秘密の道
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
頭を押さえてしゃがんでいるリンクさんの面倒を数分ほど見ていると、時間の経過で痛みが和らいだのか、スッと立ち上がった。
「もう大丈夫なんですか?」
「はい、まだちょっと痛いけど大丈夫です。すみません、お手をわずらわせてしまって……」
「いえ、気にしないでください」
「お気遣いありがとうございます。さて、それでは早く目的地に向かいましょうか」
俺は未だに頭を押さえながらも目的地に向かい始めたリンクさんの後に続いて歩き出した。
神殿らしき建物の前に到着したとき、入り口は思っていたほど混んではおらず、すんなりと中に入ることが出来た。
中に入るとすぐに階段があり、そこを降りるとすぐに洞窟のようなところに出た。
壁には灯火が取り付けられていて、想像していたよりも暗くはなかった。
「……結構、整備されてるんですね」
「まあ、暗いままだと学者の皆さんが調査しづらいですからね。今のところ到達したところまではこの灯火が取り付けられてるんですよ」
そう言ってリンクさんは特に周囲を見渡す様子も無く、入りくんだ洞窟内をずんずんと進んでいく。
「あの……もっとよく見ていかなくていいんですか?」
まるでここには用は無いと言った感じで進んでいくリンクさんに違和感を覚え質問すると。
「ここら辺は前に来たときにすでに調査したんですよ。だから今回はもっと奥の方を調査しようと思ってるんです」
「あ、そういうことですか」
奥へ奥へ進んでいくリンクさんの後を着いていくと、行き止まりへと到着した。
まだ誰も到達して居ないのか、そこには灯火が設置されて居なかった。
「ここならまだ誰も調べてないみたいですし、何か見つかるかもしれません」
そう言ってリンクさんは持っていたバックからランプを取り出し、火を着けた。
「これならよく見えるでしょう。さ、調査を始めましょうか」
調査を始めようって言われてもな……。正直何をしたらいいのかまったくわからないんだよな……。
「うーん…………。お?」
ふと前を向くと、行き止まりだった壁に何やら描かれているのがわかった。
「これは……」
絵なのか文字なのかわからないが、読み手に何かを伝えようとしていることはわかった。
とりあえず俺にはこれに何て書いてあるのかサッパリわからないので、リンクさんの方を向き。
「リンクさん、これって読めますか?」
「え?」
リンクさんも俺と同じように壁の近くに経つと、壁に描かれたものを見てハッとした。
「これは古代文字じゃないですか!! よく見つけましたね!! これだけでも充分な成果ですよ! あとは僕に任せてください!」
「え!? 読めるんですか!?」
リンクさんは俺の質問にニッコリと笑うと。
「ははっ! 読めるわけないじゃないですか! 僕にできることはこれを新しい発見物として報告するくらいですから!」
駄目だこの人……いや、わかってたけどさ。もうちょっとこう……自分で解読しようとは思わないのかな。
「解読とか……しようとは思わないんですか?」
「まさか! 僕にそんなこと出来るわけないじゃないですか! こんな文字なのか絵なのかわからないものなんて読めるわけがないですよ!」
何で誇らしげな顔でそう言うんだよ。まあ確かに文字なのか絵なのかわからないけど――。
「……ん?」
あれ? よく見たらこれ……人の形に見えるような……。これは……右手を掲げてる……のか?
で、右腕を掲げながら足を前に一歩踏み出しながら腰を落として、左の拳で壁に正拳突きを――。
「……いやいやいや」
ないないないない。まさかそんなことをして開くなんてこと――。
「――やってみるか」
馬鹿を見るかもしれない。でも、やってみる価値はあるだろう。
そう考え、俺は早速右腕を掲げた。
「……アルさん?」
リンクさんの疑問の声を聞こえなかったことにして、俺はそのまま一歩足を踏み出しながら腰を落とした。
「え、えっと……何を――」
そのまま俺は壁に正拳突きを放った。
「………………」
「………………あの、何してたんですか?」
やってみたものの、壁に特に変化は無く、ただ虚しくなっただけだった。
「いや……その……悲しくなるので……」
聞かないでください。と続けようとしたそのとき、壁が扉のようにギィィィっと開いた。その扉の奥には、さらなる道が見えた。
「…………え?」
本当に道が開くとは思わなかったので、俺は思わず目が点になってしまった。
「アルさん! 何をしたのかはまったくわかりませんがナイスです! これは楽しくなってきましたよ!」
呆然としている俺とは違い、リンクさんは壁が扉のように開いて道が現れた事に興奮していた。
「きっとこの奥に……何かがあるんですよ!」
扉で道を隠していたくらいだからな。リンクさんの言う通り、きっと何かあるはずだ。
「さて! それじゃあ早速――グペッ!」
開いた道をリンクさんが通った次の瞬間、突然扉が勢い強く閉まり、リンクさんは壁に扉に押し戻されてゴロゴロと俺の後方へと転がっていった。
「あああああああああ!! 鼻がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
よく古代文字を見てみると、最後の方に扉がしまるように見える文字があった。
「なるほど、決まった時間が経過すると自動で閉まっちゃうのか」
一人考察している中、後ろではリンクさんが鼻を押さえて痛みを悶えていた。




