第48羽 家族のようでした。
事態は一応の終結を見せた。
権力という名の枷を強いていた理事長がどうなったのか、誰もが口を閉ざしていて今後どうなるかはわからない。だが、犯罪抑制という名の監視体制であるボランティア団体は空中分解した。鬱屈は表舞台に姿を出さなくなった理事長に被せることによって、鎮めているようにも感じられる。
あの体育館の一件から一週間ほどの月日が経ったのだけど、あまり気分のいいものではない。というか、完全にすっきりいかないような感情が、なにか胸中で渦巻いている。
だけど今は、
「今日は優姫くんがここに引っ越したお祝いパーティー。色々ごたごたして今までやる機会を逃してたからね」
眼前のテーブルには、豪華絢爛な夕食が用意されていた。
まさにパーティーといって差し支えないような食事が揃っていて、ようやく全てが終わったと終わったと思えるぐらいには噛み締めているものがある。
みみみさんは以前のような恰好はしていない。
なんでも言い聞かせるように厳命していたから、さすがに破廉恥さを自覚したようだった。
「はい、新聞でも読む?」
新聞を手渡される。
テーブルに身を乗り出すような前傾姿勢。
大学生にものかかわらず、なぜか制服姿なのが気になるところだったが、前かがみになっていて見えそうな胸元に気を配るので精一杯だった。恐らく高校生のときの制服、というかコスプレ服で購入した場合を想像なんてしたくはないが。
生地の薄い夏服を着ていて、それでなおかつ胸の大きさなのか、それとも体格が変動したせいなのか。ボタン上三つほどを開けていてはだけている。釘付けになっていた目線を剥がすと、
「いや、いいですよ。こんな美味しそうな食べ物を新聞を読みながらなんて、勿体無いですから」
いちおう受け取りながらも、横に置いておこう。適当な場所に滑らそうとしていると、気になる写真が目に入って凝視してしまう。事件の詳細を知ろうと瞬時に文面に目を通そうとするが、
「どうしたの、優姫くん?」
どんな顔をしていたのだろうか、けっこう真剣な顔で訊いてくる。
「いえ、ただ、知り合いが新聞にでてたような気がするんですけど、気のせいですよね」
まさかこんな新聞に、しかも事件を取り扱うような欄にあいつがでてくるのは思えない。しかも一瞥したていどで内容の全容はわからないけれど、なにやら結構な大犯罪を犯したような取り扱いだったような。いくらなんでもそんなことはしないだろう。……いや、けっこう向こう見ずなところがあるから、ありえなくはないけど。
脳髄に浮かんだ疑念を振り払うように、夕餉に意識を向ける。
「それじゃあ、そろそろ食べましょうか」
「ええ、三人で仲良く食べましょう」
微笑むようにススキさんと、もうひとりが僕の横の椅子を引いて座る。ススキさんは家族ごっこだなんて言ったけれど、こうやって三人集まって食事をする。なんかこういうのって団欒って言うんじゃないのかなって思って、ちょっと擽ったい気持ちになる。もしかしたら、僕たちはもう家族ごっことかじゃなくて、もう……………。
―――――え、さ・ん・に・ん?…………。




