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情報交換・4

割と早く次が書けました。

「さて。王妃様が復活したのなら、やっぱりトルケッタを出よう」


ミッツェの決意にミハイルが首を捻った。


「なんでだ?」


「だって王妃様はニルクがラティだけにポンコツだけど、後はきちんと王太子の責務を果たせるって理解しているからね? しかも国王陛下が国外追放の刑を下したわけじゃないのに、国外に出て行くなんて有り得ない、とも知ってる。ラティを追いかけただけって考えて直ぐに帰国すると思っているだろうから。隣国である、このトルケッタ公国に使者でも立ててニルクを見つけたらよろしく。とか言って来ると思うよ」


ミハイルは、ポンと手を合わせた。


「じゃあ益々ライネルヴァに帰還出来るじゃん」


「でもそれは、ニルクの命が危険に晒されるよ」


ミハイルは、ハッとした表情でその先を想像したらしい。


「それは、つまり。ラティの命も危険に晒されるという事だな」


まぁそういうことだ。ミッツェが肯定すれば、ミハイルは「妹2人は、僕が守る!」 と使命に燃えた。


「それに。王妃様が復活したなら、陛下も忙しさが落ち着く。多分、今回の件は耳には入ってるよ。だけど。……いや、のんびり話してる場合じゃない、か。先ずはトルケッタ公国を出る。取り敢えず、という形でトルケッタ公国に来ちゃったけど。ニルクが来たなら、トルケッタから見てライネルヴァを挟んで向こうのメゾフォンテ共和国の方が良かったかもしれないな」


病弱な伯爵家の次男として伯爵籍に置かれていたミッツェは、貴族の子息・子女なら余程の事が無い限り学園に通うから、男として学園に通っていた。ちなみに長患いの病とか言って入学を拒否することは、仮令ミッツェを疎んでいる父で有っても出来なかった。何故なら、()()()入学出来ないのか、学園に常駐する医師が訪問してくるから。尚、貧しくて学園の費用が出せない貴族の場合、学園の要請を受けた国の財政に関わる文官が派遣されて、学費が出せるか出せないか確認されてしまう。出せない場合は、国が出す。後々出してもらった学費を返済する義務付き。尚、学費が払えるのに払えない、等の嘘を吐いた場合、親の義務を果たさなかった、と罰も与えられる。嘘を吐くよりきちんと通わせる方が楽だ。


そんなわけで。ミハイルとミッツェの父である伯爵は、学園から医師が派遣される事をおそれて、ミッツェを次男として通わせた。ミッツェは学園に通っている間だけ、自由を満喫していたし、元々マトモに食べさせてもらえなかった(最低限で放置されていた)から、痩せっぽっちで女性らしい体型とは縁遠かったから誰も女だと気付かなかった。


ミッツェは日本人の記憶が有ったから、自分が所謂二次性徴を迎えていない事を知っていた。学園でマトモに食べられるようになって胸が少し膨らみかけたが、未だに子を産める身体の証は来ていない。子息として剣の扱いや馬に乗る訓練はしたが、病弱だったから馬には乗った事が無い、と言えば、教えてもらえたし、剣の方はギフトの影響でギフトを発動しなくとも多少は扱えたので、子息として生活する事に何の違和感もなかった。日本でいう所のトイレの使用は、前もって申請しておくと、病が発症して倒れる事などを考慮してそういった生徒用のトイレを利用していた。幸いにもミッツェが通う間、ミッツェ以外、病弱な子息・子女がいなかったので、要するにミッツェ専用のトイレみたいなものだった。


そんな自由を満喫していたミッツェは、学力は割と高かった。日本で言う所の算数なので簡単だし、語学は暗殺者を送り込みつつ、万が一、ミッツェが生き残って学園に入学する事になってしまった時に、あまりに勉強が出来ないと、自分の沽券に関わると見栄を張った父が渋々家庭教師を付けていたから、問題無いし。歴史や地理は学園で教えるのだが、算数で四苦八苦する皆を横目に、楽しく歴史と地理を勉強したため、こうして直ぐにライネルヴァを中心とした地図が脳裏に浮かび上がり、同時にライネルヴァとの関係性も思い出せていた。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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