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閑話・ライネルヴァ王国の天手古舞〜クラン視点・4〜

物凄く久しぶりに更新してます。


不定期更新です。相変わらずクラン視点が続きます。

ライネルヴァ王国の国境沿いに例のおバカな王太子サマが呆然と立ち尽くしていた。とっくに暗殺されていたと思ったのにまだ生きているのは意外だな。何故だ?


よくよく見れば、元王太子サマを守る男が居る。騎士だ。確かお嬢様が学園に通われていた時に様子見で学園に潜り込んだ時に見たことがある。……ああそうだ。護衛だ。元王太子サマの言動を常に注意して鬱陶しがられていたのに関わらず、追放された元王太子サマを守っているのか。


それって見上げた忠誠心と言うべきか、不器用な愚直さを笑うべきか。とはいえ元王太子サマは呆けたままだし、その命を狙っているのは王家の影だし。この護衛だけじゃ結果は見えているよなぁ。実際護衛は息が上がりかけているし。


仕方ない。

お嬢様との約束だ。

俺は重く溜め息をつきながら護衛を手伝って王家の影を退けてやった。影も護衛も俺に驚いて動きが鈍った。よし、良いチャンス。元王太子サマの襟首を引っ張って、護衛の腕を抱えて全力で逃げ出した。


王家の影が慌てて追っ掛けてくるのは解っているが、応戦している暇はない。裏稼業に精を出している間に知り合った奴からもらった煙幕で牽制をかける。思惑通りにいったらしく、影達の足が少しだけ止まった。この少し、が生きるか死ぬかの瀬戸際になることは多々ある。


そうして今は生きる方に天秤が傾いたようだった。


「助かった、恩に切る。だが貴様は?」


助かった事に素直に感謝する騎士は真面目なのだろうな、と理解できた。


「俺はとある人に命じられて元王太子サマを保護しに来ました」


元王太子の部分を強調すれば、王太子サマは分かりやすく肩を震わせ怯えた。


「とある人?」


護衛が警戒心を強める。


「ミッツェと言えば分かりますかね、王太子サマ?」


俺が尋ねれば、王太子はハッとした表情を見せてまるで縋るように俺を……いや、その背後を見ているようだった。


「ラティの従兄弟が?」


王太子サマ、自分で婚約破棄を告げたくせに公爵令嬢を愛称で呼び捨てるのは、いかがなのだろうか。

感想欄とレビュー欄を諸事情により閉じました。


お読み頂きまして、ありがとうございました。

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