表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

113/117

vsギルドマスター・2

 左右に分かれたミッツェルカとクラン。話し合うこともなく同時に、右からクランがダガーナイフをギルドマスター・マンザスの腹に。それを躱したマンザスの左頭上から剣を振りかぶったミッツェルカが迷わず振り下ろす。

 それを斧で受け止めたマンザスは、その受け止めた隙を見て横脇腹を狙ってくるクランの顔に手加減せずに肘鉄を喰らわせようとして、躱された。

 と思ったら、受け止めたミッツェルカの剣が不意に軽くなったと思ったら、ミッツェルカが後ろに飛び退きながら、身体を回転させてマンザスの背後を取って剣を突き出そうとする。紙一重で躱したマンザスを休ませることなく、屈んだと思ったクランが下からマンザスの顔目掛けてダガーナイフで上へ振り上げようとした。目の端で捉えていたマンザスは顔を逸らしながら逆にクランの顔に斧を振りかぶった。

 それをクランも躱して距離を取ったが、途端にミッツェルカがもう一度マンザスの背後を取るように身体を回転させて剣を繰り出す。


「止めだ、止め!」


 ミッツェルカの剣を躱したマンザスは、開始して四半刻も経たないうちに、降参した。

 マンザスの終わり宣言を聞いてしまったので、ミッツェルカは背中に剣を仕舞い、クランもダガーナイフを素早く仕舞った。


「いや、もういいや。実力は分かった。というか、なんでこんなに戦えるのが新人冒険者なんだ。色々とオカシイだろう」


 クランを見て、「冒険者やってるのが長いのは君だろうが、新人冒険者たちとパーティーを組むなんて、と正直なところ訝った。だが、このお嬢ちゃんの実力を見たらそんな考えは間違いだったと分かった」なんてことを言って頭を掻くマンザス。

 続けてミッツェルカを見て、「お嬢ちゃんは、新人なのが信じられないほどに強いな。良いとこのお嬢さんだって報告を聞いていたし、お貴族様っぽいとも聞いていた。だから正直なところ期待していなかったんだが。とんでもなかったな。お嬢ちゃんなんて侮って済まんかった」なんて言って頭を下げた。


「二人共に高位冒険者パーティーとして申し分無い。ランクは上から三番目にしておこう」


 合格をアッサリと言い渡した。


「いやぁ、強かった。俺が現役で体力ももっとあった若い頃だったら良かったんだがなぁ。それでも二人同時だとどこまでやれたのか。一人ずつなら日暮れになっても決着は付かなかっただろうけどな」


 カカカッ。

 豪快に笑い声を上げながらマンザスは言う。こんなに上機嫌で現役を懐かしむような発言をしてまで褒める辺り、本当に強い二人なのだ、とハントは思う。まぁ確かにオーリーから聞いていたとはいえ、実際に見たミッツェルカの実力や動きで、強いことに納得はいったが。

 とはいえ、四半刻も無かった手合わせだ。お互いに怪我なんて無かったことは良かったと思う。長く続けていたら、どちらかが怪我をしていたに違いない。などとハントは胸を撫で下ろしたのだが。


 パサリ


 いやに大きく聞こえたような気がしたその音の方向に目を向けると、マンザスご自慢の髪が半分ほど消えていた。いや、頭から半分が無くなっただけで、その足元を見ればマンザスの髪の毛の半分だろう毛がファサッと落ちていた。


「えっ」


 その驚きの声を上げたのは、誰だったのか、それともクランとミッツェルカ以外の全員だったのか。

 取り敢えず、背中に哀愁を漂わせたマンザスが立っていたのは間違いなかった。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ