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目指せ、メゾフォンテ共和国・2

「取り敢えず、クランの話が真実かどうか分からんけど。信じておくね、一応」


「一応、ですか」


「んー。ギフトの力、使えばクランを剣の錆にするのは簡単だけど、それは最終手段としてとっておく、くらいには信用してる」


「それは光栄です」


 クランはミッツェがギフトを使えば最強だと知っている。だが、それは最終手段だと言う。少しは信じられているようで少しだけホッとした。


「ところで〜」


「なんでしょう?」


「持ち金が少なくなって来た。クラン、どんな仕事なら金を稼げる?」


ミッツェ・ミハイル・ラティはそれぞれの家に置いて来た金とは別で、金をきちんと持っていた。それが、少なくなってきた、という事だ。


「あー、成る程。お嬢様のギフトを活用してなら、冒険者ですかねぇ」


「冒険者」


話には聞いている。日本で言うなら何でも屋だろう。盗賊の捕縛とか薬草採取とか町の偉い人の護衛とか、そういうやつだ。まぁギフトを使えば確かに良いが。


「俺、偽名で冒険者登録して有りますからパーティー組めますけど?」


パーティーとはあれか。仲間になるってことか。偽名で登録出来るのは治安に問題無いのか? いや、だが、訳有りが金を稼ぐのに真っ当な方法を取るなら偽名じゃないと無理か。ふむ。


「じゃあお兄ちゃんとラティに相談してみるよ」


「お嬢様の兄上さんのギフトは支援だから、冒険者登録してもいけますけど、ラティーナお嬢様のギフトは冒険者向きなんですか?」


「うん? うーん。どうだろう。特殊だからね。何処までどんな風に作用するか解らないから、何とも」


「それって貴族の時にはギフトを発動した事が無いって事ですよね」


「そうだね」


「そんな事、俺に話していいんです?」


「別に。問題無いよ。ラティのギフトが何なのか、そんな簡単に解る人なんかいないから」


「そんなもんですか」


「クランの真の雇い主が、ギフトに詳しい人でも多分解らないね」


「それってもしかして初めてのギフト?」


初めてのギフトとクランが言うのは、ラティが与えられたのが最初なのか? という問いかけである。


「うーん。どうだろう。ライネルヴァ王国の何処かに、ラティと同じギフトを持っていた。って資料や本が有るかもしれないから、初めてかどうかは知らない。でも。私の勘だけどあのギフトは中々居ないと思うんだよね。まぁでも、抑、ギフトっていう異常なものがライネルヴァ王国だけにある事がオカシイからね。もしかしたら初めてのギフトかもね」


「やっぱりお嬢様も、ギフトについて異常だと思われているんですね」


クランはギフトを異常だと言うミッツェに同意する。


「思うよ。神からの贈り物とか祝福とか言われているけど、ライネルヴァ王国に生まれただけの人にしか与えられないなんておかしいでしょ。神さまが居るとして。だったら、他の国に与えないことはどういう事なのか? って話。ライネルヴァ王国しか、この世界に存在しないというなら有り得る現象だけど。後は、ライネルヴァ王国が世界の最初に出来た国でそこから他国が出来たというのなら、何故、他国の人にギフトが出ないのか、変だろ」


そんな事を言いながら、ミッツェはふと思った事が有る。だが、それは推測でしかない。それに、ミッツェには関係ない事だ。


「そうなんですよね。まぁお嬢様にはもう少し信用してもらえるように、ちょっとだけ話しますが。俺の本来の雇い主は、ライネルヴァ王国内には居ないんですよ」


「へぇ。それ、言っていいんだ」


「まぁそれだけじゃ、雇い主には辿り着かないでしょうからね」


「まぁそれもそうか」


という事は、一応ミッツェの父である伯爵は、他国の人間に何かを仕出かして、その人間はそれが気に入らず、弱みを握るか何かということでクランを雇って探らせている、という所か。ついでに暗殺出来るなら、暗殺して来いってこと? いや、だったら、最初から伯爵を暗殺した方が色々話が早くないか?

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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