表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【9/10二巻発売・コミカライズ企画進行中】公爵夫人に相応しくないと離縁された私の話。  作者: 池中織奈
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/96

女性が生きやすい環境づくり ㉑

「監禁されている女性たちの場所は把握できているの?」

「はい。場所は把握出来ています。ただ、中々侵入は難しそうです」



 ドーデンはそう言いながら、顔をしかめている。

 ドーデンからしてみても女性が監禁されているという状況には色々と思う所があるのだろう。




 女性を監禁しているというだけでも物騒な話で、今もなお、誰かの人生が親方の男性の手によって狂わされていると思うと嫌だなという気持ちでいっぱいだ。

 だってその人の人生というのは、その人が決めるべきものだ。他人の一存で左右されるべきものではないと私はそう思っている。



「そうなのね。……あとどのくらい人を増やせば、助け出せそう?」



 私はドーデンの目を見て問いかける。

 出来るだけ早く……監禁状態というのはどうにかすべきだ。



 自分の意思で囲われているのならばともかくとして、無理やり囲われているのならばどうにかすべきだ。まぁ……、自分の意思で囲われているに関しても、昔の私みたいに外の世界を知らないだけという可能性も十分にあるだろうけれど。

 ほかから見ておかしい関係も、外を知った上で受け入れていたりとかなら問題はないとは思うのだけどね。

 私もそうだけど一つの普通ではない環境にずっといると感覚が麻痺してしまったりするものだから。



「そうですね……」



 ドーデンは考え込む仕草をして、答えてくれる。



 まだ若いドーデンからしてみるとこういう判断をすることはまだ難しいのかもしれないと思う。だけど私はドーデンならばそれぐらい出来るとそう信頼している。

 ……時々こういう信頼は重すぎるかなと心配になることはある。

 そのあたりはきちんと当事者じゃない花びら達にフォローはしてもらっている。ただそういう信頼を重いと感じるタイプの人にはそういう態度をしないように気を付ける必要はあるわ。




「人数としては――」



 そう言ってドーデンは必要人数を教えてくれる。



 私はその人数を聞いて、頭の中で計算を始める。

 これまでの事例やドーデンから聞いた監禁場所のこと、そして調査で分かった監禁場所に居るであろう対応が必要な存在達の戦力。

 ドーデンはどちらかというと戦闘系の魔術の方が得意なはずだから、こういう場面で使える魔術はどんなものがあるかしら。それでどういう魔術師や騎士に味方になってもらえばいいだろうか。




「ドーデン、最速でも午後に、最低でも明日の朝には手配するようにするわ。それを想定した上で準備してもらえる?」



 私がそう言うと、ドーデンは笑った。



「はい。では、それで進めます。こちらでどのように女性たちを救い出すかの作戦を改めて練りますね」

「ええ。お願いするわ。助け出した後のことはこちらで全て手配するから安心しておいて。あとは自分たちの身の安全を第一にしてほしいわ。少しの失敗ぐらいならどうにでもなるから、気負いすぎないようにね。命があってこそなんだから」




 件の親方が何処まで腹をくくっているか、そのあたりは分からない。ただ……自分の今の立場を守るためならば、どこまでやるだろうか。

 私のことを排除しようとするなら――ドーデンたちのことを殺してでも証拠隠滅しようとするだろうか。

 それをさせないために私は万全の準備をしておかないとならないのだ。




 私は早速他の花びら達や知り合いの文官や騎士たちに連絡を取って、今回の件に必要な人材を早急に集め、監禁されている女性を助け出した後に彼女たちの生活基盤を確保しておかないといけないわ。

 それに今の所女性の一部が監禁されているとしか分かっていないけれど、男性の被害者も少なからずいそうよね。嫌々従っている人たちとか。

 そういうことも想定した上で、今日か、明日には救出作戦が早ければ決行されるのでそれまでに準備をもっと整えておかないと。






 そういうわけで私はほぼ屋敷内からは動かずに、全ての手配を完了させる。こうやって一か所にとどまったままどうにか出来る環境があるのは本当に恵まれていることだと思う。

 少なくとも昔の私ではこんなことは出来なかった。

 その環境は時が経つにつれて、さらに良いものへと変わって行っていると思う。




「お母様」




 私が一息をついて、部屋を出ると私を呼ぶ声が聞こえる。

 そちらを振り向くと、少しだけ眠たそうにしているラウレータの姿があった。その後ろにはレナリの姿もある。



 朝早い時間から報告を受け、様々な手配を進めていたからまだ眠たそうなのも当たり前ね。

 報告されたことやこれからどう動くかについてカウディオにも伝えておかないといけないわ。




「おはよう、ラウレータ」

「おはよう。お母様、朝から何しているの?」

「色々とやらなければならないことがあってね」

「そっか……。お母様忙しい?」



 そう問いかけられて、私はラウレータに向かって笑いかける。




「少しなら大丈夫よ」



 私がそう言ったらラウレータは嬉しそうに笑った。



 どちらにしても手配は既に済んでいる。私が出来ることは待つことなのだから、ラウレータとの時間を作ることは問題ない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ