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いざ、国外へ。

いよいよ国外へ旅立ちます。

私とラティは、元々家を出るつもりだった。貴族の務めを蔑ろにする気は無かったが、ラティは王太子から婚約破棄されて、令嬢として傷物だ。新たな婚約者を見つけるにも、国内にラティと婚約出来る者など居ない。……可能性が有って、私の兄だろうが、兄上は間違いなくラティを妹だとしか考えていないから、妻には出来ないだろう。となれば、ラティは国外で相手を見つけなくてはいけない。


しかし、それは有り得ない。

何故ならラティは私と同じく特殊ギフトの持ち主だからだ。


ギフトとは、この国特有のものらしい。おそらくゲームの世界だとこの国オンリーの舞台だったのだろう。だから他国に、ギフトというものはない。

神から与えられる贈り物という意味で、私の前世の妹曰く、スキルみたいなもの、とか言っていたが。何がどう違うのか不明。


とにかく、この国特有のギフトの存在が、特に特殊ギフトを与えられたラティが、国外へ嫁ぐなんて有ってはならない。

そういう法らしい。

それなのに、ゲームじゃあラティは国外追放の憂き目に遭うとか、意味不明だ。

話が逸れた。まぁそういうわけで、ラティは国外の人と結婚は無理だし、国内も無理というわけで。ラティに公爵令嬢としての役割は果たせない。だから、ラティは家を出る。


私は私のギフトを両親が知った途端に、居ない存在にされてしまったので……いや、ミッツェルカ・ドレイン伯爵令嬢の存在は居ないものにされたが、父という人は余程私が気に入らなかったのだろう。

伯爵令嬢でない、ただのミッツェルカの事は危険に晒した。

そこまで気に入らないなら、家に居る必要も無い。居ない存在にもされた私が、伯爵令嬢として義務など果たせない。と思って、家を出る。


そのための準備も学園入学前から。完璧とは言わないが、着替えと武器と、少量のお金と日持ちする食べ物を持って、さっさと出て行く事にした。


バカが私に婚約破棄の相談をして来た時から考えていた。断っても聞き入れないのだから、こんなバカを見捨てよう、と。結果的にバカに賛成してしまったが、おかげで私とラティは自由を掴む事が出来そうだ。一応、今まで育ててもらった使用人達と、金だけは出してくれた親に、二度と帰って来ないから安心して欲しい、と置き手紙をした。これで良し。


さて。ラティを迎えに行くか。

落ち合う場所はもう決めてある。……兄上は、どうせ後から勝手についてくるはずだから、別れの手紙など書く気も無かった。

きちんとミハイルの思考パターンを認識している妹・ミッツェは、なんだかんだでお兄ちゃん大好きっ子です。

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