り、遅くなる前に行きましょうか! …………おや?」
「……どうかしましたか?」
リンクさんの視線は、先ほどランプを投げた場所に釘付けになっていた。
「あれは……まさか……!」
リンクさんは何かに気付いたのか、突然、爆心地の方へと走っていった。
「あ! ちょ! 待ってください!」
慌ててリンクさんを追いかけると、リンクさんは爆発により崩れたと思われる壁の近くでしゃがみ、何かを摘まみ取った。
「やっぱり……見てくださいアルさん! これは光闇石です!」
追い付いた俺に、リンクさんは今しがた摘まみ取った石を見せてきた。
「こう、あん……せき?」
「はい! 光と闇の2つの力が封じ込められている珍しい石です! しかも、こんな綺麗に光と闇が分かれている光闇石はめったにありませんよ!!」
見てみると、確かにリンクさんの持っている石は、黒い部分と黄色い部分が半分を境にして綺麗に分かれていた。
「そんなに珍しいんですか?」
「はい! こんなに綺麗なものなら数百万はするかと!」
光闇石って高いんだな……。
「じゃあ売るんですか?」
「とんでもない! まだ光闇石にはわかってないことが多いんです! 持ち帰って分離させますよ!」
ぶ……分離? 分解じゃなくて? え? 何? 割るの?
「ああ、すみません。突然分離とか言ってもわかりませんよね」
俺がわからないと思っているのが顔に出ていたのか、リンクさんは一度俺に謝ると、光闇石を手のひらに乗せてこちらに差し出し
「実はですね、僕は分離の魔法が使えるんです」
そう言うと、光闇石がパキンという音と共に、半分から綺麗に分かれた。
……え? 何これ?
「この能力、発現する人が少ないようなので、驚くのも無理はありませんよ」
そう言って、リンクさんは分離させた石を仕舞うと
「他にも、例えば泥を水と土に分離出来たり、それを戻すことも出来たり、色々と便利なんですよ。 僕はこの分離魔法で、物質を構成している成分を調べることが出来るんですよ」
あれ? リンクさん……ひょっとして凄い人なんじゃ……。
「まあ、いつも分離させすぎているせいで成分が極小になって、元に戻すどころじゃなくなってまったくわからなくなっちゃうんですけどね」
ただの宝の持ち腐れだった。
「さて、それではそろそろ行きましょうか。どうやらこの先は――最深部のようですしね」
リンクさんの視線の先には、鉄のようなもので出来ていると思われる、頑丈そうな扉があった。
「最深部……か」
確かにリンクさんの見立ては間違っていないだろう。何でもないようなところに、こんな頑丈そうな扉は用意しないはずだ。
かなり年季も入ってそうだし、一体どうやって開ければ――
「アルさん! ちょっと重かったですけど、押してみたら開きましたよ!」
普通に開いちゃうのかよ。
「早速行きましょう! アルさんも早く!」
そう言ってリンクさんは扉の先へと駆けて行ってしまった。
「はしゃいでるなぁ……リンクさん」
気持ちはわからなくないけど、もうちょっと落ち着いて行動してほしい……。
ま、今くらいはいいか。最深部まで到達したんだし。
そう思いながら扉の先に入ると、そこは広い空間で、横長の長方形のような形状だった。
前方に見える壁には、古ぼけた大きな絵が描かれており、ところどころ文字がつづられていた。
リンクさんはその壁の少し手前で、じっと壁の方を見つめていたが、俺が来たことに気がついたのか、こちらに体全体で振り返った。
「ようやくここまで到着しましたよ。 ここなら――邪魔は入らない」
そう言うと、リンクさんはパチンと指を鳴らした。その直後、扉は自ら閉じ始め、やがて完全に扉が閉まった。
「リンク……さん?」
「僕はリンクなんて人じゃないですよ。私は――」
瞬く間にリンクさんの造形が変わり、俺の前に晒したその正体は――
「――ふぅ……。 また会えたね、お兄ちゃん」
正真正銘、俺の妹だった。




