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目指せ、メゾフォンテ共和国・7

 冒険者登録をするには冒険者ギルドに行かなくてはならない。そして残念ながらミッツェルカはメゾフォンテ共和国の文字が読めない。書くことも出来ないし、抑々話せないし聞けない。尚、入国審査に関しては、王族として他国の言語も学んでいたニルクと王太子妃予定だったラティーナ。そしてあちこちの国で裏稼業をしていたので必然的に覚えることになったクランが入国の際の兵士とのやり取りを通訳してくれた。ミハイルとミッツェルカの兄妹は全然言葉が分からなかった。当然、冒険者ギルドに来て登録をするのも二人は会話が出来ないので、元々偽名で冒険者登録しているクランが、ミハイル・ミッツェルカ・ラティーナ・ニルクの冒険者登録の手続きを率先して行ってくれた。


「先ずはある程度話せるように、と文字の読み書きが出来ないとまずそうだね、お兄ちゃん」


「そうだな」


 ミッツェルカ自身はあまり勉強が出来なくても「仕方ないや」 で、済ませられる性格だが、ミハイルは元々が真面目な性格なので、自身がこんなに役立たずであることにかなり凹んだ。ということで、ニルクがミハイルにメゾフォンテ共和国の共通語を、ラティーナがミッツェルカにメゾフォンテ共和国の共通語を教えることになった。まぁミッツェルカは兎も角、元々勉強が得意なミハイルならば直ぐに覚えられるはずである。それからミッツェルカは少し考えてラティーナを通して冒険者ギルドに格安の家を紹介してもらえないか、尋ねた。

 ラティーナは疑問に思うも取り敢えずギルドの受付に尋ねれば、そういった紹介は仲介者を頼むといい、とギルド隣の店を教えてもらった。

 ギルドを出て隣に行く前にラティが率直に尋ねる。


「家ってどういうこと?」


「そこでずっと暮らすわけじゃないけど、昨日の話し合いである程度ランクを上げるまではこの国に滞在することを決めた。で。元々貴族のラティにニルクやお兄ちゃんは、お金に関してあまりこだわってないだろうけど。私はラティも知ってる通り、前世の記憶のおかげで収入と支出には細かいんだ。ラティも王太子妃教育の一環で国家予算に関する勉強はしているだろうけど、額が大きい分、大まかな支出と収入だけで細かな部分の金額はよく知らない。違う?」


「そうね。その通りだわ」


「でも平民になったからには、寧ろ大きな金額を動かすようなことはなくて、細かな金額を予算内で考えながら使わないとならない。例えば、だ。今、私達が泊まっている宿は、朝晩のご飯無しで泊まるだけで一部屋銅貨三枚。これは一晩や二晩なら大した額じゃない。でも三十日だと?」


「銅貨九十枚。それが二部屋だから百八十枚?」


「そうだね。ランクを上げる日数が百日必要だと?」


「銅貨ええと……」


 こちらの世界では万以上の単位が無いため、銀貨や金貨に変換する必要がある。ラティーナは、少し考える間にミッツェルカが続ける。


「銅貨十枚で銀貨一枚と同じ。銀貨十枚で金貨一枚と同じ。一部屋銅貨三枚の部屋を百日借りるのは?」


「銅貨三百枚……ということは、銀貨三十枚で、金貨が三枚になるわね……」


「そうだね。それもご飯無しで、そのお金さ。でも、同じ百日を宿ではなくて、家だったら? もしかしたら安い家なら金貨一枚で売ってくれるかもしれない。まぁ行ってみないと分からないけどさ。もしかしたらもっと安い家もあるかもしれない」


「それなら、家を買う方が安くなるわね? 買わなくても借りるとしても、金貨一枚と銀貨五枚とかなら、やっぱり安いものね。分かったわ」


 ラティーナはようやくミッツェルカが何を言いたいのか分かった。

お読み頂きまして、ありがとうございました。


時折地文(会話文以外)で、ミッツェとミッツェルカとかラティとラティーナとかあるかもしれませんが、一応会話文は愛称のミッツェ・ラティで地文がミッツェルカとラティーナのつもりです。統一出来てなかったらすみません。適宜直している予定ですが、気付かずに地文でも愛称表記でしたら直し忘れだと思ってください。

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