六階層と手がかり
「あった……」
あれから五分ほど歩いてようやく六階層に続いている階層を見つけた。
ここまで【マップ】スキルで道がわかってたのと【気配感知】でゴブリンを避けて来たからだいたい最短距離で五分。
う~ん……微妙……
遅いとも早いとも言えない。
だけど、最短距離でそれだけかかったってことはそれだけこの階層が広かってことだよな。
「……取りあえず行くか」
失敗はできないんだから焦らずに行こう。
それにしても、ここまでずっと洞窟みたいな感じだったな……
『ゴブリンキングの巣』の時は草原が広がってたり、『◼️◼️◼️のダンジョン』の時は森になったりと結構変化があったのに、ここは今までと変わらず、岩肌むき出しの洞窟のような階層が続いている。
何か理由があるのか?
「……考えても仕方ないか。それより今はドワーフの職人達だ」
ぶっちゃけ完全に開いてて視界が良すぎる草原や不意打ちの可能性があった森よりは、戦う時は一直線しかないし、ゴブリンしかモンスターがいないだろうここの方がよっぽど安全だ。
だからと言って油断するつもりは一切ないけど。
とりあえず階段での鉢合わせを警戒して階段を降りていく。
特にスキルの説明には表記されたりしてないけど、【気配感知】は上下の気配は感じにくいのか、こういう階層と階層の繋ぎ目だと反応しにくい。
だから一応警戒しながら進んでるんだけど……
「何もいないな……」
警戒しながら降りてるけど、今のところは何も出てきてないし、何の物音もしない。
まあ、これなら大丈夫そうだな。
それからも特に問題なく六階層に降りることができた。
「っと。着いたな……うん?なんだこの空間?」
降りた先の階層はこれまでの洞窟のようだけど、【マップ】で確認したら打って変わって、円形になってるみたいでそれだけじゃなくて段々畑みたいに、段々になって穴がいくつも空いている。
……本当になんだこれ?初めて見る光景だぞ……
とにかくこれは調べてみるしかなさそうだし行ってみるか。
ドワーフの職人達を探さなきゃだけど、それ以上にあそこはちょっと異質すぎる。
そう思いながら俺は、早速その変わった空間に向かって歩みを進める。
「……これはすごいな」
歩いている途中でその空間にかなりの数のゴブリンの気配がしたから【隠密】を使って慎重に進んでいくと、その先には驚くべき景色が広がっていた。
「……なんだこれ……」
それは……なんというか……
「……採掘場?」
俺が見たのは、まさしくそこが採掘場のように、穴があちこちに空いていて木材で補強されている円形の空間。
そして、そこにはつるはしを持った普通のゴブリン達や採掘をしているゴブリン達がいて、建物がいくつかある。
まさに採掘場と"ゴブリンの鉱夫達の村"といった様子になっていた。
……そうだよな……思い返してみれば少なくともあれだけの片手剣やゴブリンアーマナイト達が使ってた大盾や全身鎧を作る鉱石が必要になってたんだ。
ゴブリン達や魔王軍だとしても調達は難しかったのか……
ダンジョン内で鉱石を掘ってダンジョン内で掘った鉱石を使って武器を作らせる……なるほど……理にかなってるな。
「でも、ドワーフの姿が見えないな」
そんな感じだと思ったから、ここにドワーフもいると思ったんだけど、見当たらない。
それに【気配感知】を使ってもゴブリン以外の気配を感じられないし……
もしかして作業場や鍛治場は別にあるとかなのかな?
だとするとどうするか……
「お?」
隠れながら様子を伺っていたら、ゴブリンの集団の中から明らかにつるはしを持っていたゴブリンとは違うゴブリン達が出てきた。
そのゴブリン達は他のつるはしを持っているゴブリンとは明らかに違う格好をしている。
「なんだあれ?」
出てきたゴブリン達は、見た目は完全に普通のゴブリンそのもの。
身長や体格も同じだし……
だけど、採掘場にいたようなつるはしを持っていない変わりに全員木製のリヤカーのような物を引いていて、そのリヤカーのような物には木箱を一つ乗せていた。
「また片手剣なのか?……いや、それにしてはさっきみたいに厳重に守ってないな……」
さっきゴブリンアーマナイト達が運んでいたような片手剣が最初は入っているのかと思ったけど、それにしてはさっきにしては警備が杜撰すぎる。
「もしかして……」
そうだ。ここは採掘場だ。
それに加えて鍛治場や作業場は別の場所。
「なるほど。あの木箱の中身は鉱石か」
そう考えればゴブリンが軽装なことにも納得がいく。
多分あの中に鉄鉱石などの鉱石が入っていて、あのゴブリンアーマナイト達みたいに上に向かわずドワーフの職人達の所に行くからだろう。
「……待てよ……それならあいつらについていけばドワーフの職人達の居場所がわかるんじゃ……」
もし仮に俺の考え通りだとしたらゴブリン達はあの鉱石をドワーフの職人達の所に運ぶはずだ。
だから、俺もついて行けばドワーフの職人達に会える可能性は高い。
よし。
そうと決まればスニーキングミッション開始!
そんなことを考えながら俺はあのゴブリン達が向かう先が、ドワーフの職人達がいる場所という事を願いながらこっそり一直線に並んでいるゴブリン達の後ろについていくのだった。
初めてレビューをしていただきました!
ラフレシアさん。レビュー、本当にありがとうございます!




