いつまでもこの場に居ても仕方ない
1/15本日二度目の更新です。こちらは2話目です。
もう一度更新出来たらしますが、ダメでも明日には次話を更新します。
さて。バカが腕に囲っている女の話の前にちょっとこの場を閉めようか。
「そ、そうだ。何故、私が父上に話をせねばならない。ラティがするべきだろう」
さっき引き下がったんだから大人しく下がったままでいれば良かったのに。なんか言い出したよ。
「殿下。もう私に婚約破棄を突き付けた以上、私を愛称で呼ぶのは辞めて下さいませ」
ラティが目を細める。まぁその通りだ。愛称を呼べるような関係性を手放したのは、バカの方。つまり、ガサルク公爵令嬢、と呼ぶのが正しい。……あ、バカはやっぱりその辺に気付いてなかったな。ラティの発言に、ショックを受けた表情をしている。……うん、バカだな。
「ラティ。殿下が陛下に言うのが一番筋が通るけれど、たとえ未成年しか居ないこの場とはいえ、こんな公の場でこんな発言をしたんだ。影から話がいくだろうし、帰ろう。明日の卒業式に出られずとも、卒業証書は貰えるだろうから、明日も欠席で構わないと思う。どうだろう?」
私の発言に、ラティは頷いて、では、ご機嫌よう。と皆に挨拶をする。ホント、完璧な淑女だ。皆の気遣わしげな目とそれを上回る寂しさ溢れる目。ラティも私もそれを見ながら、この場を退出した。
「ラティ、お疲れ様」
「ミッツェ、あなた心此処にあらずだったわね?」
「ごめん。なんか、ホントバカだなぁって思ってさ。自分に影が付いている、とか、こんな公式な場で婚約破棄、とか、浮気をしていた事を堂々と発言、とか。何考えてるんだろうなぁって思ってたら、意識を飛ばしてたよ」
「そうねぇ。ミッツェが言っていた事が本当に起こるとは……って感じねぇ。でもだからと言って、意識を飛ばして良い訳じゃないわ」
「だから、ごめんって」
「ま、いいわ。これで晴れて自由ね!」
「うん。今更だけどさ。本当に良いの?」
「なぁに、ホント今更。私は今まできちんと貴族令嬢の務めを果たして来たわよ。でもミッツェの言う通り、私は婚約破棄をされた。だったら、ミッツェの言う通り国外追放になるわ。だったら、1人で国外に出て行くより、ミッツェと一緒の方が良いもの」
「そっか。じゃあこれからもよろしく」
屈託なく笑うラティに釣られて私も笑う。ああ、この笑顔を見られるのなら、私はそれで構わない。
ーーだって、私は悪役令嬢推しなのだから。




